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持たざる者 の商品レビュー

3.4

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2015/09/16

図書館で借りました。 最初はタイトルと中身が自分の中で一致しなかったけど、最後の朱里の章ですとん、と落ちた、 まあ、既婚者には一番のリアリティーがある題材という事もあるんだろうが(笑) 本当にすとん、とした感じ。 この作者本人も確か、震災後は引越しをされたんじゃなかったかな...

図書館で借りました。 最初はタイトルと中身が自分の中で一致しなかったけど、最後の朱里の章ですとん、と落ちた、 まあ、既婚者には一番のリアリティーがある題材という事もあるんだろうが(笑) 本当にすとん、とした感じ。 この作者本人も確か、震災後は引越しをされたんじゃなかったかな❔ だから、Shuの章が凄く『大袈裟』だとか思えない。 そして、eriの章では作者御本人のイメージが脳裏をよぎった。 そして、朱里の章では今回の押しかけの動機はリストラだが被災当時、こういった事情を抱える家庭も多かったに違いない。 そうこう言ってる間に、先日の台風被害…。 何を『持っている』のか『持っていないのか』『持てない』のか、こういった状況に否応でも掘り込まれた時に、わかるのかもしれません。

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2015/09/14

最後の章に出てくるダメ男。自分にもそういうところがあるなと気づいて軽く落ち込んでいる。 もう25年も一緒にいるのに妻の機嫌が急変する理由が今もってわからないのは、やはり私がダメ男だからなのか。

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2015/08/30

著者自身の3.12体験に基づくエピソードがベースになっている。人は信じていた土台を失った時、どのような行動に出るのか。危機に直面した時こそ人の本質が曝け出される。生涯見ることがなかったかもしれなかったお互いのギャップによる感情の疎隔。訳の分からない感情と衝動に駆られ理解不能の行動...

著者自身の3.12体験に基づくエピソードがベースになっている。人は信じていた土台を失った時、どのような行動に出るのか。危機に直面した時こそ人の本質が曝け出される。生涯見ることがなかったかもしれなかったお互いのギャップによる感情の疎隔。訳の分からない感情と衝動に駆られ理解不能の行動に至る。4つの家族の遭遇しなかったはずの未来。黒く滲んでいく未来に自らをどう嵌めていくのか。生き方を今一度考えさせられた。

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2015/08/22

日本ってなんなんだろ。24時間営業、日曜日も営業、ありあまる遊びと娯楽。だけどそこに割ける時間はほんの少し。いちど虚無感を感じてしまったらもう無理な気がする。朱里の章が他人事とは思えない。ひとが羨ましくて、過去の自分すら幸福そうで羨ましい。eriみたいにふわふわ生きてけるひとが羨...

日本ってなんなんだろ。24時間営業、日曜日も営業、ありあまる遊びと娯楽。だけどそこに割ける時間はほんの少し。いちど虚無感を感じてしまったらもう無理な気がする。朱里の章が他人事とは思えない。ひとが羨ましくて、過去の自分すら幸福そうで羨ましい。eriみたいにふわふわ生きてけるひとが羨ましくて、苦手。

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2015/08/05

東日本大震災により、引き起こされた福島原発事故。 東京の一線で働くクリエイターは、事故により拡散される放射能に危惧を抱く。そして、自らの家族の安全を最優先に考えた.....そして、いまの彼は。 その彼の暮らしに、現れる一人の女性と彼女の生活。 彼女、千鶴には、ひとりの妹がいて、イ...

東日本大震災により、引き起こされた福島原発事故。 東京の一線で働くクリエイターは、事故により拡散される放射能に危惧を抱く。そして、自らの家族の安全を最優先に考えた.....そして、いまの彼は。 その彼の暮らしに、現れる一人の女性と彼女の生活。 彼女、千鶴には、ひとりの妹がいて、イギリスで暮らす。 そして、妹エリカの生活に登場する幾人かの登場人物。 一本の筋を伝って、その筋はつながったまま、原発事故後の時間が過ぎている中で、営まれる暮らし。 舞台の中の生活は、むしろダイナミックに展開しているのに、読み手が受ける印象は、淡々としているのではないだろうか。 自分のことを、一歩曳いて、紗がかかったような映像をみる自分が、その物語を語っている。 織りなされる4つの物語を読み終わった後に、感じたものは....  その先彼らの生活。... そして続いていく暮らし。

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2015/08/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

朱里の章が一番面白かった。義兄夫婦に部屋乗っ取られたら、腹立つよねぇ・・・。強く抗議できないところがまたツライ。光雄さん、兄さんたちに、今すぐビシッと「早く引っ越し先決めて、部屋空けてくれ」って言ってよ〜! 朱里もいよいよ我慢の限界に来ているのか、だんだん口調が乱暴になってきている。心のつぶやきが荒くなってきている。ま、当然だよなぁ。でも義兄夫婦、出て行くことはアッサリ決まったみたい。もう一悶着くらいあるかと思っていたから、肩透かし。

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2015/07/30

やはり震災後、小さい子のいる友人が九州に避難したのを思いだし、生々しく読んだ。 うちは子供が大きいし、それぞれの生活もあるので、生活を変えるというのは現実的におもえなかったけれど、今でもSNSなり友人らが放射能汚染についてアツく語っているのに遭遇すると、キツくないのかなぁと同情す...

