幼児教育の経済学 の商品レビュー
アメリカにおける実験結果。幼児期の介入の賛否両論を載せている。日本でもこどもの貧困が深刻化している。親の経済状況によってこどもの将来に差がでている。認知的スキルだけでなく、非認知的スキルを育むことこそ豊かな人生につながる。思春期になってから非認知に介入して効果があった例もあるが、...
アメリカにおける実験結果。幼児期の介入の賛否両論を載せている。日本でもこどもの貧困が深刻化している。親の経済状況によってこどもの将来に差がでている。認知的スキルだけでなく、非認知的スキルを育むことこそ豊かな人生につながる。思春期になってから非認知に介入して効果があった例もあるが、成長してからより幼児期に投資するほうがはるかに回収率がよいということをデーターをもとに示し、論議する必要がある。
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筆者の主張とそれに対する各界専門家のコメント、日本語版解説で構成されている。筆者の主張そのものは、シンプルだが力強い。日本でこれに従うとしたら、どんなプログラムが有効だろうか。
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幼児教育、特に貧困世帯の幼児教育に公的投資を行うことで、その幼児が成人になった際の所得向上、医療費削減などといった収益効果が見込まれる。それは、成人の職業訓練などに注ぎ込まれる公的投資とは比べ物にならないくらいだ、という。 本著でいう収益力は、いわゆる学力でいう認知能力(IQ)だ...
幼児教育、特に貧困世帯の幼児教育に公的投資を行うことで、その幼児が成人になった際の所得向上、医療費削減などといった収益効果が見込まれる。それは、成人の職業訓練などに注ぎ込まれる公的投資とは比べ物にならないくらいだ、という。 本著でいう収益力は、いわゆる学力でいう認知能力(IQ)だけでなく、非認知能力(自制力など)が大きな役割を果たすといい、その非認知能力を幼児教育から公的投資で伸ばして行くべきだ、と論じてる。
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就学前の幼児教育の必要性と効果について、経済性・効率性・公平性においていかに重要で社会にとってメリットが大きいものかというのを、費用対効果の側面、脳科学的な側面で説明した内容。 ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授が、実証的に研究した内容を、コンパクトにまとめていて大変わかり...
就学前の幼児教育の必要性と効果について、経済性・効率性・公平性においていかに重要で社会にとってメリットが大きいものかというのを、費用対効果の側面、脳科学的な側面で説明した内容。 ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授が、実証的に研究した内容を、コンパクトにまとめていて大変わかりやすい。そしてその内容に対する教育に携わる各関係者の反論も様々な視点で紹介されており、それに対するヘックマン教授の再反論も掲載されており、就学前教育について多面的な視点で理解が深まる本だと思う。 就学前教育で重要なのは、「忍耐力、協調性、計画力」といった非認知力と言われる能力で、IQや学力といった認知能力開発が中心になりがちな教育とは違った能力にフォーカスしている。 主に本書はアメリカでの教育政策、家庭・経済事情がベースになっているため日本とは少し貧困の差や、教育の考え方の違いが多少あるが、文化や環境を超えた部分での共通項は見出しやすい。 日本に当てはめた場合についての理解は、本書後半の大阪大学副学長による「解説」を読むと分かりやすいが、それを内包したもっと広い視野での日本における活用としては別の書籍である古市憲寿氏の「保育園義務教育化」が大変読みやすく理解を進めると思う。
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内容もさることながら、前半がヘックマン氏の主張、後半がそれに対する専門家からのコメント(およそ8割以上が反論)という構成はすごい。前半でだいたい納得してしまったんだが、後半の批判部分を読んで「なるほど自分は甘かった…」と反省してしまった。
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将来的に成功するかどうかには、3, 4歳での教育が大きく影響することが述べられています。一方で、大人になってからの職業訓練プログラムなどは費用対効果が低いことも指摘されていて興味深かったです。 ただ、幼児教育の具体的な方法については書かれていなかったので物足りない印象が残りました...
将来的に成功するかどうかには、3, 4歳での教育が大きく影響することが述べられています。一方で、大人になってからの職業訓練プログラムなどは費用対効果が低いことも指摘されていて興味深かったです。 ただ、幼児教育の具体的な方法については書かれていなかったので物足りない印象が残りました。
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探し求めていた答えはやはり見つからなかった。こうなると、何かこの研究は怪しいのではないかと思えてしまう。本書の中で、そういう反論をする人もいた。著者はそれに対してさらに反論している。それならば、具体的な幼児教育の内容を示していただきたい。「保育園義務教育化」「学力の経済学」とそれ...
