切り裂きジャックの告白 の商品レビュー
都内の公園で発見される、臓器を全て摘出された若い女性の遺体。 やがてテレビ局に届けられるさた“ジャック”と名乗る犯人からの声明文…。 面白かったです。 登場人物がそれほど多い訳ではないのに、読み手の思惑を左右させられる感じが心地よいです。 ただ、心臓だけでなく腎臓や肝臓を含む“臓...
都内の公園で発見される、臓器を全て摘出された若い女性の遺体。 やがてテレビ局に届けられるさた“ジャック”と名乗る犯人からの声明文…。 面白かったです。 登場人物がそれほど多い訳ではないのに、読み手の思惑を左右させられる感じが心地よいです。 ただ、心臓だけでなく腎臓や肝臓を含む“臓器移植”がキーワードとなる中で、論点を絞りたかったのかもしれませんが、脳死患者からの移植だけ取り上げられていた点が残念でした。我が子のために人の子を喰らっていた鬼子母神を連想させる名字が出てくるだけに、脳死下移植より圧倒的に実績数の多い、親を含む身内からの生体移植にも触れて欲しかったです。特に犬養刑事のところでは。 とはいえ、その点を差し引いてもページを繰る手が止まらない面白さでした。
Posted by
猟奇的な事件設定であるが、謎解きというより、登場人物の様々な発言などを通して臓器移植制度についての問題や意見を戦わせている印象。改めて考えさせられるところがある一方、犯行の動機はイマイチ。
Posted by
犬養隼人シリーズ。初めて読んでみた。 体のありとあらゆる臓器を取り除く連続殺人事件に挑む。嬉しかったのは、私の好きな古手川刑事が犬養刑事のバディとしてかなりしっかりと登場するのだ。 臓器提供の是非が物語の大きなテーマになっている。 中山先生ということで身構えていたが、最後はまたど...
犬養隼人シリーズ。初めて読んでみた。 体のありとあらゆる臓器を取り除く連続殺人事件に挑む。嬉しかったのは、私の好きな古手川刑事が犬養刑事のバディとしてかなりしっかりと登場するのだ。 臓器提供の是非が物語の大きなテーマになっている。 中山先生ということで身構えていたが、最後はまたどんでん返され、まんまと騙された…。 また犬養シリーズは読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中山七里の過去作を追いかけてみようと手に取ってみた。 脳死と臓器移植についての書き込みは丁寧で分かりやすく、非常に勉強になった。この本を読んで、臓器ドナー登録をきちんとして、家族にもきちんと話しておくべきだと分かった。 生と死との境界線はどこか? 知性や感情の有無や他者の意思がその境界線を左右するのだろうか? 死ぬことぐらいはもっとプライベートの範ちゅうだと思っていたが、そんなことはなく、むしろ死ぬこととは人間の社会的活動が一番際立つポイントなんだとわかる。 と、この本のテーマや背景となったことについては良くかけているが、ミステリーとしては…うーん、あの仕掛けであの犯人では、つけ焼刃なイメージをどうしても感じてしまう。切り裂きジャックの犯行声明も稚拙すぎる。あれでは、犯人特定を犯人側が手助けしているとしか思えない。そういう手法もあるんだが、このトリックだとその必然性も考えられないし、ちょっと弱いんじゃないかな。 犯人捜しはあくまで付録であって、テーマそのものを味わうことに集中するのが、この小説を楽しむ秘訣かと思う。中山作品全般に言えることではあるけども。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「さよならドビュッシー」の作者だったので。 犬養刑事が主人公らしいが、 どうも既知の古手川刑事や光崎先生に目が言ってしまう。 嘘を見抜けて、無駄に顔が良く、家庭を守れない刑事が、 余りにありがちすぎるからかも。 先にヒポクラテスシリーズを読んでしまったからか、 臓器狙いとか、医師が怪しいとか、 なんとなく予想のつく展開だったし、 「切り裂きジャック」を持ち出した割には、 ちょっとスケールが小さい事件だったかな。
Posted by
あやしい人物が一人、二人、途中に挿入され はい容疑者確保からの動機とその後の展開。 ちょっとズルいな~とも思わないでもない。 しかし、この作品はなんとなくイメージしている 自分が「死んだ」あとの臓器移植と、 残された人が抱える臓器移植についてはらんでいる現実 そしてそれを制度化し...
