屍者の帝国 の商品レビュー
「言語」に関する問いは『これはペンです』を想起した。聖書の引用が多い。宗教関連の知識があれば、引用の巧みさや比喩を深く理解できるだろう。屍者の利用は物語としては面白いが、現実にはあり得ない。気味の悪さが先立つ。屍者は屍というより人体を模倣したロボットと捉えると現実味が湧く。ワトソ...
「言語」に関する問いは『これはペンです』を想起した。聖書の引用が多い。宗教関連の知識があれば、引用の巧みさや比喩を深く理解できるだろう。屍者の利用は物語としては面白いが、現実にはあり得ない。気味の悪さが先立つ。屍者は屍というより人体を模倣したロボットと捉えると現実味が湧く。ワトソンの結末は物語の連続性を生かして『屍者の帝国』と『シャーロック・ホームズ』を繋げたと推測した。前者のワトソンは、最後の決断により上書きされ後者のワトソンへと成ったかXがつくる後者の文脈の世界に組み込まれたのかもしれない。
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伊藤計劃の遺稿を円城塔が書き継いで完結させた作品。 単行本を持っているので文庫化のついでに再読……のつもりが、暫く放置していた(その間に何故かイラストカバー? 帯? になっていたw)。 単行本のメモにも書いたような気がするが、文体の変化はさほど顕著ではないが、特に終盤になってから...
伊藤計劃の遺稿を円城塔が書き継いで完結させた作品。 単行本を持っているので文庫化のついでに再読……のつもりが、暫く放置していた(その間に何故かイラストカバー? 帯? になっていたw)。 単行本のメモにも書いたような気がするが、文体の変化はさほど顕著ではないが、特に終盤になってからは、円城塔作品ではお馴染みのモチーフである『言語』の存在感が大きく、そういう意味でこれは矢張り『円城塔』の作品なのだろうと感じる。 反面、『屍者が労働力である世界』という想像力は伊藤計劃的。個人的には上手く絡み合って読み応えがある作品に仕上がっていると思う。
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2013年の本屋大賞ノミネート作品。 私には難しかった……。 物語が頭の中に全然入って来ないし、追いついて行かない。 設定が19世紀末って所が惹かれたけれど、内容が頭に入って来ないから全然楽しめなかった。
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フィリップ・K・ディック特別賞を日本人として初めて受賞しながら夭逝した偉才・伊藤計劃の遺稿を、同じく2人目の受賞者であり盟友でもある円城塔が完成させた珠玉の大作。SFでありながら過去の時代を描いており、当時を舞台とした著名作品のキャラクターや実在の人物も出てくるパスティシュ的な世...
フィリップ・K・ディック特別賞を日本人として初めて受賞しながら夭逝した偉才・伊藤計劃の遺稿を、同じく2人目の受賞者であり盟友でもある円城塔が完成させた珠玉の大作。SFでありながら過去の時代を描いており、当時を舞台とした著名作品のキャラクターや実在の人物も出てくるパスティシュ的な世界観が独特です。 舞台は屍者復活の技術が全欧に普及した19世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となりアフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワン(フランケンシュタイン)を追い求めて世界を駆ける…というなかなかぶっとんだ内容。 すごく面白くて、著者の伊藤氏へのオマージュも強く感じる素晴らしい作品。原作者は常に生と死をテーマとして考察を重ねる作風だけど、この作品ももれなく根底に深い命題が流れており、円城氏はよくぞここまで仕上げてくれたと思いますわ。でもひとつだけ、ひとつだけ不満があるの。それはね、ワトソンとあの女性まで登場させておきながら、ホームズさんが出てこないこと。シャーロキアンとしては期待しちゃうじゃんかチクショウ!
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※暴力及び流血描写、性表現の含まれる作品です。 【印象】 復活する"存在しなかった19世紀末"。 煙に巻かれたい人へお薦めします。 【類別】 小説。歴史改変、オカルト的ファンタジー、人物/事物引用、少しSFでスチームパンクの要素。 史実と虚構、その両方に取...
※暴力及び流血描写、性表現の含まれる作品です。 【印象】 復活する"存在しなかった19世紀末"。 煙に巻かれたい人へお薦めします。 【類別】 小説。歴史改変、オカルト的ファンタジー、人物/事物引用、少しSFでスチームパンクの要素。 史実と虚構、その両方に取材しています。故に実在と架空の区別無く、過去の人物や組織その他がふんだんに盛り込まれています。 【構成等】 序章と終章を除けば三部。各部で別の地域を訪れます。 荒唐無稽な点へ後々に多少の論理が与えられたりもします。 【表現】 地の文は一人称視点。 表現は主として平易であり、専門知識は不要です。 【備考】 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』をはじめとして様々な古典作品の内容と関連付けられています。それらの"ネタバレ"を含んでいるとも言えます。
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文学•映画作品を時代設定に織り交ぜた構成に、すごい!と前半は感動。 残念ながら後半からイマイチ入り込めず。特に、私は戦闘シーンが消化不良を起こし、すごくもったいない感じ。 遺作のコンセプトを引き継いだためか?それともこの作者の文章に慣れていない私の責任なのか? とりあえず、作者の...
