嵐のピクニック の商品レビュー
作者を先に知って、そこからこの本に辿り着いた。作風を知らなかったから読み心地が浮ついていたけど、最後まで読んでようやくこういうジャンルか、と理解した。あとがき?として寄せられていた文章を読んで作品の異質さを知る。
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ずっと、クスクス笑いながら、でもどこか、後ろを振り返りたくなるような怖さもありつつ…短編だからこそ、後をひきづることなく読み終えられました。
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⚫︎感想 ひとつひとつ、大変興味深い短編が13編。 語り手の年齢、性別を自在に操る感覚に感銘を受けた。日常の設定からわずかに逸脱していく感覚が共通していて、興味深く読めた。また読み返したい。 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しい...
⚫︎感想 ひとつひとつ、大変興味深い短編が13編。 語り手の年齢、性別を自在に操る感覚に感銘を受けた。日常の設定からわずかに逸脱していく感覚が共通していて、興味深く読めた。また読み返したい。 ⚫︎あらすじ(本概要より転載) 弾いている私の手首の下に尖った鉛筆が近づく――。優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気「アウトサイド」、カーテンの膨らみで広がる妄想「私は名前で呼んでる」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い「哀しみのウェイトトレーニー」他13編。キュートでブラック、しかもユーモラス。異才を放つ著者初の短編集にして、大江健三郎賞受賞作。
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妄想炸裂する奇妙な物語 ☆アウトサイド:問題児を改心させるピアノレッスン 名前で:カーテン膨らみ現象 p太郎:露天商襲撃 亡霊病:最幸の時発症 ☆ピクニックシート:試着室,粘る客に究極サービス
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ピアノの話が好きだったな 作者の人間性の狂いようがなんとなく香ってくるような作品。全く異なる短編を時間が空いた時に味わいたい人用
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13の短編が収録されている。まず2つの作品を続けざまに読んだとき僕は、ずっとこれを求めていたに違いない! と目の覚めるような想いとともに、自分の読書脳と創作脳がほの温かく躍動し始めるのを感じたのでした。わかりそうな人たちに、「ちょっとこれ読んでみ」と前のめりで薦めたい。見つけた!...
13の短編が収録されている。まず2つの作品を続けざまに読んだとき僕は、ずっとこれを求めていたに違いない! と目の覚めるような想いとともに、自分の読書脳と創作脳がほの温かく躍動し始めるのを感じたのでした。わかりそうな人たちに、「ちょっとこれ読んでみ」と前のめりで薦めたい。見つけた!感が泡立つのです。 話を展開をしていくために言葉のバランスを考えたり表現を考えたりしながら書いている部分と、内容や自己に沈潜して書いている部分と、そしてもともとの発想があると思うのだけど、三位一体的でした。そしてぎゅっとして無駄がない。 以下、とくに好きだった3作品についての感想です。 「私は名前で呼んでる」 カーテンのふくらみから妄想と記憶が流れ出す話。こういう、なんともいえない錯覚の渦中にいる感じってあるなあと思う。でも、言葉にできるほど意識の腕が届いていない領域のものでもある。この、書き手の「意識の立ち位置」みたいなものを考えないわけにはいかない。そんなところに立っていたか!と言うような立ち位置から書いている気がした。目を閉じて想像や思考の世界に耽溺しているだけでは書けない。だからといって目をかっと見開き外の世界をつぶさに見つめ続けるだけでも書けない。言うなれば、薄目で外の世界を眺めながら思考や想像ともつながっている意識で書いたような小説、という感じがして、そこを対象化して言葉にしたのがすばらしい。 「マゴッチギャオの夜、いつも通り」 猿山のなかのいっぴきの猿。名前をマゴッチギャオという。その猿山にいっぴきのチンパンジーが入れられることになり、マゴッチギャオはおそるおそる近づいてみる。この作品はもっとも寓意を感じるような話で、印象深い。ラストの締め方に一撃を食らいます、それもやられてしまう一撃ではなく、なんていうか力がわくような一撃です。 「ダウンズ&アップス」 主人公のデザイナーは、自分にこびへつらいお世辞ばかり言われる環境を、とても心地の良いものと肯定している。それも、強固な肯定感で。意見を言う若者を、表向きは物珍しさのために近くに置くようになるのですが、それでも、自己肯定感の恒常性のほうが強かった。意見を言う若者を近づけたのは、ほんとうに、物珍しさのためだけなのか。主人公の心の中にはいっさい迷いがないようではありますが、実は無意識のほうで渇望しているものがあったのだろうなとうっすらと思うのでした。しかし、この主人公の自己肯定感の強さはほんとうにすごくて、読んでいると、主人公が穢れのないくらい潔癖に正しい、と思えてしまうくらい。それほど、この短い話に揺さぶられてしまった。主人公像としては、アンディ・ウォーホルが思い浮かびました。 というようなところです。僕も自分の小説を書くにあたって、真似したいわけではないのだけど、自分の才能をぐいいっと空間の隅々まで伸ばして書くような書き方をしてみたいです。読み手としては興奮するし、書き手としては刺激になりました。よい出合いでした。おすすめです。
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私が毎週観ている番組のレギュラー出演者でもある本谷さんの小説を前々から読んでみたいと思っていた。テレビでお話しされている本谷さんしか知らなかったため、最初は「本谷さんってこういったお話を書かれるのか!」と現実と小説の世界を行き来させながら読んでいたのだが、あっという間に彼女のつく...
