鳩の撃退法(下) の商品レビュー
「鳩の撃退法 (下)」(佐藤正午)を読んだ。 紛う方なき傑作。 チャンドラーの「長いお別れ」(清水俊二 訳)に負けないくらいの読み応えと余韻を読者にもたらす。 (私にしてみれば最大限の賛辞をこの作品に送る) 《小説家が実際の体験をもとにして小説を書いている小説》なんだけれど...
「鳩の撃退法 (下)」(佐藤正午)を読んだ。 紛う方なき傑作。 チャンドラーの「長いお別れ」(清水俊二 訳)に負けないくらいの読み応えと余韻を読者にもたらす。 (私にしてみれば最大限の賛辞をこの作品に送る) 《小説家が実際の体験をもとにして小説を書いている小説》なんだけれど、構造が複雑で私の説明能力を凌駕しており混乱を引き起こすと思われるので断念する。 文章は読みやすくて時にユーモラスでさえあり読んでいて時を忘れる。 (読み終わりたくないくらい) あー面白かった。
Posted by
下巻を読み始める前に、他の本を数冊挟んでしまったので、よりストーリーを思い出すのに手間取った。 さらにこの物語の語り手は、作中に登場する作家の津田だが、本人もストーリーの中で、起きていることをモチーフにした小説を書いている。津田が書いている小説の筋書きと、実際のできごとが時折入り...
下巻を読み始める前に、他の本を数冊挟んでしまったので、よりストーリーを思い出すのに手間取った。 さらにこの物語の語り手は、作中に登場する作家の津田だが、本人もストーリーの中で、起きていることをモチーフにした小説を書いている。津田が書いている小説の筋書きと、実際のできごとが時折入り混じり、読んでいてもどちらが本当に起きているのか、分からなくなる。それを狙っているような気もする。 そして、重要な小物、ピーターパンの本。 そこから引用されるいくつかの文章。私が知っているピーターパンは、アニメのピーターパン。 原作は、こんな風に書かれているのか、と興味を持った。近いうちに読んでみるかもしれない。 鳩は、飛んでいる鳩を符牒にした別のものを指しているのだが、果たして撃退できたと言えるのか。 解かれていない謎も残っている。 読み切るのに体力がいった。
Posted by
かつての賞作家津田さんが厄介ごとに巻き込まれつつ小説を書く話。現実の話と書かれた小説の話が交錯するから度々いやこれは小説の方、と思い聞かせながら読んだ。たまに脳内バグを起こして現実と勘違いしかける。後半になるにつれ慣れて面白なるし、ラストに思わず納得できる。
Posted by
まったく共通点はないのだが、高校時代に読んだ『吉里吉里人』を思い出した。 それにしても、である。これは私にはちと辛い2冊であった。そもそも手にしたのは頭の片隅に、西武新宿線駅構内でみた広告(たしか映画とタイアップ)があったのと、見る予定の映画である、月の満ち欠けの作者であったから...
まったく共通点はないのだが、高校時代に読んだ『吉里吉里人』を思い出した。 それにしても、である。これは私にはちと辛い2冊であった。そもそも手にしたのは頭の片隅に、西武新宿線駅構内でみた広告(たしか映画とタイアップ)があったのと、見る予定の映画である、月の満ち欠けの作者であったからだ。上巻を読んだ後、その世界観についていけず、少々いや気がさしたが、下巻でなんとなく勢いがつき、一気に読ませていただいた。不思議な感じは拭えないが、読み終わるとわりと満足している新年の私。
Posted by
ふぅ。物語的には面白かったのだが、なんとも苦戦した読書時間になったように感じる。そう思ってしまう原因はこの物語を完全には把握できていないからだ。作家の津田が描いた物語と実際現実に起こった事象との境界線が入り乱れている。つまりつかみどころがないので、自分で面白いと思う部分を読んで楽...
ふぅ。物語的には面白かったのだが、なんとも苦戦した読書時間になったように感じる。そう思ってしまう原因はこの物語を完全には把握できていないからだ。作家の津田が描いた物語と実際現実に起こった事象との境界線が入り乱れている。つまりつかみどころがないので、自分で面白いと思う部分を読んで楽しむ読書になった。やはり面白いのは偽札の出どころと、この物語自体の伏線回収か。 「これってどんな内容?」って人に聞かれてももちろん答えられない。でも先が気になってページを捲る手を止められず、時間はかかるが読了してしまう。津田に翻弄された。肩が凝った。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
序盤の展開の面白さ、そして大きく広げた風呂敷の割に、結末が少々しょぼく感じた。3,000万円以上の大金をみすみす逃す愚かな男の話、といった具合でしょうか。しかし3,000枚以上からたまたま2枚の偽札を使うなんてことある?確率論で言えば、もう少し試してみてもよかったのでは?などと思ってしまうのは安全なところにいる読者だから言える台詞なのかな。 この小説はプロットよりも「どこまでが事実でどこからが作家の創作なのか」を楽しめるところに新しさがあったと思う。読み進めるごとに深い深い混乱に陥り、少しずつパズルのピースがはまっていく快感があった。そして文章が抜群!
Posted by
虚構と現実が入り交じったなんとも不思議な物語。語り手の饒舌でどうでもよいツッコミや言い回しもクセになる。とことんツボでした。
Posted by
上巻からの続き。 そろそろ面白くなるかなぁと思うところで上巻がおわるので、楽しみにしていた! 下巻では全てのエピソードが繋がって、最後のネタバレになります。 映画の宣伝では「この男が書いた小説(ウソ)が見破れるか」となっていたので、何か大どんでん返しを期待していたのだけれど、そ...
上巻からの続き。 そろそろ面白くなるかなぁと思うところで上巻がおわるので、楽しみにしていた! 下巻では全てのエピソードが繋がって、最後のネタバレになります。 映画の宣伝では「この男が書いた小説(ウソ)が見破れるか」となっていたので、何か大どんでん返しを期待していたのだけれど、そういうことではなく、小説家の主人公津田が想像で書いた部分と現実の点と点が繋がって一つのストーリーになるという構成だった。 目新しい構成だから評価が高いのかな?と言う気がした。 後は津田目線で脱線するエピソードが多いので、回りくどく、複雑に感じて、読む人を選ぶと思う。 下巻では、「実は驚くべき事実があったんです、でもその前に、まずはこの説明を」みたいな、予告してから語る形式なので先が気になる、上手い書き方。 結局どこまでが真実かをはっきりとはさせないけれど、物語としては完結しています。
Posted by
カラオケスナック「オリビア」がある中野ふれあいロード周りの描写が最高。BROADWAYもサンロードも、KFCも餃子の王将もライフも西友も全部知ってる場所。「BROADWAY入口前から右ではなく逆方向へちょっといったところ、中野通に面した角」にあるドーナツショップはミスド。(なぜ、...
カラオケスナック「オリビア」がある中野ふれあいロード周りの描写が最高。BROADWAYもサンロードも、KFCも餃子の王将もライフも西友も全部知ってる場所。「BROADWAY入口前から右ではなく逆方向へちょっといったところ、中野通に面した角」にあるドーナツショップはミスド。(なぜ、KFCは出してるのにミスドは固有名詞じゃないのか。。) 映画化されたので読んでみたのですが、とっても面白かったです!
Posted by
好きな人は好きという感じかな。最後までなんとか読み終わったが私は好きな部類ではない。実際に生きていくと事実なんて何万通りもあって自分が見ていない部分は想像でしかないからこの本の通りなんだけどせめて小説の中ではスッキリしたい人には向かないと思います。
Posted by