光圀伝(上) の商品レビュー
光國(のちの光圀)の青年前期までが上巻。 一生の伴侶泰姫と結婚するあたりまでが収められていた。 さすがにドラマの「水戸黄門」のイメージだけしかなかったというわけではないけれど、どんな人なのかは断片的にしか知らない。 光圀の強靭さがとても印象的。 武術にしても、学問にしても、や...
光國(のちの光圀)の青年前期までが上巻。 一生の伴侶泰姫と結婚するあたりまでが収められていた。 さすがにドラマの「水戸黄門」のイメージだけしかなかったというわけではないけれど、どんな人なのかは断片的にしか知らない。 光圀の強靭さがとても印象的。 武術にしても、学問にしても、やるとなったら徹底的。 どれも高いレベルで達成してしまう。 そんなスーパーマンなのだが、その間、ずっと「なぜ兄たちを差し置いて、自分が世子なのか」をひきずり続けているというのが面白かった。 ところで、この小説は、「明窓浄机」という、光圀のモノローグで語られる章と、語り手による三人称で語られる天・地・人の各章に分かれる。 すごく凝った構成だと思うし、読むときのリズムも生んでいると思うけれど…。 どうも私には、光圀の一人称での語りが、しっくりこない。 光圀なら、(現代語にしても)こんな言い回しにならないのでは?と思ってしまう。 以前読んだ「はなとゆめ」にも似たような違和感を持った覚えがある。
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本作は、伝えられていることと“想像”とを交えて徳川光圀の生涯が綴られている訳だが、古代から伝わる儒学などが説くことを真摯に実践しようとするかのような話しを介して、マネジメント、施政というようなものに関する示唆や、人生、家族愛、友情というようなことに関しても考えさせられる内容が多い...
本作は、伝えられていることと“想像”とを交えて徳川光圀の生涯が綴られている訳だが、古代から伝わる儒学などが説くことを真摯に実践しようとするかのような話しを介して、マネジメント、施政というようなものに関する示唆や、人生、家族愛、友情というようなことに関しても考えさせられる内容が多い…そして“歴史”というものへの想いにも惹かれるものが在った…
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宮本武蔵との出会い、読耕斎との居酒屋での激論、為影との会合など、上巻だけでも見どころ盛り沢山というところですが、私が一番印象に残ったのは、ネズミの「供養」の際のシーンです。 兄・竹丸(頼重)への自責の念と兄の優しさを同時に感じた時の、感情をこらえきれないその姿が、上巻の若かりし...
宮本武蔵との出会い、読耕斎との居酒屋での激論、為影との会合など、上巻だけでも見どころ盛り沢山というところですが、私が一番印象に残ったのは、ネズミの「供養」の際のシーンです。 兄・竹丸(頼重)への自責の念と兄の優しさを同時に感じた時の、感情をこらえきれないその姿が、上巻の若かりし光圀の苦悩を端的に表していると思います。 同時に、普段市井でかぶきまくっている光圀が素直になること、そしてそれに優しく答える兄の姿から、この兄弟の絆の強さが伝わってきて、こちらまで胸が熱くなります。 普段から「頑張れ、子龍」と、光圀が苦しい時に励まし続ける頼重。おそらくこの時彼は、光圀の苦悩の本当の理由は知らないでしょう。それでも、光圀を無条件で包み込む頼重の、弟に対する思いに心を打たれました。 「おれはな、お前に頼られるど、気分が良くなるんだ」
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冲方丁作品、初めてですが読みやすくておもしろかったです。水戸黄門とは違ったイメージ(^o^) 嫁の泰姫が面白そう。下巻も楽しみです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冲方丁先生の『天地明察』と対をなす、という『光圀伝』。徳川光圀の生涯を描いた本。出来事とそれを光圀が振り返る「明窓浄机」という章立てで交互に現れていくのが面白かった。 幼少期の父・頼房の過酷な試練と兄・頼重がいるにもかかわらず、世継ぎに選ばれた葛藤・そして、宮本武蔵や学を競う朋友として読耕斎・泰姫との邂逅など。泰姫のやんちゃぶりとそれによって、姫やその側近である左近と仲良くなっていくのは王道ではあるがとっても良かった。 ただ、春海と絡むシーンが少なかったのが、天地明察ファンとしてはちょっと残念だった。(笑) また、光圀の小姓である藤井紋太夫が考えた大政奉還という思想が幕末に現れるというのも面白いある種の皮肉であろう。 光圀が途中で述べている、私は生涯の生涯はだれかを見送るためにあるというのは、途中までの渋川春海と同じなのではないだろうか。そして、春海と違う所は、光圀が最初に朋友を得て失いながら成長していくのに対して、春海は一人で成長しながら朋友を得ることによってさらなる成長が促されたところではないだろうか。二人の朋友の出会い方が対照的で、対を成す、と唄った一つの原因かと思った。
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単行本が発売されたら読みたいと思っていた作品だ。 光圀のイメージはテレビドラマが強いが、まああれは作り話であって実際の水戸光圀という人物は正直あまり知らない。 その人間性を知る事が出来るのは楽しみだ。 少年期から青年期にかけての事が上巻に書かれている。 エピソードとしてはそれ程で...
