六花落々 の商品レビュー
古河藩の下級武士、小松尚七は 藩の世継ぎ、土井利位の御学問相手に推挙される。 尚七は「六花の形は、人の縁と同じです。」と言う。 六花とは雪の結晶のこと。 利位は日本で初めて雪の結晶の図説『雪華図説』を著した。その時代に心を飛ばし、人々と縁を結びたい。
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西條作品には珍しく、実在の人物を描いたお話。幕末へと向かう少々不穏な世にあって、20年も雪の結晶の研究を続けるとは…いやはや、研究とはなんだか浮世離れしたもんなんですな^^; 尚七を主人公に据えたことで、西條さんらしい優しい物語になったとは思うけど、つい「天地明察」を思い出してし...
西條作品には珍しく、実在の人物を描いたお話。幕末へと向かう少々不穏な世にあって、20年も雪の結晶の研究を続けるとは…いやはや、研究とはなんだか浮世離れしたもんなんですな^^; 尚七を主人公に据えたことで、西條さんらしい優しい物語になったとは思うけど、つい「天地明察」を思い出してしまって、いまいち物足りない感が…うーん、残念。
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L 実在オンパレードらしく。 時代考証も研究者に委ねて行っているようなのでお人柄もだいたいそうなのでしょう。 何を読者に伝えたいのかイマイチわかりませんでしたけど、人物を広く知らしめたいというなのかな。 へえーふーん の連続。
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古河藩、雪の結晶を研究した藩主・土井利位と下士・小松尚七、そして藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)の物語。 古河に行ったとき、雪の結晶があしらわれていたり、博物館で利位について展示されているのを見たりした。 そこに関係する話!と飛びついて読み始めました。 下士・尚七が主人公というの...
古河藩、雪の結晶を研究した藩主・土井利位と下士・小松尚七、そして藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)の物語。 古河に行ったとき、雪の結晶があしらわれていたり、博物館で利位について展示されているのを見たりした。 そこに関係する話!と飛びついて読み始めました。 下士・尚七が主人公というのが本当に良かったと思う。 彼の実際は分からないけれども、雪の探求、鷹見・利位との出会い、恋、挫折、復活…と面白かったし、共感できる部分もあってどんどん読んでしまった。
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+++ 冬の日、雪の結晶の形を調べていた下総古河藩の下士・小松尚七は藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)に出会う。その探究心のせいで「何故なに尚七」と揶揄され、屈託を抱える尚七だったが、蘭学に造詣の深い忠常はこれを是とし、藩の世継ぎ・土井利位の御学問相手に抜擢した。やがて江戸に出た主...
+++ 冬の日、雪の結晶の形を調べていた下総古河藩の下士・小松尚七は藩の重臣・鷹見忠常(のちの泉石)に出会う。その探究心のせいで「何故なに尚七」と揶揄され、屈託を抱える尚七だったが、蘭学に造詣の深い忠常はこれを是とし、藩の世継ぎ・土井利位の御学問相手に抜擢した。やがて江戸に出た主従は、蘭医・大槻玄沢や大黒屋光太夫、オランダ人医師・シーボルトらと交流するうちに、大きな時代の流れに呑み込まれていく…。 +++ 「何故なに尚七」と呼ばれ、周りにある意味迷惑がられていた尚七が、古河藩の重臣・鷹見忠常と出会い、蘭学を知ることで、より広い世界へと興味を広げ、動く時代の渦中に呑みこまれていく物語である。だが、大きなことだけでなく、日々の些細な出来事に尚七が心を動かされ、興味を惹きつけられる様が、とてもリアルに描かれていて、読者は尚七に惹きつけられていくのである。運命の妻との出会いや、その後の家庭のあたたかさも尚七の探求心を見守っているのがよく判る。知ることの第一歩は、知りたいと思うことだと改めて思わされる一冊である。
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実在の人物を題材にした作品とは知らずの作者読み(笑) 最初に登場の下級武士の尚七。 「なぜ何尚七」って(笑) 時を忘れて雪の形を探す姿がほほえましい。 そんな彼が出会ったのは藩主の覚えめでたい鷹見忠常。 この人、年齢は尚七とあまり変わらないのだけど、 有能なだけでなく、大人物の...
