ファイト・クラブ 新版 の商品レビュー
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タイラーと知り合い殴り合い傷つくことで生を感じるサラリーマンの僕。タイラーが作ったファイト・クラブは秘密結社のごとく闇に潜り巨大化し様々な事件を巻き起こす。好きではない世界観なのに文章が詩的でとてもきれいで引き込まれる。しかし社会生活でも私生活でも行動は奔放でも規則からは逃れられず、むしろ規則あってのファイト・クラブ。自由って何だろう? タイラーを神と崇めたくなる気持ち、わかる気がする。現在もどこかにファイト・クラブはありそうな気がしてならない。
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仕事のストレスがマックスだった時に読んだので、ナパーム弾の作り方はフェイクだとわかっていても会社を爆発させる妄想をしながらニヤニヤして読了した。
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昔見た映画の原作ということで、読んでみた。映画の雰囲気と同じで、治安が悪い男たちの話という感じが面白かった。ただ映画よりも、厭世的な雰囲気をより感じられたところは、映像とは違う良さで、文学もいいなと思った。話の終わり方も好きだが、これが映画と同じかどうか覚えてない事が悔やまれる。...
昔見た映画の原作ということで、読んでみた。映画の雰囲気と同じで、治安が悪い男たちの話という感じが面白かった。ただ映画よりも、厭世的な雰囲気をより感じられたところは、映像とは違う良さで、文学もいいなと思った。話の終わり方も好きだが、これが映画と同じかどうか覚えてない事が悔やまれる。 また、「大英博物館のエルギン・マーブルをハンマーで叩き壊し、モナリザでケツを拭いてやりたい」という表現も、最低な事をしてみたいという欲求を、洒落た?言い回しで表しているので好きだ。
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主人公の歪んだ精神状態を表現しているのだとは思うが、序盤はいくら読み進めても絵が浮かばず、物語を読み進めるというよりは支離滅裂な文章を読んでいるだけの退屈な状態が続いた。 それでも後半からは読みやすい文章になってくるのだが、映画を視聴済みだった事もあり、タイラーの正体や話の流れ...
主人公の歪んだ精神状態を表現しているのだとは思うが、序盤はいくら読み進めても絵が浮かばず、物語を読み進めるというよりは支離滅裂な文章を読んでいるだけの退屈な状態が続いた。 それでも後半からは読みやすい文章になってくるのだが、映画を視聴済みだった事もあり、タイラーの正体や話の流れなどの驚きはなく、全体として少し物足りなさを残しつつ読了。 映画作品とオチは違うが、正直映画の方が綺麗にまとまっている印象を受けたし、終わり方も秀逸だった。 ただ、私自身はこの小説をあまり楽しむ事は出来なかったが、不思議な魅力に溢れた作品だと思う。
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おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。 事の始まりは、ぼくの慢性不眠症だ。 ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。 ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。 タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて...
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。 事の始まりは、ぼくの慢性不眠症だ。 ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。 ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。 タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する―― 人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピット&エドワード・ノートン主演の映画化以後、創作の原点をパラニューク自らが明かした衝撃の著者あとがきと、アメリカ文学研究者・都甲幸治氏の解説を新規収録。 デヴィッド・フィンチャー監督作品とストーリーはほぼ同じだけど、ブランド品で心の隙間を埋め広告に踊らされるブランド志向や生きている実感を得にくい社会や男性の生き方のロールモデルがない彷徨える男性の迷走へのシニカルでユーモラスな風刺が散りばめられた原作のユーモラスな面白みが良い。 「ファイトクラブ」の着想のきっかけが、ホスピスでのボランティアだったり、様々な細部の元ネタなどが判るあとがきも必読。
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映画は未見。ていうかよくこれ映画にできたなーどうやって映像化するんだよこれ 現代人は、みんな心の奥底にタイラー・ダーデンを飼っているのかもしれない 退屈な日常から引っ張り上げてくれる破天荒なカリスマというみんなの妄想が、実際に表出してしまったら……? みんなが「アイツの指令なら仕方ないよねー」って言いながらメチャクチャに暴れるための言い訳にできる存在がいたらどうなる……? っていうのが、この物語の本質だと思う
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私は野生を忘れた草食動物です。現代人に野生を取り戻させる圧巻の文学。 「私はジョーの前立腺です」から始まる、私は〇〇です、が好きだ。この構文、ファイト・クラブ構文と言っても良いのではないだろうか。(元ネタは雑誌みたいだけど) ファイト・クラブの創設者、タイラーは「僕」のもう一つの人格だった、というところに何故気がつかなかったのだろうと思うほど、比喩やシーン転換が巧みだった。 そして、殴り合い、全身に怪我をしながらでないと到達できない境地。私たちはフィクションを通して、とても自分では体験できないあらゆる体験ができるのだが、この「ファイト・クラブ」の描写は、騒乱プロジェクトや、タイラーのキスなどは、私たちがどんなに賢ぶろうと、動物で、有機物で、暴力の本能を持ち、血を流し、汚物で世界を汚し、死ぬということを、これでもかと訴えてくる。私はジョーの荒れ狂う胆のうなのだ。 文明は、私たちを野生から遠ざけていく。本能に近い部分はより隠蔽され、私たちに刺激を与えるのはいつでも人工のものだ。それに抗うかのように、ファイト・クラブは、自らの肉体、血肉を使うことで、自分という人間と向き合う場なのだ。 頭に焼きついて、ファイト・クラブを、チャック・パラニュークの文章、世界を欲してしまう自分がいる。
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映画を観てから興味が湧いて。 序盤は映画を観ていないと読めないかも…と尻込むほど独特な文体だなぁと思った。 日本語訳だから余計読みにくいのかと思ってたけど、読み進めるにつれ映像作品のようにシチュエーションがパンパン切り替わる文章が面白いし、主人公の脳内のカオス感が味わえて良かった...