文学•映画作品を時代設定に織り交ぜた構成に、すごい!と前半は感動。 残念ながら後半からイマイチ入り込めず。特に、私は戦闘シーンが消化不良を起こし、すごくもったいない感じ。 遺作のコンセプトを引き継いだためか?それともこの作者の文章に慣れていない私の責任なのか? とりあえず、作者の別作品を購読しようと思う。
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これは伊藤計画ではないだろう。しかし、伊藤計劃の書きたかった可能性が集まったような一冊だった。 この物語ふうに言うのであれば、本というものは真にありとあらゆる情報が物質化したものではないだろうか。紙の上に走るまっすぐや曲線こそが私たちの見えない世界を見せる未知のXであるかのようだ...
これは伊藤計画ではないだろう。しかし、伊藤計劃の書きたかった可能性が集まったような一冊だった。 この物語ふうに言うのであれば、本というものは真にありとあらゆる情報が物質化したものではないだろうか。紙の上に走るまっすぐや曲線こそが私たちの見えない世界を見せる未知のXであるかのようだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
伊藤計劃が遺したプロローグから円城塔が作り上げた、伊藤計劃と円城塔の合作歴史改変オールスターSFアクション小説。とにかく史実上の人物や作品がてんこ盛りで、いちいち元ネタを調べていたら読むのに恐ろしく時間がかかった。しかし、そんな読み方も楽しかったりするのが、この小説の面白さでもあるのではないかと感じる。 伊藤計劃と円城塔は文体が違いすぎて(という以前に円城塔の小説は何を言っているのか理解できない)、どんな小説になるのか疑問だった。しかし、読み終えての感想は「円城塔も普通の小説書けるんだ。」だった。しかも面白い… 作品の世界は、死者を蘇らせて利用している19世紀が舞台。医学生のジョン・H・ワトソンがヴァン・ヘルシング誘われ、ウォルシンガム機関のエージェントとなり、屍者の一団を率いてアフガニスタンに潜伏しているとされる、カラマーゾフを追う。 その後、カラマーゾフからの依頼を受け、フランケンシュタイン博士により作られた「最初の屍者、ザ・ワン」を追い求めて日本・アメリカから最後は大英帝国へと旅をしていく。 序盤はアクションっぽい要素も多くてワトソンと一緒に旅をするバーナビー達との掛け合いもコミカルで面白い。中盤から、話は複雑になっていき、最後の展開はいろいろ複雑すぎて、正直良くわからなかったけど… テーマは「魂」。作中でワトソンや様々な史実上の人物から「魂の出自は」「死とは」等について多種多様な見解が述べられる。 難しいことを考えながら読まなくても、アクションものとしても読めるし、じっくり考察しながら読んだり、作中に出てくる人物・出来事・物の元ネタを調べるのもよし。いろんな要素が詰まった素晴らしい小説だとおもう。
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真実を追い求め、大英帝国からアフガニスタン、日本、合衆国へと世界を旅し、その身を以て屍者の帝国へと堕ち、完結を成したワトソン。 物語を求め、「虐殺器官」から「ハーモニー」、そして「屍者の帝国」へとたどり着いたわたし、そこで伊藤計劃サーガは終焉を迎えた。 しかし、フライデーは立...
真実を追い求め、大英帝国からアフガニスタン、日本、合衆国へと世界を旅し、その身を以て屍者の帝国へと堕ち、完結を成したワトソン。 物語を求め、「虐殺器官」から「ハーモニー」、そして「屍者の帝国」へとたどり着いたわたし、そこで伊藤計劃サーガは終焉を迎えた。 しかし、フライデーは立ち上がった。 ProjectItoは立ち上がった。 「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」は、ProjectItoは終わらない。
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設定や世界観はいいし、キャラもワトソン、アリョーシャ、ヘルシングなど有名なキャラが多く出ててそれだけでワクワクする。 だけど、いかんせん読みづらいと感じた。 造語や専門知識なんかが多く出てくるので多少は仕方ないこととも思うが、戦闘シーンなど盛り上がるはずの場面でもわかりにくい描写...
設定や世界観はいいし、キャラもワトソン、アリョーシャ、ヘルシングなど有名なキャラが多く出ててそれだけでワクワクする。 だけど、いかんせん読みづらいと感じた。 造語や専門知識なんかが多く出てくるので多少は仕方ないこととも思うが、戦闘シーンなど盛り上がるはずの場面でもわかりにくい描写が多くなんだか素直に楽しめなかった。 私がSFを普段あまり読まないせいかとも思うけど…うーん文体が私には合わないのかもしれない。
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