あやしい人物が一人、二人、途中に挿入され はい容疑者確保からの動機とその後の展開。 ちょっとズルいな~とも思わないでもない。 しかし、この作品はなんとなくイメージしている 自分が「死んだ」あとの臓器移植と、 残された人が抱える臓器移植についてはらんでいる現実 そしてそれを制度化したときに抱えたままの問題 血のつながり、親子の愛、理屈と感情のギャップ、 多様な価値観を凄惨な事件の中に浮かび上がらせている。 主人公の刑事は背景も語られるけど実は印象が薄く 他作品での印象と異なり、古手川刑事が 他の目で見ると有望・有能、成長の伸びしろ充分 であることが明らかになり これからの作品も渡瀬、御子柴に負けず 古手川を追っていきたいと思える内容。
Posted by
ずっと読みたかった作者さん。移植と言う材料、犯行インパクトともよかっただけに真相が残念。ただ、本家の犯人が分かったとかすごいタイムリで、たまたまだけど、印象に残りました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
臓器を取り出された惨殺死体。 間もなく届くテレビ局への犯行声明文。 犯人らしき人物はかの殺人鬼と同じ“ジャック”を名乗る。 そして、また事件が起こる。 これは猟奇的な殺人事件なのか、それとも何かメッセージがあるのか? ***** え、エグイ…。 中山七里さんだということで読んだのですが、まぁ、“切り裂きジャック”とあるくらいだから何となく、エグさが予想されますよね…。 無意識にお腹をさすりながら読んでしまうような、そんな気持ちになる事件の描写…。 怖いです。 そして、この作品で描かれる大きな部分、臓器移植における提供者とドナーの想い。 生きている時と亡くなってからでは家族の気持ちも変わるのは仕方がないように思う。 本人は生前の意思のみしか確認はできないから、それを尊重するかたちにはなるんだろうけれど、残された家族はいくら即移植しなくては間に合わないと言われても涙も乾かぬうちに処置されるなんて…特に急な事故によるものなどであれば気丈に「はい、お願いします」というのは厳し過ぎる。 そのあたりは現実として考えさせられてしまいました。 登場人物、中山作品は作品を越えて色々とつながっているんだなぁと読んでいて「おっ」とさせられます。 今回の場合、最近読んだ『贖罪の奏鳴曲』に出てきた古手川さんが出てきた~しかも、なかなかの活躍っぷり。 渡瀬さんが出てこないのは寂しかったけれど、犬養さんとのコンビもなかなかいい。 好きなキャラクタです。 ミステリとしてはすこーし、あっけなかったかな。 “切り裂きジャック”の名も、事件の描写も衝撃的過ぎて、肝心の結末が地味な感じ…もっと強い犯人の秘めた“何か”みたいなものがあるのかしらと気持ちがドキドキ高まっていたので(欲張りな読者…)。 犯人の不気味な感じはありました。 ハラハラと驚き、また他の作品も楽しみです。 古手川さんが作中でも昔扱った事件として語っている、『連続殺人鬼カエル男』(宝島社)を読みたいんだけれど、こちらも猟奇的な事件のようなので、少し時間を置いてから読む予定です。
Posted by
現代に蘇った切り裂きジャック。 その昔、1888年、ロンドンを恐怖のどん底に落としたあのジャックが蘇ったのか? 都内の公園で、臓器を全てくり抜かれた女性の遺体が発見された。続く第2、第3の事件。 果たして、彼女たちの関係を繋ぐものとは? やがて浮かび上がる仮説。彼女たちは、1...
現代に蘇った切り裂きジャック。 その昔、1888年、ロンドンを恐怖のどん底に落としたあのジャックが蘇ったのか? 都内の公園で、臓器を全てくり抜かれた女性の遺体が発見された。続く第2、第3の事件。 果たして、彼女たちの関係を繋ぐものとは? やがて浮かび上がる仮説。彼女たちは、1人のドナーから臓器を移植されたレシピエントたちではないのか... 臓器移植を巡る各界の議論も、社会派ミステリーの味を見せます。 犯行動機が見えないなか、犯人とジャックとの息詰まる攻防に、ハラハラドキドキの連続です。 他作品ともリンクし、古手川刑事や葛城刑事たちが登場するのも良いですね。 最後に、中山七里氏お得意のどんでん返しも、見事です。 すっかり騙されました。
Posted by
中山作品を通して読んでいると、あちこちで登場人物がクロスオーバーするをとても楽しみにしています こちらも多作に漏れず、登場してあれやこれやと興味深いです 臓器を持ち去る切り裂きジャックを名乗る犯人の謎と、臓器移植の問題、親子愛などテーマがいろいろ盛り込まれ、退屈しないエンタメに...
中山作品を通して読んでいると、あちこちで登場人物がクロスオーバーするをとても楽しみにしています こちらも多作に漏れず、登場してあれやこれやと興味深いです 臓器を持ち去る切り裂きジャックを名乗る犯人の謎と、臓器移植の問題、親子愛などテーマがいろいろ盛り込まれ、退屈しないエンタメになっています 御子柴シリーズよりはライト?で元気な読みやすさです
Posted by