イノセント・デイズ の商品レビュー
小説を読んで、笑ったり泣いたり、ということはよくあるけれど、怒りを感じることはあまりないような気がする。 もちろん自分勝手な登場人物に対して許せない!叩きのめしてやりたい!と思うことはあっても、なんというか、漠然とした、けれど確たる怒りにここまで包まれることはめったにない。 もや...
小説を読んで、笑ったり泣いたり、ということはよくあるけれど、怒りを感じることはあまりないような気がする。 もちろん自分勝手な登場人物に対して許せない!叩きのめしてやりたい!と思うことはあっても、なんというか、漠然とした、けれど確たる怒りにここまで包まれることはめったにない。 もやもやとしているのに的確に自分の心のどこかを刺す、そんな怒りをもって読了しました。 なぜ、幸乃は死刑になったのか。いや、死刑にならざるを得なかったのか。 なぜ彼女はいつも誰かから必要とされ、そしていつか必要とされなくなってしまうのか。 必要とされなくなるまえの、たくさんのもしものどれかを選んでいたなら、彼女の世界は変わっていたのかもしれない。 けれど、もう遅いのだ。誰も彼も、何もかも、遅いのだ。 誰も救えず、誰も救われない。希望の光にすがることさえ許さないこの結末こそが彼女の世界に対する復讐なのか。 イノセントの対義語は「保身」、なんだろう、きっと。
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