単行本が発売されたら読みたいと思っていた作品だ。 光圀のイメージはテレビドラマが強いが、まああれは作り話であって実際の水戸光圀という人物は正直あまり知らない。 その人間性を知る事が出来るのは楽しみだ。 少年期から青年期にかけての事が上巻に書かれている。 エピソードとしてはそれ程でもないと思う事でも、この作者が書けばそれなりに面白くなる。
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冲方丁の光圀伝を読みました。 義に生き、詩の天下をめざした徳川光圀の伝記でした。 父頼房から度々の試練を受けながら、父の信頼を得たいがために試練に挑戦していた幼少期。 「傾奇者」として江戸の町で暴れていたところを宮本武蔵にたしなめられた青年期。 ともに儒学を学ぶ友とそして最愛の...
冲方丁の光圀伝を読みました。 義に生き、詩の天下をめざした徳川光圀の伝記でした。 父頼房から度々の試練を受けながら、父の信頼を得たいがために試練に挑戦していた幼少期。 「傾奇者」として江戸の町で暴れていたところを宮本武蔵にたしなめられた青年期。 ともに儒学を学ぶ友とそして最愛の妻を得たのもつかの間、彼らを亡くしてしまうことになった壮年期。 綱吉の悪政にあきれながらも、幕府の支援を続ける老年期。 光圀の兄頼重、生涯の友儒学者林読耕斎、最愛の妻泰姫、宮本武蔵、家老保科正之といった魅力的な登場人物たちと光圀の物語が語られていきます。 konnokの中の光圀のイメージが大きく変わりました。
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水戸黄門と呼ばれる徳川光國の少年期から亡くなるまでを、光圀が「明窓浄机」で自分を振り返った独白を先導として、「義」と「修史」を中心テーマにして描かれている。 序の章 人の章の最後に直接つながる 天の章 少年期~青年期 地の章 藩主となるまで 人の章 藤井紋太夫事件まで 義の章...
水戸黄門と呼ばれる徳川光國の少年期から亡くなるまでを、光圀が「明窓浄机」で自分を振り返った独白を先導として、「義」と「修史」を中心テーマにして描かれている。 序の章 人の章の最後に直接つながる 天の章 少年期~青年期 地の章 藩主となるまで 人の章 藤井紋太夫事件まで 義の章 光圀最晩年
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全2巻。 「天地明察」の冲方丁版水戸黄門。 黄門さま最大のミステリー、 藤井紋太夫の手討ちを軸に、 水戸光圀の生涯をたどる形。 個人的に、水戸黄門と言えば村上元三版だったのだが、 これはこれであり。 藤井紋太夫事件を中心においているので、 村上版よりハッキリしてる。 キャラ造形...
全2巻。 「天地明察」の冲方丁版水戸黄門。 黄門さま最大のミステリー、 藤井紋太夫の手討ちを軸に、 水戸光圀の生涯をたどる形。 個人的に、水戸黄門と言えば村上元三版だったのだが、 これはこれであり。 藤井紋太夫事件を中心においているので、 村上版よりハッキリしてる。 キャラ造形も藤井紋太夫事件を念頭に考えられており、 自然に沖方版事件を受け止める事ができる。 背表紙に「宮本武蔵と出会う」なんて書いてあって、 やばいかなーと思ったけど、 これも割と説得力があり、 トンデモ感はあまり無かった。 ただ、惜しむらくは、 最大のテーマであるはずの事件の真相について、 そこまで盛り上がらなかった事。 ここがガッとできてたら エピローグいらなかったのに。 クライマックスでなく、 前半がピークになってしまった印象。 少年時代が面白すぎた事もあり、 事件の真相が盛り上がりに欠ける事もあり、 少し物足りない読後感に。 おしい。
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