やはり震災後、小さい子のいる友人が九州に避難したのを思いだし、生々しく読んだ。 うちは子供が大きいし、それぞれの生活もあるので、生活を変えるというのは現実的におもえなかったけれど、今でもSNSなり友人らが放射能汚染についてアツく語っているのに遭遇すると、キツくないのかなぁと同情する。 体内被爆で癌に侵されたとしても、ガン細胞に負けない強い体、精神で生きる。という逃げられなかった負け惜しみ的な私のモットーでこれからもここで、生き続ける。 って全然レビューでないな(--;)

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2015/07/28

これって長編小説? 色んな書評に長編て書いてあるけど連作短編集じゃないの? まあ、いいや。 金原ひとみの作品を読むのはこれで二作目。 彼女の作風とかイマイチ分かってない。イメージ先行。 情緒不安定、エキセントリック、エロい、とか。 いやいやいや、この本を読んでわかったけど意外に...

これって長編小説? 色んな書評に長編て書いてあるけど連作短編集じゃないの? まあ、いいや。 金原ひとみの作品を読むのはこれで二作目。 彼女の作風とかイマイチ分かってない。イメージ先行。 情緒不安定、エキセントリック、エロい、とか。 いやいやいや、この本を読んでわかったけど意外にバランス感覚に優れた人なのね。客観的に物事見てるんだと感心。ごめん、偉そうで。 「持たざる者」というタイトルが示す通り、何かを失ったり捨て去ったりした4人の主人公がそれぞれ一人称で登場する。 作者本人がこれをかかなくては作家を続けられないと思った東日本大震災の事や、子供を失う状況、日常に潜む突然の喪失感などが描かれる。 一番良かったのは震災後放射能汚染を案じ妻子を西へと移住させようとする修人の章。第二章の主人公でもある千鶴と放射能汚染について議論を巡らせる会話が何と言っても面白かった。 小説の域を超えて生々しく迫ってくる。 敢えてここまで正面切って議論することはなかったけれど、あの時私にも同じように考えていたことを思い出した。 でも口に出しては言ってはならないような空気が蔓延していたのも事実だ。 ここまで赤裸々に書いちゃう金原ひとみはなかなかすごい。 他にも単に震災が一つのテーマになっているとは言え、それぞれの人生の行き方や人に対する劣等感だったり逆に優越感だったり色んな事がリアルに迫ってきて非常に面白かった。 結局何を言いたいのか絞りきれてないのが残念だけれど。 それにしても金原ひとみの人気?期待?はすごい。 久しぶりの作品というのも一因だろうけれど書評の数がまあ多い。 メジャーな新聞や雑誌はほぼ取り上げている感じ。 人気ありますねー。 次作も期待しています。

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2015/07/26

震災によって何かを失くした者たちの物語、なのかと思っていたのだけど。 震災をきっかけに海外に住むことになった人たちが、そのことによって、自分の中の何かを失った、もしくは失ったと思っている人たち。でも、それはひとつのきっかけにすぎなくて、そもそもそういう「失っている自分」を抱えて...

震災によって何かを失くした者たちの物語、なのかと思っていたのだけど。 震災をきっかけに海外に住むことになった人たちが、そのことによって、自分の中の何かを失った、もしくは失ったと思っている人たち。でも、それはひとつのきっかけにすぎなくて、そもそもそういう「失っている自分」を抱えていたことが露わになっただけのことなのかもしれない。 と思いつつ読んでいたら最後の章で気付いた。 結局、身近な「生活」の中にこそ喪失はあり、それについて日々悶々としつつ私たちは生きているってことなのだな、と。 目に見えない恐怖から逃れようともがいている私たちが本当に怖れなきゃならないのはもっと身近な小さな恐怖なのだろう。

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2015/07/13

新聞や雑誌の書評でとても評判がよかったし、あらすじにも興味を持ったので、久しぶりに単行本購入。 金原ひとみは読むのも初めて。 面白かった。一気に読める。各章ごとに主人公が変わり、他人として別の主人公が登場する。 そこで人が見ている他人の生き方や性格というのは、本人の苦悩や思いと...

新聞や雑誌の書評でとても評判がよかったし、あらすじにも興味を持ったので、久しぶりに単行本購入。 金原ひとみは読むのも初めて。 面白かった。一気に読める。各章ごとに主人公が変わり、他人として別の主人公が登場する。 そこで人が見ている他人の生き方や性格というのは、本人の苦悩や思いとはひどくかけ離れているし、ほんの一面に過ぎないということをリアルに体験できる小説でした。 海外生活を経験した主人公たちには共感した。 海外だと日本にいるより言葉の壁で思うようにコミュニケーションを取れる人が圧倒的に減るので、他人の言動に敏感になり過ぎる傾向があって世界が広がるどころか自分の価値観の中にとらわれ過ぎる気さえする。

Posted byブクログ