鳥たち の商品レビュー
異国の地で先立たれた 親たち3人に縛られて生きる 男女2人の悩み生きる小説。 思いの外スピリチュアルで ついけなくなりそうになりましたが 主人公も未来を向いてくれて一安心… ふと思い出すこともありそうな、 何回も読んだ方が沁みそうな物語。
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ずっと過去の出来事を背負いながら生きている恋人以上の2人が、徐々に周囲の人との対話で人生の見方を変えてゆくストーリーが胸にのしかかってくる。 自分たちだけがこんなに辛い思いをして、それは私たちだけでしか癒すことができない。増えれば過去から踏み出せるのではないか、こういった単純...
ずっと過去の出来事を背負いながら生きている恋人以上の2人が、徐々に周囲の人との対話で人生の見方を変えてゆくストーリーが胸にのしかかってくる。 自分たちだけがこんなに辛い思いをして、それは私たちだけでしか癒すことができない。増えれば過去から踏み出せるのではないか、こういった単純な思考が若いなぁと感じた。 体験したわけでもないのに、彼らの苦しみがわかる気がする。でもどこか他人事のような...入り込めなかった。苦しいだけだった。 物語としてではなく、メッセージ性の高いドラマを見ているように、個人的には感じた。
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2022.8.7 約7年ぶりの再読 以前よりかなりフラットに読めた感じがするし、 嵯峨の素晴らしさ、まこの未熟さが胸に迫ってくる 残すとか、悼むとか、つなぐとか、祈るとか、さいごは「意味」からずっと遠ざかった、ささやかな物語のために生きていくことに帰着して心の底からほっとした 「頭の中が気持ちの言葉でいっぱいすぎる。 僕のことを山とか道だと思ったらどう?」
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それぞれの母親を自殺によって相次いで失った「まこ」と「嵯峨」。悲しくて苦しい過去を背負いながら、お互い支え合って生きていく感じが切なかった。あの時もっと自分たちが…と後悔する過去から未来へ。
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すごくスピリチュアルな話でした。会話と物語の内容を追う、というよりも、この世界観の中にあるメッセージに何を感じるかという事に重きを置いていたのかな。私にはちょっと難しかったです。
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母親の自殺という過去に縛られていたまこと嵯峨。 そんな2人が色々な登場人物たちと関わることで、過去は過去、今を生きていく大切さに気づく話。 まこと嵯峨の過去とは違うが、私もある意味過去に囚われているので、この本はこころ動かされるものがあった。
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異国の地で、互いの母親をそれぞれ自殺で亡くし、天涯孤独の身となり日本で生活するようになったまこと嵯峨。 自分の身に起こった過去の不幸から逃れることができず 思い出を引きずりながら傷を舐め合うように生きる2人だったけれど 自分たちのことを理解してくれる周りの人たちの存在と 自らの意思で死んでいった母たちへの愛と、まこと嵯峨の2人の存在があったらからこそ 未来への思いを明るい方へと気持ちを切り替えていく様子。 離れ離れになれない2人でいることが苦しくて、早く赤ちゃんがほしいと思っていたまこだけど 次第にそうじゃなくて明るい方向へと思いを変えていくようになる。 なんとも共感しづらい、、、!
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他の作品によく見られる過酷な境遇で育った主人公に、さらに輪をかけて絶望的な過去を持つ登場人物たち。絶望に飲み込まれそうに見えても人生に希望を見出し続ける強い人たち。弱かった親たちを責めず今でも慕う気持ちは、読んでて苦しくなったがこういう人たちもいるのかなと思った。
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久しぶりに、ばななさんの作品があまり心に入ってきませんでした。 キラキラとした物語という印象ではなくて、ちょっと重たくてずっしりとしていて。 広がりのない密度の濃い暗い霧の中で必死に息をしようともがいている感じ。 最後に救いがあって、良かったな。
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・「あれ?なんか急に優しい顔になってる、だれかに優しくされた?」 と聞いてきた。嵯峨は昔から勘が鋭いのだ。 「うん、この場所に受け入れてもらったことがわかった。ここがとても好きになりそう。」 私は言った。 「ありがとうって言っときな。」 ・「一羽の鳥が翔んで 翔んで 遠く空の涯までも 昼も夜も翔んで 翔んで 太陽と月を訪れる」 「その鳥の名は”夜に骨が鳴る”という名で この世の有様をあの世に告げる鳥なのだ」 ・「安心なんてできないよ。人間って怖いもの。」 私は笑った。ふたりも笑った。 意外にいやなものは残っていなかった。 「率直なコミュニケーションからは学ぶべきものがある。」 私は言った。 ・「今のも、立派な祈りだと思うな。思い出だって、祈りのうちだよ。覚えてる人がだれもいなくなっても、宇宙にぽかんと浮いて残るんだ。」 ・「多分、君たちは今の自分たちの物語に比べて、あまりにも強烈な、どこに出してもだれに聞かせても大きく心が動くような過去の物語を背負っているから、自分たちの若いささやかな物語に自信が持てなくなってしまっているんだろう。でも、小さい声で語られる物語だっていいじゃないか。それが君たちの持っているものなら。やがて過去の物語と、今の物語はひとつになるかもしれない。それが人生だし、そうやって創っていくものだし、予測はつかないけれど、ベストは尽くせる。」 ・でも私は私の表現したいことをした。顔に両手の平をあてて、泣きながらうずくまったのだった。涙だけはほんもので、乾いた茶色い大地をぽつぽつと雨のように私の涙が濡らした。それは血ではなく透明な涙だった。濡れたところだけ土がもっと赤くなり、私はここにいる、確かにいるんだという気持ちになった。 泣きやんだ時、世界は静かだった。 青空を白い雲が渡っていった。 ・嵯峨に言わないことが増えるぶん、嵯峨への愛がどんどんたまっていく気がした。ぽたぽたたれるきれいな水が瓶にいっぱいになっていくみたいに。 ・幸せになってもいいのだと、声が聞こえた。そんな気がした。 見上げたら空高く飛ぶとんびがいた。 あ、嵯峨のお母さん。 私にまで会いに来てくれてありがとう、そう思った。 ・「はじめは過去の残像だけでできていた気持ちでも、生きているものはなんだって、自分たちを未来に連れていってくれると思ってた。いや、厳密には未来ですらない、今、今現在にだ。生きているものはみんなそうなんだ。パン酵母だって、植物だって。たまたま僕たちには時間がなくて一緒にくらっす習慣がなかったけれど、きっと鳥だって動物だって生きていたらみんなそういう力を発してるんだろうと思う。そこから影響を受けるに違いない。赤ん坊は常に僕たちを、今に今に連れ戻してくれるだろう。だからそうなってもいいと思ってた。」
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