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六花落々 の商品レビュー

3.7

28件のお客様レビュー

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2022/05/15

面白かった。雪の結晶の話、時代の流れに飲み込まれながらも魅力的な登場人物にどんどんはまってしまった。

Posted byブクログ

2020/05/03

タイトルは「りっかふるふる」と読みます。六花は結晶の形からくる雪の異称です。 下総国古河藩を舞台に、幕末に向かって動き始めた文化・文政から天保時代(1813~1835)を描いた本格歴史小説です。 主人公は藩主・土井利位(後の老中首座)の御学問相手で軽輩出身の小松尚七。そしてもう一...

タイトルは「りっかふるふる」と読みます。六花は結晶の形からくる雪の異称です。 下総国古河藩を舞台に、幕末に向かって動き始めた文化・文政から天保時代(1813~1835)を描いた本格歴史小説です。 主人公は藩主・土井利位(後の老中首座)の御学問相手で軽輩出身の小松尚七。そしてもう一人重要な登場人物が古河藩家老となる鷹見十郎左衛門忠常。後書きによれば著者の西條さんがこの鷹見忠常に興味を持った事がこの作品が書かれるきっかけなのだそうです。 鷹見忠常は私にとって未知の人物だと思っていましたが、実は渡辺崋山の代表作(鷹見泉石像/国宝)の人物だそうで、この絵は良く目にしていました。広く世界を知ろうとした蘭学者であり「土井の鷹見か、鷹見の土井か」と言われるほどに有能だった人物です。 その為、当時を代表する知識人が次々に登場します。蘭学者の大槻玄沢や渡辺崋山、『おろしや国酔夢譚』の大黒屋光太夫、北方探検の近藤重蔵や間宮林蔵、シーボルト。そして土井利位が大阪城代として赴任中に乱を起こす大塩平八郎。 ただ、残念なことに綺羅星の如き登場人物も現れては消える感じで、物語のスケールは大きくはありません。それは鷹見忠常では無く軽輩の小松尚七を主人公に置いたせいでしょう。一方で「何故なに尚七」と呼ばれた主人公の世俗から浮き上がる学者肌も十分に生かしきれておらず「狭いけど深い」という感じでも無いのです。 小松尚七が御学問相手として出仕し始めた時から藩主・土井利位、家老・鷹見忠常と共に雪の結晶を顕微鏡で観察しまとめた『雪華図説』の完成で物語は閉じられます。

Posted byブクログ

2018/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノンフィクション『幕末の女医楠本イネ、シーボルトの娘と家族の肖像』を、読んだ直後のこの本だったので、より強烈な印象を持った。江戸幕府がその寿命を終えようと加速する時期。外国との交易と情報入手は、知ること以上に国力に寄与することだった。国際という視点で地球上にある色々な情勢を知ることは、国の行く末も知ることに相違ない。 場所は渡良瀬川周辺古河藩。 小松尚七という、貧乏な下士であり、世の中の理をなんでも知りたい『何故なに尚七』という別名も知られていた。 何にでも興味を持ち、雪の結晶を見ようと2時間も四苦八苦していると、この本の主題でもある、鷹見忠常と出会う。 その出会いが、尚七の運命を変える。 江戸に上京し養子となった新しい若君の御学問相手として、召し抱えたいと言われる。 ここから、世にいう「シーボルト事件」や「大塩平八郎の乱」や天候不順な時代での大きな飢饉がおこる。 天才でありたゆまぬ研究も続け、野心もあり政にも、長ける鷲見との2、30年の月日を描く。 江戸文化、歴史的事件も臨場感あふれる一冊になっていて、読みごたえは十分です。

Posted byブクログ

2018/02/25

なぜ? 疑問を持つ必要のないものに対して疑問を持ち、なぜ?と人に問い、調べる。 周りからは、意味のないことに対して疑問を持つ尚七は疎ましく思われる。 尚七の純粋な知識欲が眩しく感じた。 女性が知識を持つことが疎まれる時代に、自分を持ち続けようとして壁に当たる多加音の姿が悔しく、...

なぜ? 疑問を持つ必要のないものに対して疑問を持ち、なぜ?と人に問い、調べる。 周りからは、意味のないことに対して疑問を持つ尚七は疎ましく思われる。 尚七の純粋な知識欲が眩しく感じた。 女性が知識を持つことが疎まれる時代に、自分を持ち続けようとして壁に当たる多加音の姿が悔しく、切なかった。

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2018/01/12

六花とは雪のこと。その雪の結晶を見たいと考えている若い武士が主人公の話。剣術はだめだが、学問は好きで、知識を得ることを望んでいる。やがて、その才を見込まれ藩主の跡取りの学問相手として用いられるようになり、雪の研究も出来るように。 雪の結晶の研究を進め、本まで著すようになる武士の人...

