意識はいつ生まれるのか の商品レビュー
意識発生のメカニズムについての仮説をわかりやすく解説している。まず脳の働きと意識の関連とその不思議な働きから説明が始まり、Nスペの『驚異の小宇宙 人体』ファンとしてはそれだけでワクワクする。そこから、実際の現象との比較から順を追って矛盾がないことを説明するくだりは興奮して本をめく...
意識発生のメカニズムについての仮説をわかりやすく解説している。まず脳の働きと意識の関連とその不思議な働きから説明が始まり、Nスペの『驚異の小宇宙 人体』ファンとしてはそれだけでワクワクする。そこから、実際の現象との比較から順を追って矛盾がないことを説明するくだりは興奮して本をめくる手が止まらなかった。もうこうなると人工知能の領域で意識発生を実証してもらいたいところだが、そこまでは触れられなかった。あくまで著者は臨床医なのかな?しかし、こうなると意識を持つAIの登場する日は近いんじゃないかと思ってしまう。
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脳がどのような状況下で意識があり、ないのか、その差について追求している。 結果しては、適切に情報統合された状態が意識がある状態ということ。では、その状態は人間以外にもありうるのか、といった部分は明確な結論は無い。
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意識があるとは何なのか。一見自明そうだが、現象として把握しようとすると実に掴みどころのない問を平易にかつ論理的に紐解いている良書。
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意識があるとはどういうことか、という難しい問題に取り組む本。 AIを人工「知能」だとは、ちっとも思わないけれど、このまま、コンピュータが、ニューロン、シナプスをどんどん模倣し続け、どんどん複雑なタスクができるようになってくると、そのうち大概の事は、人間と変わらずできちゃうんじゃな...
意識があるとはどういうことか、という難しい問題に取り組む本。 AIを人工「知能」だとは、ちっとも思わないけれど、このまま、コンピュータが、ニューロン、シナプスをどんどん模倣し続け、どんどん複雑なタスクができるようになってくると、そのうち大概の事は、人間と変わらずできちゃうんじゃないだろうか、とか、そうなった時に、コンピュータには意識ができる時が来るんだろうかとか、気になるところ。 この本は、コンピュータには意識は宿らない説。 難しいテーマの割に驚くほど読みやすい。 しかし、その読みやすさは、肝心な理論の中身をほとんど議論していないからでもある。確かに、数式バンバン出てきて、面倒くさいことを更に難しく言われるのも嫌なんだけど、全然説明しないで、数値だけ示されても困るんだよ。この系は、ファイが20とか書いてあると、何で20なのか気になっちゃうじゃないか。 統合が、情報を省略することで示されるかは疑問。多様な入力を小さいアウトプットにできれば良いと言う事は無いのでは? 最後はポエム。
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①他人の脳の中に意識の光が灯っているのかどうかを確かめる方法は今はまだ無い。 ②意識を生み出す基盤はたくさんの数の異なる状態を区別できる統合された存在である。つまり、ある身体システムが情報を統合できるなら、そのシステムに意識はある。 ③脳の特徴は1つに統合されているということ...
①他人の脳の中に意識の光が灯っているのかどうかを確かめる方法は今はまだ無い。 ②意識を生み出す基盤はたくさんの数の異なる状態を区別できる統合された存在である。つまり、ある身体システムが情報を統合できるなら、そのシステムに意識はある。 ③脳の特徴は1つに統合されているということであり、日常にあるものは単一のものの寄せ集めにすぎない。
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意識と情報量の関係がキーポイントというのが面白かった。 エントロピーの高い状態のものを予測できる能力が重要。
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「明るい」と言うとき、あらゆるパターンの「明るくない」を捨てている。つまり、私たちはモノゴトの意味を複雑で多様な情報を統合することで理解する。これはとても示唆に富む。 私は「私」をはあらゆる可能性の「私ではない」私だと理解している。
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「意識はいつ生まれるか」というタイトルではあるが、全体 として「意識があるということをいかにして測定するか」と いう内容だったように思う。多様性と統合によって意識が 生じる、そしてそれを測定することが可能である、という ことはよくわかるし、面白い内容だとは思う。読み応えの ある素...
「意識はいつ生まれるか」というタイトルではあるが、全体 として「意識があるということをいかにして測定するか」と いう内容だったように思う。多様性と統合によって意識が 生じる、そしてそれを測定することが可能である、という ことはよくわかるし、面白い内容だとは思う。読み応えの ある素晴らしい著作ではあるのだが、多様性を保ちつつ それを統合することによってなぜ意識が生まれるのか、 そしてそもそもその「意識」とは何かということについては 何も述べられていないので、もどかしさも感じてしまった。
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手のひらに乗るくらいの大きさの物質である脳に、どのようにして意識が宿るのかを説いた本。 進化の系統的にどの段階で意識が発生したのかや、人間の成長のどの段階で意識を持つのか、を説明しているわけではない。実はそう思って読み始めていた。実際のところは、意識が生まれるためにはどのような条...
手のひらに乗るくらいの大きさの物質である脳に、どのようにして意識が宿るのかを説いた本。 進化の系統的にどの段階で意識が発生したのかや、人間の成長のどの段階で意識を持つのか、を説明しているわけではない。実はそう思って読み始めていた。実際のところは、意識が生まれるためにはどのような条件を満たせばよいか、が近い。 そして、その答えを導くのが「統合情報理論」である。重要なのは、情報に多様性があり、なおかつ全体が統合されているという、そのバランスである。それをΦという単位で表している。小脳はシナプスが非常に多く多量の情報を扱うことができるが、全体として統合されておらず、意識を宿すことはない。心臓は統合されたシステムだが、単純なパルスを刻むだけで、情報量は少ない。当然、心臓には意識はない。 今のところ、Φが大きいシステムとなっているのは、大脳の視床皮質である。 興味深いポイントは、Φは連続量であるため、意識がある/ないの境界をはっきり分けることはできないということ。覚醒した人間のΦは大きいけれど、寝入る寸前や、麻酔から覚醒する過程などはΦが小さい。乳幼児のΦも小さいのかもしれない。サルやイルカやイヌやネコは人間と同じ言語が使えないというだけで、高いΦを持っているのかもしれない。昆虫にも意識があると言えるのかもしれない。 統合情報理論はまだ確固たる裏付けはないらしいが、世界の見方をちょっと変えることができた。
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”意識”というものをどうやって測るのか? この難題に様々な理論、臨床試験を経て迫っていく過程を分かりやすく解説する。 普段意識することは無いが、わずか1.4キロの物体である脳がこの”我”の思考、記憶、全てを司っているかと思うと不思議な感覚になる。 特に覚醒時、睡眠時、植物人間な...
”意識”というものをどうやって測るのか? この難題に様々な理論、臨床試験を経て迫っていく過程を分かりやすく解説する。 普段意識することは無いが、わずか1.4キロの物体である脳がこの”我”の思考、記憶、全てを司っているかと思うと不思議な感覚になる。 特に覚醒時、睡眠時、植物人間などの明確な違いを様々な方法で浮き彫りにしていく過程は面白かった。 こういう、最先端の脳科学や医学を分かりやすく書いてもらうと全く専門知識が無くても色々知ることが出来て有難い。
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