ニュータウンは黄昏れて の商品レビュー
垣谷さんの作品が好きで何冊か読んでいますが、 今回も「老後の資産がありません」で感じたように ニュータウンでも高齢化問題が深刻化になって、 それにより様々な問題が出てきてニュータウンには住んでいなくても 分譲マンションを買った者として同じような問題が あることが身につままれたよう...
垣谷さんの作品が好きで何冊か読んでいますが、 今回も「老後の資産がありません」で感じたように ニュータウンでも高齢化問題が深刻化になって、 それにより様々な問題が出てきてニュータウンには住んでいなくても 分譲マンションを買った者として同じような問題が あることが身につままれたような思いになりました。 ニュータウンにローンを組んで4LDKの分譲団地を 購入したのは良いけれど、 その後に残るローン返済、その追い打ちにバブル崩壊で ローン返済も一層苦しくなり家計も家庭もギリギリの生活。 そんな中で四苦八苦していた母の頼子が団地内の理事会で 建て替え問題に直面し更に問題が多くのし上がってくる。 ただでさえ家計のやり繰りで大変だった頼子が 建て替え問題で今まで考えもしなかった団地の老朽化、 入居者の高齢化などが重なって問題がありすぎて 集合住宅で暮らすというのはこんなに大変なのかと思わされました。 これと並行して娘の琴里が資産家の息子と出会ってから 良い方向へと向かうのかと思ったら意外な展開に。 やはり世間知らずと物の価値感などが違うせいか、 人との距離の取り方が分からないからおかしな行動を 取っていまったのかもしれないです。 これは琴里にとっては良い時点で気付いて、 後々の人生にも影響されて良かったのかと思えます。 琴里は初めの頃はあまり自分に自信がなく、 優柔不断なところもあってどこか頼りないような 気もしましたが、ストーリーを追うごとに成長していったようで、 ラストで友達から「私たち、これからも友達でいようね」 と言った時に「それは無理だと思う」 「別にそんなに悲しむことじゃないと思うよ。子供の頃に仲良しでも、 それぞれ違う環境で育って大人になれば 考えも生き方も変わっていくでしょ。 新しい出会えがあって新しい友達ができる。それでいいじゃない」 ときっぱりと言ったところがとても清々しかったです。 こうゆう考えかたもあるのかと感心してしまいました。 最近では持ち家を持つよりも賃貸の方が良いということも 聞くことがありますが、まだまだ日本では持ち家を持つ ということが結婚してからの一つのステイタスになっていると思います。 そしていつかはマイホームの夢をというのが重なり、 流行りのニュータウンにローンを組んでまでもマイホームを持つ ということが夢から現実なり現実に落ちつぶされてしまいそうな 人達が沢山いるかと思います。 この様子を上手く描かれているのがこの作品であり、 「資産小説」という新しい分野の小説がこの特徴でもあると思いました。 このニュータウン一つを取り上げてても、 高齢化問題、過疎化、少子化と様々な問題が隠されていて、 ひしひしと襲ってくるいつか訪れる現実感が怖かったです。 誰が本当の勝ち組で、誰が負け組なのか。 はっきりしているのは、幸不幸も勝ち負けも自分で こたえを出すしかなく、人それぞれで違うということだ。 という言葉が印象的でした。 この親子のその後とニュータウンのその後も気になるので 続編としてあっても良いかなと思います。 社会エンターテイメント性があり、 テンポ良く読めて面白いので映像化をしても良い作品かとも思います。 垣谷さんの作品は読むたびに現実を帯びているので スリリングですがユーモラスに描かれているので 難題もさらりと解決の道へと導くので読んでいて痛快です。
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正直、暗くて読みきれませんでした...黛のたらい回し?的な展開がなんとも後味悪いというかなんというか笑笑苦手でした 不動産とかの話は勉強になる部分もありましたが。
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2018/12/20作者自身の体験小説でバブルの頃(H4)に多摩ニュータウンを買ったもの、見につまされる。
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中々読み進められなかった。 住宅ローン問題についての話が読んでてしんどかった。 あんまりすっきりした話じゃないな〜〜 読んでてワクワクしなかった。
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垣谷美雨さんの小説のヒロインって、どこか通じるものがある。血の気が多く鼻息が粗い、自分では面倒なことを避けているつもりが、いつも間にか捲き込まれてしまう。団地の理事会で奮闘する母親の頼子さんは正にそんなタイプ。 もう1人のヒロイン・娘の琴里はひょんな事から大地主のご子息と付き合...
