夜の国のクーパー の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ファンタジー。ほのぼの、すっきり。猫と戦争と、クーパーのお話。 見えるものと見えないもの、立場が変わると見えなくなるもの。 諦めないことの強さ。そんなファンタジー。
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戦争と猫の話。という帯の文章を読んで、正直戦争の話はあまり好きではないし文庫化するまで待っても良いかな、と思っていた。 やっぱり伊坂さんだった。 たいていいつも良い方に裏切ってくれる。 雰囲気としては「オーデュボンの祈り」のような感じ。 知らない場所に流れ着いた“私”が喋る猫から...
戦争と猫の話。という帯の文章を読んで、正直戦争の話はあまり好きではないし文庫化するまで待っても良いかな、と思っていた。 やっぱり伊坂さんだった。 たいていいつも良い方に裏切ってくれる。 雰囲気としては「オーデュボンの祈り」のような感じ。 知らない場所に流れ着いた“私”が喋る猫から不思議な国の状況を聞かされる。 ストーリーとしては割とシンプル。 捻りはあるけどヒントも多いのである程度オチは読める。 先が読めても面白いし、何より作品に込められたメッセージが胸に響いた。 与えられた情報を鵜呑みにせず、何が正しくて何が間違っているのか自分で判断しろという言葉や、 どっちの側にも立たず、どの意見も同じくらい疑う事が重要、など現実世界でも、とりわけ今、実際に気をつけなければならないことだと思う。 考えることを放棄し与えられる情報を鵜呑みにしてしまうと、あっという間に世の中を動かすチカラを持った人たちに流されてしまう。 冠人にも鉄国にも支配されない国に、日本はなれるだろうか。
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語り手が猫、というちょっと変わった切り口。 猫の考え方や動きは納得感あり。 猫にこんな感じで観察されてるのかも。 最後はぐるっと視線が入れ替わる感じですね。
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伊坂さんの長編ファンタジー小説。意表を突かれる転換が随所に仕掛けらてて、次がどんどん気になり、あっという間に読み切ってしまいました!また、随所に思わず考えさせられるシーンもあり。鼠のネコへの淡々とした交渉シーンとか。複眼隊長の選択肢は2つ人に従うか、自分の信念に従うか。人心を掌握...
伊坂さんの長編ファンタジー小説。意表を突かれる転換が随所に仕掛けらてて、次がどんどん気になり、あっという間に読み切ってしまいました!また、随所に思わず考えさせられるシーンもあり。鼠のネコへの淡々とした交渉シーンとか。複眼隊長の選択肢は2つ人に従うか、自分の信念に従うか。人心を掌握するには外に敵を作るとか。僅かでも交わろうという意思があれば平行線もいつか交わる、とか。 全体通してとても、読み応えのある面白い一冊でした。ごちそうさまでした。
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久しぶりの伊坂節。 ファンタジーとミステリーの融合は、オーデュボン以来かも。 寓話のようなそうでないような印象。
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とても面白かった。島に流れ着いた男がいきなり猫と会話し出し、クーパーなる怪物が登場する。とんでもないおとぎ話かと思いつつ読み進むうちに現実のリアルな社会と被り、いろいろ考えさせられ感心した。伊坂ワールド炸裂、宮崎駿の映画で見てみたい。
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2回目の読了。1回目の時はあまり印象に残っていなかったのだけど、改めて、展開に騙されてみると、心地よい。結末も個人的に好き。 人が殺されることを淡々と描いているのは伊坂幸太郎さんの他の小説でも見られるところだと思いますが、残虐さはありませんね。 なかなか猫のマイペースさがかわい...
2回目の読了。1回目の時はあまり印象に残っていなかったのだけど、改めて、展開に騙されてみると、心地よい。結末も個人的に好き。 人が殺されることを淡々と描いているのは伊坂幸太郎さんの他の小説でも見られるところだと思いますが、残虐さはありませんね。 なかなか猫のマイペースさがかわいいわけで、猫と猫のコミュニケーションが微妙にずれているところなど微笑ましい面も。
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まずクーパーとは一体何だろうという疑問から読み始めました。 妻の浮気に悩んでいた僕は、趣味の釣りに出かけた時、釣り船が遭難、気がつけば蔓が絡まって動けない僕に猫が話しかけます。何故か猫のトム君の喋る言葉がわかるようになっていた僕に、彼は自分の国が戦争に巻き込まれ敵国に支配されたこ...
まずクーパーとは一体何だろうという疑問から読み始めました。 妻の浮気に悩んでいた僕は、趣味の釣りに出かけた時、釣り船が遭難、気がつけば蔓が絡まって動けない僕に猫が話しかけます。何故か猫のトム君の喋る言葉がわかるようになっていた僕に、彼は自分の国が戦争に巻き込まれ敵国に支配されたことを話し始めます。そして、町の伝説、クーパーの兵士のことも… そこでは杉の巨木が動き出し暴れる‥そのためにその樹を倒す兵士を送る。杉の樹から出た液を浴びると体が透明になる。透明になった兵士は町の人が本当に困った時に助けに来るといいます。 猫が人間と同じように考えて喋る童話のような構成になっています。鼠を追いかける場面は当にトムとジェリーのアニメを彷彿させます。肝心なことは伝説のクーパーの兵士の正体ですが‥敵国に支配されて絶望的な状況に見えたこの国の行方は、意外なところから突破口が見つかります。 「自分たちが当然と思っていることは、本当に当然なのか…」と先ず現状を疑う目を持つことにより今まで見えなかったことがわかるようになります。 途中まで何だかわからなくてモヤモヤしていた筋書きでしたが、後半あっという間に物語は反転します。終始シビアな状況の筈の僕の存在もどこかユーモラスなのは動物と喋るせいでしょうか。
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これはねぇ… なんとも言いがたい(笑)小さなものが大きなものと共存するために行ったこと、とでも言えばいいかなぁ… 仙台からしゃべる猫がいる異世界へのパターンですね。
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猫と鼠ー相容れないもの同士でも、お互いに譲歩し合うことで、そこには物凄い努力を強いられるかもしれないけれど、少しずつ歩み寄ることができるのかもしれない。 可能性の話でしかないけど! ほのぼのと読めました。
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