映画を観てから興味が湧いて。 序盤は映画を観ていないと読めないかも…と尻込むほど独特な文体だなぁと思った。 日本語訳だから余計読みにくいのかと思ってたけど、読み進めるにつれ映像作品のようにシチュエーションがパンパン切り替わる文章が面白いし、主人公の脳内のカオス感が味わえて良かった。 紹介文に「カルトロマンス」と書いていて、映画を観た感じそんなにロマンスがあったか?と思ったが、小説は特に後半が分かりやすくロマンスだった。 映画だとブラッドピットという美しく、セクシーすぎる人間がタイラーを演じていたのでそっちに気を取られて、タイラーと僕を中心に観てしまっていたんだろうなと気付いた。 ファイトクラブ2があるらしいが、日本語訳版はないっぽい? どこからどう続くのかは気になるが、このままで終わらせてほしい気持ちもある。
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介護施設で働いていると利用者の理不尽な暴力に曝されることがあり、自分も首を締められたことがある。肉体がわりと元気な方だったので苦しかったけども、そのときとても脳内はクリアだった。本書を読んでそのときの澄み渡った感覚は、自分の命が自由で期限のあるものであることを実感したからだと思っ...
介護施設で働いていると利用者の理不尽な暴力に曝されることがあり、自分も首を締められたことがある。肉体がわりと元気な方だったので苦しかったけども、そのときとても脳内はクリアだった。本書を読んでそのときの澄み渡った感覚は、自分の命が自由で期限のあるものであることを実感したからだと思った。 本作は慢性不眠症を患う主人公にタイラーという人物が「おれを力いっぱいに殴ってくれ」と頼むところから大きく動きだす。2人の殴り合いはやがてファイト・クラブという互助グループとなり、規模を大きくし全米を揺るがす騒乱計画となっていく。 主人公は周囲がそうするように学校を卒業し、就職してメディアの勧める品を消費するようないわば普通の人。そんな主人公は物語が進むに連れて死という逃れられないものに向き合っていき、ファイト・クラブによってそれまで手にしていた普通を捨てていくことになる。この過程が自分の経験した命の危機にも通じるものがあるなと感じた。それと同時に、正解のない人生をいかに生きるのかという哲学的な問いに気付かされた。自分は本書からこの問へのアンサーとして、どんな生き方をしても自分は自分でしかないのだからもっと自分の力を信じて好きに生きてみたら?というメッセージがあるように感じた。
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映画は未見。 ワタクシあるあるだが、有名過ぎるので 観ていないにもかかわらず様々な媒体で情報を得て 観た気になってしまっていた作品の一つ――の、 原作を取りあえず読んでみた。 自動車事故の調査員である〈ぼく〉は 飛行機で各地を飛び回っていたが、不眠症になり、 安らぎを求めて様々...
映画は未見。 ワタクシあるあるだが、有名過ぎるので 観ていないにもかかわらず様々な媒体で情報を得て 観た気になってしまっていた作品の一つ――の、 原作を取りあえず読んでみた。 自動車事故の調査員である〈ぼく〉は 飛行機で各地を飛び回っていたが、不眠症になり、 安らぎを求めて様々な会合へ。 病を装って各種互助グループのミーティングに参加していると、 同じ穴の狢である女性、マーラ・シンガーと 方々で顔を突き合わす羽目になり、 互いにいくつかの場を譲り合うことで合意。 〈ぼく〉が夜勤の映写技師・兼 ホテル宴会場のウエイター、タイラー・ダーデンと 知り合った後、帰宅しようとすると、 コンドミニアムでは事故が起き、 部屋と家具が吹っ飛ばされていた。 〈ぼく〉は救いを求めてタイラーに電話し、 彼は居候になってもいいと許可してくれた。 但し、「おれを力いっぱい殴ってくれ」と条件を付けて……。 勉強して職に就き、真面目に働いていても、 どうでもいい物を買い集めることくらいしか 気休めが見つからない、あるいは、 消費社会の中で搾取される一方ではないかと感じる男たちが 真の生き甲斐を取り戻そうとする物語――なのだが、 > 男に生まれ、キリスト教徒で、アメリカ在住なら、 > 神のモデルは父親だ。(p.267) の一文に鼻白んでしまった。 ある意味、カースト最上位である「キミたち」が、 それ以上何を求めようというのかね、といったところ。 男子が寄り集まってワチャワチャする話は基本、 大好物のはずだけど、これはちょっといただけない。 ただ、稼いでも買っても集めても 一向に満たされないという心情には、 例えば(主人公は女性だが)いくつかの岡崎京子作品と 通じ合うものがあって、 原著の出版が1997年だから、 前年に事故で重傷を負った岡崎さんは この本を読んでいないかもしれないが、 もし読んでいたらどう感じただろうか、また、 彼女が本作をコミカライズしたら、 どんな仕上がりになったろうか……などと 勝手に夢想するのだった。 映画版の方が素直に(エンタメとして) 楽しめそうな気がするわ。 ※細かいことを後でブログに書くかもしれません。 https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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