垣谷美雨さんの小説のヒロインって、どこか通じるものがある。血の気が多く鼻息が粗い、自分では面倒なことを避けているつもりが、いつも間にか捲き込まれてしまう。団地の理事会で奮闘する母親の頼子さんは正にそんなタイプ。 もう1人のヒロイン・娘の琴里はひょんな事から大地主のご子息と付き合い始める。よもや玉の輿に乗れるかと喜んだのも束の間、この男、相当の喰わせ者だった。 土地神話、東京神話、サラリーマン神話、学歴神話‥‥人々が良いと思い込んでいるものへの価値観はことごとく崩壊しつつあるのに、懲りずにそれにしがみついてしまう人間に滑稽さが面白おかしく描かれている。
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バブル崩壊前に購入した分譲団地。 これでも価格が下がったと5,000万円ものローンを抱えた。 しかし、その価格が下がったというお得感もすぐに崩壊の一途を辿る。 そんな団地も築30年を経過して建て替え問題が浮上。 しかし、集合団地のため、揉めに揉める。 パートに出ていた頼子は理事が...
バブル崩壊前に購入した分譲団地。 これでも価格が下がったと5,000万円ものローンを抱えた。 しかし、その価格が下がったというお得感もすぐに崩壊の一途を辿る。 そんな団地も築30年を経過して建て替え問題が浮上。 しかし、集合団地のため、揉めに揉める。 パートに出ていた頼子は理事が回ってきて、会合にも出席するが、高齢化してきた団地内の揉め事に、ローンのことにも頭を悩ませながら疲れを見せる。 そんな母を見ていた娘の琴里は、幼なじみから資産家の彼氏を紹介され、なぜかその彼とオペラを見に行った。 しかし、その時から幼なじみとは連絡が途絶える。 残された資産家の彼と付き合うとこになった琴里は、その贅沢な環境に目を奪われる。 だが、その彼には問題が… 住宅問題は長きに渡って、人々の感心や苦労を引き寄せてきたが、生活スタイルはバブルを境に大きく変化を見せた。 今はそれぞれが自分の力で道を切り開いていくことが重要となる。 なかなか面白かった。 2019.1.6
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住宅の購入、結婚相手の選択が人生を大きく左右すると改めて感じた。バブル崩壊後の住宅購入の苦労、団地の問題など、いろいろ考えさせられた。ストーリー展開も上手で、著者の他の作品にも読んでみようと思った。
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面白かった。多摩ニュータウンがモデルだと思うと一層興味深い。 頼子がなんとなく自分に思えた。住宅ローン、節約、題材が身近で現実味もありあっというまに読み終わった。
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誰もが身近な話だけにある意味どんなホラー小説より怖いかもしれない。高金利の残債、衰退と老朽化、纏まらない管理組合、バブル期のニュータウン住宅購入者の末路がリアル過ぎると思ったら板垣氏のほぼ実体験とのこと。納得。団地建て替えは「成功事例が少ないから印象的に映る」というのは肝に銘じて...
誰もが身近な話だけにある意味どんなホラー小説より怖いかもしれない。高金利の残債、衰退と老朽化、纏まらない管理組合、バブル期のニュータウン住宅購入者の末路がリアル過ぎると思ったら板垣氏のほぼ実体験とのこと。納得。団地建て替えは「成功事例が少ないから印象的に映る」というのは肝に銘じておくべき至言であろう。小説的な盛り上がりのためか第5章だけ急転直下でぶっ飛びすぎて違和感があるが、それ以外はぞくぞくするほどリアルで、バブル時代の遺産と笑うことなかれ自身の住宅問題を真剣に考えさせられてしまう。 バブル再来と騒がれながらも昨今タワーマンションを中心に不動産市況が盛り上がっている。本家バブルとの違いは低金利と二極化であるが、いずれニュータイプの「ニュータウンの黄昏」をもたらすのであろうか?
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「狭小住宅」と一緒に面白そうだと思い購入した。バブル崩壊後のニュータウンを舞台に繰り広げられる3人の女友達とその家族の物語。 人間の心理模様を巧みに書き出した小説であっという間に読んでしまった。バブル崩壊後のニュータウンの人々の苦悩と 成長、変化の小説
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