丹生都比売 の商品レビュー
- ネタバレ
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順番に読もうとしたが、あまり心惹かれないので、すぐ表題作に。 壬申の乱直前、大海人一家が吉野に逃れたところからはじまる。 この草壁皇子のイメージは里中満智子の『天上の虹』から借りているように思う。無駄に改行が多いのでボリュームがないように感じる。歴史小説としての厚みに乏しい。…と思ったが、もともと児童文学の人なので、そうなのか。 単行本は持統の視点も入った長編であったらしい。毒ママの言葉がよく似合う。 詩想美しいファンタジーで、やんわりと切ない。
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うーん、これまで気付いた中で、一番素敵な紐のしおりの色だと。 冷蔵庫の音に共感。とあるレオパレスに住み始めた当初、夜中に、海の音がする、っと驚いて音の出所を探してみたら、冷蔵庫だったのでした。本当に夜の海鳴りの音なのです。どういう作りの冷蔵庫だったのか、水冷?
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光あれ 不思議な世界、幻想的な世界、そんなありきたりの言葉でしか端的に言えない自分がもどかしい。 パステルで描いたような、柔らかく繊細な物語。 水彩画のように、心に溶け込んでくる物語。 印象派の絵画を思わせる、温かみがあり、光を溶かし込んだような世界観。 それが本書だ。 『コー...
光あれ 不思議な世界、幻想的な世界、そんなありきたりの言葉でしか端的に言えない自分がもどかしい。 パステルで描いたような、柔らかく繊細な物語。 水彩画のように、心に溶け込んでくる物語。 印象派の絵画を思わせる、温かみがあり、光を溶かし込んだような世界観。 それが本書だ。 『コート』 2歳年上の姉とお揃いのコート。 母はなんと、大きさ別に九着も用意した。 彼女たちは毎年それを着続ける。 うんざりしながら彼女たちはそれを着続ける。 そしてある時、転機が訪れる。 姉はそれを着るのを拒み、妹は初めて新品(正確には、ほとんど)の同じ型の大きなコートに袖を通すこととなる。 姉の妹に対する思いが詰まったコート。 幼い頃から同じだった二人の絆がコートに包まれている。 『丹生都比売 』 天武天皇、持統天皇、草壁皇子の親子の物語である。 複雑な事情を抱えた一家は吉野にこもり守り神においでいただくよう、祈祷を繰り返す。 言葉を発することができない土地の子キサと草壁皇子は心を通わせるようになる。 そのうち大海人皇子は大王となり、崩御の後は母がその地位をつぐ。 めまぐるしい日々を過ごすうち、草壁皇子は静かに息を引き取った。 彼者の魂を美しいまま引き取って行ったのは誰だったのだろうか。 鬼と神が同居する吉野の山々に、子を亡くした母の涙と、母を愛し消えていった子の涙が一つになって立ち上っていく。 他に『ハクガン異聞』は『スノーグース』を知っているとよりその儚さが感じられる。 古典的な設定でありながらありきたりという印象を抱かせない。
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寂しい子供が寂しい老境に入っていったのだな、と作者本人が後書きで書いているとおりの印象。静かで美しい物語たちは、お休みの午後にゆっくり味わうのがいい。 夏の朝がいちばん好きかな。
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表題作を初めとする短編集。過去を釣り上げる話には笑った。他には「コート」と「夏の朝」が印象に残った。
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しずかな、しずかな短編集。 雨が降る日にとてもよく似合う気がする。しんとした中で読むのがとてもいい。 良質な一冊。何度も読み返しちゃいそう
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個人的に気にいている作家のひとりである梨木さんの短編集。 昔の(初期のころの)短編を中心にまとめてあるようです。 なかには、短編であることから、あまりにも 妖しくて、突拍子もない話で、ついていけないというか よくわからない内容のものもありましたが(本棚にならぶ。旅行鞄のなかから)...
個人的に気にいている作家のひとりである梨木さんの短編集。 昔の(初期のころの)短編を中心にまとめてあるようです。 なかには、短編であることから、あまりにも 妖しくて、突拍子もない話で、ついていけないというか よくわからない内容のものもありましたが(本棚にならぶ。旅行鞄のなかから)、全体的には9編ともおもしろかったと思います。 とくに、『夏の朝』は感動もので、美しく、こころに残る話です。 『カコの話』『ハクガン異聞』は家守綺譚とよく似た感じ。ドキッとするような、懐かしいような、景色がみえてくるような著者独特のイメージの作品です。 『丹生都比売 』は持統天皇の皇子である草壁皇子の話で 抒情詩的な美しいけど、少し救われない内容です。 個人的にはやはり『夏の朝』が一番いいと思います。
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切ない姉妹の話『コート』、妖しさと朴訥さがミックスされたファンタジー『夏の朝』、表題作以外ではこの二つが好き! 百合から生まれた春ちゃん。 後ろで見守るお姉ちゃん。 温かい気分になれました。 (そして、勿論泣いた……)
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短編集だからか、めずらしく梨木さんの「あとがき」があった。それぞれの物語で感じたことはゆっくり時間をかけて書きとどめたい。
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梨木香歩の短編集。90年代からここ数年の作品まで、書かれた年代は幅広い。 表題作と『夏の朝』は児童文学っぽいテイストだが、他の作品は、これまでの幻想小説を思わせる。どちらかというと幻想短編の方が好みだった。
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