実在の人物を題材にした作品とは知らずの作者読み(笑) 最初に登場の下級武士の尚七。 「なぜ何尚七」って(笑) 時を忘れて雪の形を探す姿がほほえましい。 そんな彼が出会ったのは藩主の覚えめでたい鷹見忠常。 この人、年齢は尚七とあまり変わらないのだけど、 有能なだけでなく、大人物の風格。 かっこいいぞ。 そんな忠常の取立てで、藩主の学問のお相手となった尚七。 家格がどうので、養子になってからの出仕とか、 武士って面倒くさい感じだけど。 でも、養家がいい家でよかった。 学問好きのお殿様も魅力的。 藩政よりも学問が好きでも、立場上それを貫くわけにはいかず、 そういう意味では自由な立場の尚七をうらやんだりするのも 人間くさくていい。 途中で、大黒屋幸太夫が出てきて、「あっ!」と思った。 この人、「おろしや国酔夢譚」の? 名前には自信がなかったので検索、検索。 やっぱり、そうだ。 もう20年も前の映画なのに、よく覚えてたな、私。 もっとも、私の中では、なぜか、西田敏行さんの映画、 という刷り込みになってたけど(笑) (思い出したら、また観たくなって、ツタヤディスカスに 登録しちゃった。) 尚七のロマンスが素敵。 どっちも不器用なんだもんなぁ。 なんだか、可愛い。 その後も、実在の人物が出てくる、出てくる。 中でも、驚いたのが大塩平八郎の人物像。 歴史の授業でさらっと習った時には、武士でありながら 庶民のために乱を起こした正義感の強い人のイメージ だったのだけど、すごくあくの強い人だし、 乱を制圧する側だからかもだけど、忠常の規って捨てる ような人物評もなんだか納得できたりして。 これは小説なのだし、実際の大塩がどういう人で、 どういう意図を持って乱を起こしたのかは分からない。 でも、こういう小説を読む面白さの一つに、 作者ごとの人物造詣があること。 どれが正しいのかは分からない。 どれも正しく、そして正しくないのかもしれない。 だから、面白い。 読者がそれぞれの想像を膨らませる余地もあるということだから。 鷹見忠常と藩主の繋がりを描いた他の作品も 発見したので手を出してみるつもり。
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『六花落』と書いて古来『ゆきふる』と読むそうな。なんと日本語は冴えて美しいのでしょう。顕微鏡も無い遠い昔から六角形の形だと分かっていたのでしょうか。そんな不思議を追い求めた古河藩の小松尚七と、それを後押しし同士ともなった上役の鷹見忠常、藩主・土井利位。それぞれなかなか難しい人生で...
『六花落』と書いて古来『ゆきふる』と読むそうな。なんと日本語は冴えて美しいのでしょう。顕微鏡も無い遠い昔から六角形の形だと分かっていたのでしょうか。そんな不思議を追い求めた古河藩の小松尚七と、それを後押しし同士ともなった上役の鷹見忠常、藩主・土井利位。それぞれなかなか難しい人生であったのかもしれませんが、幕末動乱の一歩手前で蘭学に親しめたと言うのは、特に尚七は幸運だと思います。後書きを読むと、作者は不思議鷹見に注目して書きたかったようですが、霞んでいないものの物語は尚七中心になっているので、そこが不思議。
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めずらしく実在する方が主人公。 江戸時代後期の 雪の結晶に魅せられた藩士を 中心に描かれる。 人物を魅力的に描きだすのは さすが西條さん。 分野は違うが、ちょっと 『天地明察』っぽい。
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