六花とは雪のこと。その雪の結晶を見たいと考えている若い武士が主人公の話。剣術はだめだが、学問は好きで、知識を得ることを望んでいる。やがて、その才を見込まれ藩主の跡取りの学問相手として用いられるようになり、雪の研究も出来るように。 雪の結晶の研究を進め、本まで著すようになる武士の人生を描いているが、硬くなくて面白かった。

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2021/02/20

雪のお殿様こと土井利位にまつわる小説ですが、焦点が当たっているのは、お殿様でも、家老の鷹見泉石でもなく、その家臣の尚七ということになります。 ただ、「雪の研究」の話だけではなく、大坂城代となった間の大塩平八郎の乱など出てくるのも興味深い。  #大坂城代側視点なので大塩平八郎が必...

雪のお殿様こと土井利位にまつわる小説ですが、焦点が当たっているのは、お殿様でも、家老の鷹見泉石でもなく、その家臣の尚七ということになります。 ただ、「雪の研究」の話だけではなく、大坂城代となった間の大塩平八郎の乱など出てくるのも興味深い。  #大坂城代側視点なので大塩平八郎が必ずしも美化されていない! 時間経過が長期に渡っているので、ちょっと早足感は否めない。

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2017/04/21

六花落々・・なんという趣、響きそして余韻を持った題名なのだろう!雪の結晶が見事な華を披露し、その姿に魅せられた人々を軸に描かれた幕末の歴史小説。著者初読みにも拘らず、平易な文章に乗せた言葉の美しさ優しさ鋭さが心の襞に自然と染込む。さらに比喩の斬新さ(自分では絶対浮かばない表現好き...

六花落々・・なんという趣、響きそして余韻を持った題名なのだろう!雪の結晶が見事な華を披露し、その姿に魅せられた人々を軸に描かれた幕末の歴史小説。著者初読みにも拘らず、平易な文章に乗せた言葉の美しさ優しさ鋭さが心の襞に自然と染込む。さらに比喩の斬新さ(自分では絶対浮かばない表現好き嫌いは別として)にも感動。主人公尚七、用心忠常、古河藩主利位の三者の設定も抜群、織り成される会話にも箴言、格言、教訓の宝庫。まるで開国の門戸を叩く悪魔の声に抗するかの如く。間宮林蔵、シーボルト、大塩平八朗と西條さんの新解釈も痛快。

Posted byブクログ

2016/04/15

「何故なに尚七さん」のお話。  厳しい人なのかもしれませんが、鷹見さまはすごい人なのだと思う。  図書館に行き、渡辺崋山が描いた肖像画を探して、見ました。  土井の殿様も素敵な方だと思う。

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2016/02/29

冬の日、雪の結晶の形を調べていた下総古河藩の下士・小松尚七は藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)に出会う。その探究心のせいで「何故なに尚七」と揶揄され、屈託を抱える尚七だったが、蘭学に造詣の深い忠常はこれを是とし、藩の世継ぎ・土井利位の御学問相手に抜擢した。やがて江戸に出た主従は、蘭...

冬の日、雪の結晶の形を調べていた下総古河藩の下士・小松尚七は藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)に出会う。その探究心のせいで「何故なに尚七」と揶揄され、屈託を抱える尚七だったが、蘭学に造詣の深い忠常はこれを是とし、藩の世継ぎ・土井利位の御学問相手に抜擢した。やがて江戸に出た主従は、蘭医・大槻玄沢や大黒屋光太夫、オランダ人医師・シーボルトらと交流するうちに、大きな時代の流れに呑み込まれていく…。

Posted byブクログ

2016/02/26

面白かった。小松尚七って実在なのかな。調べてもよくわからなかった。でもとても惹かれる人物だった。多加音だけでも1冊の物語になるよなあ。 涅槃の雪の時代背景や人物すこしかぶってる。あのときも、ここまで調べあげて、なぜ鳥居耀三を主役に描こうとしなかったのかな、とちょっと思ったけど、こ...

面白かった。小松尚七って実在なのかな。調べてもよくわからなかった。でもとても惹かれる人物だった。多加音だけでも1冊の物語になるよなあ。 涅槃の雪の時代背景や人物すこしかぶってる。あのときも、ここまで調べあげて、なぜ鳥居耀三を主役に描こうとしなかったのかな、とちょっと思ったけど、これも、この物語でなぜ鷹見泉石を主軸に描こうとせず尚七の視点になったのかな。作家とはそういうものかな。鳥居耀三とか、鷹見泉石とか、知ればしるほど生き様に感銘を受ける。土井の鷹見か鷹見の土井か。知恵者だったんだなあ。 学者と政治家の立場の違いなんかも考えさせられた。鎖国という政策についても、浅い目線でしかみていなかったことを気づかされた。渡辺崋山、大塩平八郎、大黒屋光太夫、シーボルト、間宮林蔵、、、歴史の教科書に刻まれるような人物もたくさん出てきて、読み応えあった。 この方の、実在の人物が絡めてある江戸期の物語はほんとすき。みずみずしくて。いまいちばんご贔屓の作家さん。

Posted byブクログ