私が毎週観ている番組のレギュラー出演者でもある本谷さんの小説を前々から読んでみたいと思っていた。テレビでお話しされている本谷さんしか知らなかったため、最初は「本谷さんってこういったお話を書かれるのか!」と現実と小説の世界を行き来させながら読んでいたのだが、あっという間に彼女のつくる独特且つ奇妙な世界に引きずり込まれることとなった。 13篇どれを取ってもかなり変わったストーリーだったと言える、しかし一度入り込むと病みつきになりページをめくる手が止まらなくなってしまう。 なんだか催眠術にかかっている気分だった。
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本谷有希作。各話趣向の異なる短編集。 いい意味で狂ってる。筒井康隆風味。 「彼女たち」「タイフーン」の勢いはヤバかった。
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現役作家の中から実力派を探したい、という狙いを「大江健三郎賞」受賞者ということをフラグに託してみて、正解だった。無作為に選ぶ、ということは怖い。ナビゲーターとしての大江健三郎は、いまでも好相性だということを再確認。 . 大江自身も評価している「アウトサイド」「悲しみのウェイトトレ...
現役作家の中から実力派を探したい、という狙いを「大江健三郎賞」受賞者ということをフラグに託してみて、正解だった。無作為に選ぶ、ということは怖い。ナビゲーターとしての大江健三郎は、いまでも好相性だということを再確認。 . 大江自身も評価している「アウトサイド」「悲しみのウェイトトレイニー」が好篇。 「いかにして私がピクニックシートを見るたび、くすりとしてしまうようになったか」という10ページほどの短編も良かった. . 大江が解説で「筒井康隆」に言及しているが、雰囲気として近い。 「くすり」とさせられるのだが不気味で気がかり。 発想の突飛さという点では、他に秀逸な作家は見つかるだろうが、料理の仕方に独自性が存在する。かつ、料理の仕方がひとつではなく多彩。
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タイトルに惹かれて購入した短編集。 長さもテイストもバラバラな作品が13篇収録されており、いい意味での雑多さが作風に合っていると感じた。目次のレイアウトも自由。 何度も読み返して考えたくなる話もあれば、理解不能な話、一度大笑いして2度と読まないだろうなと思う話も含まれていて、これ...
タイトルに惹かれて購入した短編集。 長さもテイストもバラバラな作品が13篇収録されており、いい意味での雑多さが作風に合っていると感じた。目次のレイアウトも自由。 何度も読み返して考えたくなる話もあれば、理解不能な話、一度大笑いして2度と読まないだろうなと思う話も含まれていて、これぞ短編集。 「アウトサイド」、「ダウンズ&アップス」はメッセージ性が高く、登場人物の感情の機微が読みやすかった。どちらもあまり明るい結末ではなかったものの、致命的な傷を残すということもなく、喪失感と引き換えにしてしか得られない視界の広がりを感じられた。 「私は名前で呼んでいる」、「Q&A」は大好き!疾走感と開放感が特徴で、特に前者は自問自答にすぎない頭の中の思考に明らかな相手を見出しており、会話として成り立ってしまっている点が奇妙で味わい深かった。 恋愛観を含む作品が何遍も含まれているのにどれも一貫性がなく、一人の作者がこれだけのバラツキを生み出せるという点に驚いた。 「パプリカ次郎」、「How to burden the girl」に関してはいまいち主題が読み取れず、読み終わっても首を傾げることしかできなかったが、むしろこちらの方がシュール文学の醍醐味を味わっているのかもしれない。
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