光圀伝(上) の商品レビュー
上巻を読み終えて。 冒頭から、いわゆる水戸黄門さまのイメージが覆される。 七歳にして、はねた首を引きずり煮ているところを刀で刺す、、、。描写がきつすぎ。 幼少時から猛々しく正に虎。反面、詩歌に長け、まさにギャップ萌え的なところもあるのか、光圀の生き方に引き込まれる。 義を貫こう...
上巻を読み終えて。 冒頭から、いわゆる水戸黄門さまのイメージが覆される。 七歳にして、はねた首を引きずり煮ているところを刀で刺す、、、。描写がきつすぎ。 幼少時から猛々しく正に虎。反面、詩歌に長け、まさにギャップ萌え的なところもあるのか、光圀の生き方に引き込まれる。 義を貫こうとする前に、立ちはだかる?若妻泰姫。柔和されていく光圀に、ますます面白くなってきた。
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おそらく日本人で知らない人がいない水戸の黄門様の物語。 上巻はその少年期から青年期まで。 なんというか、非常に負けん気の強いかぶいたとんがった人物として描かれている。 そこにあるのは青年期の苦悩や葛藤、一途な志と研鑽とそして昂揚。 それはある意味、時代物語ではなく青春物語だ。 ...
おそらく日本人で知らない人がいない水戸の黄門様の物語。 上巻はその少年期から青年期まで。 なんというか、非常に負けん気の強いかぶいたとんがった人物として描かれている。 そこにあるのは青年期の苦悩や葛藤、一途な志と研鑽とそして昂揚。 それはある意味、時代物語ではなく青春物語だ。 もちろん光圀の出生の秘密や武蔵や山鹿素行などとの交わりは、歴史物を読む楽しみだ。 なんだけど、物語として面白かったかというと、さすがにこの太平の世に特に大きな出来事もなく、そう意味での面白さはあまりなかったかな。 ただ、上巻の終盤近く、姫の登場とともに物語に燦めきが加わって俄然面白くなってきた。 いや、姫が傑物なのは十分分かったよ。 そんな面白くなってきたところで下巻に続く。 うん、うまいなあ。 さて、次だな次。
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文庫本化で再読。単行本の時にも思ったのだが、最初の殺人と途中で差し込まれる回想シーンは物語最後に至って繋がる伏線となっているのかもしれないが、ない方がよいと思う。いずれにしろ、再読にても物語に引き込まれてしまうので、よきかな。
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幼少時からの生き様から丁寧に描くことで,本来の光圀の為人と生にかける思い・哲学を明らかにする.水戸藩の学問に対する底力の根底を創成した煌星の如き学者達との交流に羨望を抱く.やはり,人との交わりが能力を育てる.
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2015/9/26読了 義を全うするためには、不孝や不義をしてはいけない…そんな光圀の葛藤がすごく伝わって来る、下巻が楽しみ。
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若き日の光圀は放埓で無軌道な若者かと思えば詩歌にも造型深い文学青年でもあった。諸国を漫遊するのはフィクションだとわかっていても、好々爺のイメージが強すぎる人物のまったく異なる姿が人間臭く描かれていて痛快である。苦悶しながら目指す道を究めんと成長していく様子がなんとも力強い。
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水戸光圀のお話。前編は若い頃。 徳川幕府になって、3〜5代目の家光、家綱、綱吉の頃。 戦国の世が終わり、泰平の時代。 血気盛んな光圀は、戦というはけ口がないため、学問、特に詩歌に傾注し、文武両道の男になっていく。 1人の若者が、意志を持って行動し、様々な出会いによって導かれ、豊...
水戸光圀のお話。前編は若い頃。 徳川幕府になって、3〜5代目の家光、家綱、綱吉の頃。 戦国の世が終わり、泰平の時代。 血気盛んな光圀は、戦というはけ口がないため、学問、特に詩歌に傾注し、文武両道の男になっていく。 1人の若者が、意志を持って行動し、様々な出会いによって導かれ、豊かな人間として成長していく様はとても面白い。 己のレベルに満足せず、常に精進する光圀。 長男でもないのに世子として据えられ、己の出生や境遇に疑問や苦悶を抱える光圀。 血の通った人間のエネルギーがぐいぐい入ってきて、大好きな作品なので星5つ。
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武から文に移り変わる時代を生きた、全国を漫遊したりしない光圀の物語。表紙の虎は、光圀のイメージか。 上巻で描かれる若き日の光圀は、文武両道に秀で、破天荒でありながら、懊悩を抱えてたり。 才を持つ者には、むちゃくちゃにライバル心を掻き立てられて対立したり、いつの間にか同志として深...
武から文に移り変わる時代を生きた、全国を漫遊したりしない光圀の物語。表紙の虎は、光圀のイメージか。 上巻で描かれる若き日の光圀は、文武両道に秀で、破天荒でありながら、懊悩を抱えてたり。 才を持つ者には、むちゃくちゃにライバル心を掻き立てられて対立したり、いつの間にか同志として深い絆を感じるに至ったり。 命の輝きにあふれた人物像です。
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この物語は老成した水戸光圀が、ある男に引導を渡すところから始まる。 腕っぷしで一番を目指した幼少期を終え、天下泰平の世の中では戦が起きないことを悟り強さで天下を取れないことを悟った光圀は、詩で天下を取ることを志す。 同じ母親から生まれた子なのに、兄を差し置いて水戸の跡取りとして育てられた光圀は、常に「なぜ俺なんだ」と疑問を持っていた。 家の問題で本来ならば生まれることなく水子として葬られるはずだったことを知り苦悩する。 弟の自分が後継ぎとなるは不義、ならばと自ら考えた義を通そうとするも、その願い叶わず。 繊細さを秘めた豪放磊落。上に立つ者、文武両道。 まったく新しい水戸黄門伝。
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力作なのですが、どこか弾みがありません。 結局、光圀とは何者だったのか? 「詩で天下を取る」としながらも途中から尻すぼみの感があり、水戸藩の様々な改革に着手しながら特に大きな成果を出せず、思いやりの深い藩主とされながらも、多くの罪人を出し、自ら処刑したりする。 何か描き方が中途半...
力作なのですが、どこか弾みがありません。 結局、光圀とは何者だったのか? 「詩で天下を取る」としながらも途中から尻すぼみの感があり、水戸藩の様々な改革に着手しながら特に大きな成果を出せず、思いやりの深い藩主とされながらも、多くの罪人を出し、自ら処刑したりする。 何か描き方が中途半端な気がします。失敗や挫折もその努力がしっかり描けていれば良いのですが、なんだかサラリと終わってしまいます。上下二巻、テーマを絞れば十分すぎるほどの長さです。しかしその中で親子の確執、兄に対する大義、詩文、藩主としての功績、徳川御三家の政治、そして大日本史と様々な事を取り込み、結果的に焦点がボケたように思います。 光圀と結婚する泰姫と左近の局の主従のキャラは魅力的でした。もう少し前面に出した方が良かったかな
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