探し求めていた答えはやはり見つからなかった。こうなると、何かこの研究は怪しいのではないかと思えてしまう。本書の中で、そういう反論をする人もいた。著者はそれに対してさらに反論している。それならば、具体的な幼児教育の内容を示していただきたい。「保育園義務教育化」「学力の経済学」とそれを探し求めて読んできたが、肩すかしをくらったような気分だ。幼児教育が大事なのはわかった。それが将来的に大きくなって返って来るのは確かなのだろう。で、その教育の具体的内容は何なのか。そこが知りたい。私が今関わっている幼児教育の教材などには素晴らしいものが含まれている。また、いわゆるしつけ面、態度教育が重要であるのも心得ている。しかし一方で、幼児に対する態度教育が、その子の知りたい、学びたいという意欲をそぐことになってはいないか、ということが懸念される。自分の子育てについて、お金はあまりかけず(絵本やパズルは買いましたが)良さそうなものは与えてきました。ある程度の学力もついたと思います。けれど、いま(高2、中3ですが)我が家の子どもたちの学びに対する意欲が強いかというと、決してそういうことはないのです。ハアとため息が出るレベル。まあ、「子育ては失敗するもの」というくらいにとらえておけばよいのでしょうね。(森毅の名言より)ということで、これはおもしろいと盛り上がっていたのですが、ちょっと不満の残る3冊でした。(それから、もう一言、「アメリカの貧しい」と「日本の貧しい」にはずいぶんと差があるのでしょうね。追跡調査で犯罪率がどうのこうのというのは日本ではちょっとイメージしづらい気がします。)
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ヘックマン氏の基調論文とそれに対するコメント,コメントに対するコメント,全体のやりとりについての解説(大竹氏)。 著者は経済学者(2000年ノーベル経済学賞受賞)。就学前における公共投資が成人後の租税負担可能性を上げ,社会的適応度(犯罪,健康,等)を上げ,その結果,社会の財政負担...
ヘックマン氏の基調論文とそれに対するコメント,コメントに対するコメント,全体のやりとりについての解説(大竹氏)。 著者は経済学者(2000年ノーベル経済学賞受賞)。就学前における公共投資が成人後の租税負担可能性を上げ,社会的適応度(犯罪,健康,等)を上げ,その結果,社会の財政負担を下げる。 理想的には全ての発達段階で十分な教育投資があまねくおこなえればいいのだが,限られたリソースをどう配分するのか,時期なのか,プログラムの質なのか。日本でも貧困が問題になっている現在,この視座を熟考する価値がある。
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就学前教育の効用についての本。 ・就学前教育はその後の人生に大きな影響を与える。 ・就学前教育ではIQ等の認知能力だけでなく、忍耐力、協調性、計画力等の非認知能力も重要。 ・成人の職業訓練は効果が小さい。 ▼アメリカのペリー就学前プロジェクトの事例 経済的に恵まれない三歳から...
就学前教育の効用についての本。 ・就学前教育はその後の人生に大きな影響を与える。 ・就学前教育ではIQ等の認知能力だけでなく、忍耐力、協調性、計画力等の非認知能力も重要。 ・成人の職業訓練は効果が小さい。 ▼アメリカのペリー就学前プロジェクトの事例 経済的に恵まれない三歳から四歳のアフリカ系アメリカ人の子供たちを対象に、毎日平日の午前中は学校で教育を施し、週に一度午後に先生が家庭訪問をして指導にあたるもの。 二年間続けられ、対照グループと40年間にわたって追跡調査が行われた。 10歳の時点ではIQの差がなかったが、40歳になった時点では、高校卒業率や所得等で良い効果が出た。 所得や労働生産性の向上、生活保護費の低減など、就学前教育を行ったことによる社会全体の投資収益率は15〜17%という非常に高い結果が出た。 IQを高めるより、非認知能力を高めることに貢献。
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かなり楽しんだ。マシュマロテストのことや、幼児教育を家庭環境のよくない家庭に施した場合の経済効果など。やっぱり、早いうちに基本ができているのは大事かも。高校では、遅すぎの感もある。
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