持たない幸福論 の商品レビュー
タイトルどおり、著者の持たない生き方と幸福の関係について語られている。 「今は今までの歴史の中で一番なんでもできる自由な時代だ」 生きづらいならば、なんとなく持っている義務感を捨てさろう。 ◯所有と義務 著者が「お金を得るためには働かなければいけないという厳然たる宇宙の法則」...
タイトルどおり、著者の持たない生き方と幸福の関係について語られている。 「今は今までの歴史の中で一番なんでもできる自由な時代だ」 生きづらいならば、なんとなく持っている義務感を捨てさろう。 ◯所有と義務 著者が「お金を得るためには働かなければいけないという厳然たる宇宙の法則」と表現するように、 生活コストの増加は働く義務の増加を意味する。 「何か物を持つということはその管理コストを抱えるということでもある。」 物の所有はコストを増加させる。 ロバート・キヨサキ「金持ち父さん 貧乏父さん」の一節「資産とは、あなたのポケットにお金を入れてくれるもの」「負債とは、あなたのポケットからお金を奪っていくもの」を思い出した。 タイトルの「持たない幸福論」は、負債を持ってはいけないということだと理解した。 ◯能力の限界 著者は自分の体力、気力の限界を知っている。 長期間、重労働を続けられるというのは過信。 副題の「働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない」は、過大なコミットをして負担を負うなと理解した。 まともな人間はやっている、とされることをすべて満たすハードルは非常に高い。あきらめてよい。 ◯人生の意味 人生に意味などない。しかし人間は意味がないことには耐えられない。だから、本能や論理、直観、社会の慣習、何でも使えるものは使って意味を見いだしていけばよい。 価値は客観的にあるものではなく、自分で適当に決めてよい。 ◯幸福のコア 著者は、生きるのに本当に大事なことは以下の2つだという。 「一人で孤立せずに社会や他人との繋がりを持ち続けること」 「自分が何を好きか、何をしているときに一番充実や幸せを感じられるかをちゃんと把握すること」 最低限満たされていないと不幸になるものがあるので、きちんと押さえる。 トム・ラスとジム・ハーターの「幸福の習慣」を思い出した。 ◯家族(家庭)の機能 恋愛、セックス、共同生活、モチベーション、財産のシェア、育児や介護。 さまざまな機能があって強力、実績もある。 しかし、これらの機能を家族だけで達成する必要はない。家族が最適とも限らない。 シェアハウスなど、他のシステムの力も借りてよい。 ◯ゆるやかなコミュニティ 複数のコミュニティに所属する。 場所をつくる。 中心になる必要はない、眺めている程度でよい。 去るものは追わず、来るものはたまに拒む。 滅びたらまたつくる。
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2015年5月26日発売 前回の著書『ニートの歩き方』より3年経って発売された本。『ニートの歩き方』はそれこそニート向けに書かれていたが、今回著者はもっと対象を幅広く意識して書かれたとのことだ。その対象というのは「真っ当な生き方をしているが苦しんでいる人」もしくは「真っ当な...
2015年5月26日発売 前回の著書『ニートの歩き方』より3年経って発売された本。『ニートの歩き方』はそれこそニート向けに書かれていたが、今回著者はもっと対象を幅広く意識して書かれたとのことだ。その対象というのは「真っ当な生き方をしているが苦しんでいる人」もしくは「真っ当な生き方しないといけないと苦しんでいる人」という感じだろう。まさに自分自身に向けて書かれた本のようだった。「変化の激しい時代でそれにあった生き方ができないでいる」そんな人が日本には沢山いる(私もその一人)から、著者の生き方に惹かれていくのだと感じた。そしてこの本にはその苦しみから解放されるための具体的な方法が丁寧に書かれている。 著者は本著の中で本を読むことを勧めている。本によって得られた知識が今の時代がどういう時代なのか知ることができたのだろう。著者の感じる違和感を本が肯定してくれたように、私が本著を読んで自信を持てた。きっとミームが起きたのだろう。 本著のような考え方をみんなが持てたらきっと楽しいし、成熟してしまった日本がさらに発展する方法だと思う。しかし本著で述べているように変化はすぐには起きない。でも確実にミームしながらゆっくりと変わって行くのだろう。だから自信を持って生きていいんだと思える1冊。
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第3章は再読したい。 田舎と都会 仕事と私事 どっちかに片寄らず気分的に行き来できればいいのでは。 第4章の居場所についてのゆるく流動的な考え方もおもしろい。
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pha『持たない幸福論』(幻冬社、2015)を読む。 『ニートの歩き方』で評判を取った伝説の京大卒ニート36歳の人生論。悟りに迫りつつある気迫、ダルいという感覚を全面的に肯定する生き様。中世ならひとかどの高僧になっておられたことでしょう。知識人の魂を感じます。 phaさんもプ...
pha『持たない幸福論』(幻冬社、2015)を読む。 『ニートの歩き方』で評判を取った伝説の京大卒ニート36歳の人生論。悟りに迫りつつある気迫、ダルいという感覚を全面的に肯定する生き様。中世ならひとかどの高僧になっておられたことでしょう。知識人の魂を感じます。 phaさんもプログラミングやお手伝いで年収100万円程度とのことで、類書の年収100万円で暮らすおじさんの話と同じく、物質、欲、消費文明への違和感を表明。宗教の違いとまで(ゆるく)断じます。 必要十分な労働、自分にとっての価値。ミニマリズムの実践者がここに。 【本文より】 ◯僕のことを「京大を出てまともに働かず貧乏暮らしをしているのはもったいない」などと言う人もいるけれど、僕が大学受験や大学生活で得たものは本を読んだり学んだりすることの面白さや勉強の方法やコツで、今の僕の生活はその得たものを十分に活用できていると思う。 ◯ブログを書いていると不特定多数の人が読みにくるので、僕のブログにもときどきよく知らない人(大体ちゃんと文章を読んでいない)が「あなたの考えは間違っています」とか「もっと働いてください」とかコメントをしてくるんだけど、そういうのは全部「あー、あなたの宗教ではそう考えるんですね、僕は違うからよく分かんないけど」って思ってスルーしている。 ◯ときどき引越しをして持ち物や住環境などを全てリセットするのが好きだ。引っ越すときもできるだけ家具が最初から付いている家を選ぶようにしている。[中略]物は全て借り物でいい。/抱えている物が少ないほど身軽に自由に動けるというのは、それは具体的な品物でも、抽象的な実績とか記憶とか過去とかでも同じだと思う。 ◯広告を見たり店に行ったりすると「これを買うといいよ」とか「これみんな買ってるよ」みたいな誘惑の情報が溢れていくらでもお金が必要な気がしてくるけど、そういうのはこの消費社会特有の物を買わせるトラップだ。
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