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春の庭 の商品レビュー

3.1

155件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    64

  4. 2つ

    23

  5. 1つ

    7

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2021/03/10

◎あらすじ◎ 築三十一年のアパートで暮らす太郎はある日、2階の窓から身を乗り出し隣家を眺める女性を目撃する。彼女はアパートの隣に立つ洋館風の水色の一軒家に強く興味を惹かれていた。それは彼女が読んだ写真集『春の庭』に出てくる家なのだと言う。彼女はやがてその洋館に住む住民と親しくなり...

◎あらすじ◎ 築三十一年のアパートで暮らす太郎はある日、2階の窓から身を乗り出し隣家を眺める女性を目撃する。彼女はアパートの隣に立つ洋館風の水色の一軒家に強く興味を惹かれていた。それは彼女が読んだ写真集『春の庭』に出てくる家なのだと言う。彼女はやがてその洋館に住む住民と親しくなり出入りするように。彼女の執着を不思議に思いつつ、ひょんなことから太郎も一緒に洋館を訪れ、特に興味のあるお風呂場を見たいという彼女と行動をともにすることとなる…。 ◎感想◎ 2014年に芥川賞を受賞した作品。以前はあまり読めなかった"純文学"だけれどこの作品は好きだと思った。私が年齢を重ねたからっていうのもあるかもしれない。 家は確かに人が住んでいるか否か、または住人によって雰囲気を大きく変えるというのにうなずけた。住人の住んでいない家はどこかノスタルジックだけど、誰かが住みつくと途端に息づく。それが表現からまざまざと伝わってきて、読んでるうち、私も水色の洋館に惹かれてしまった!ぜひ写真集を見てみたいものです。 太郎と、同じアパートの隣人、職場の人、姉との関わりも描き方が良いなと思った。彼らは深すぎず、ささやかにつながっている。その淡々とした描き方も好きだった。 難しい考察はできないけれど、輪郭のある情景を想像させるきれいな文章と雰囲気を楽しみながら読みました。

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2020/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『春の庭』が写真集のタイトルとは… 取り壊し間近の世田谷区のアパートでの太郎・西さん・『巳』さんの日常生活の描写… 親しくなる予感が全くない中での、予想外な接近で物語が進む。 そして『春の庭』に住んでいる森尾家の登場。西さん念願の『春の庭』に入ることができる。 最後のシーンはドキッとしたが、太郎は難を逃れた。 私の理解が足りず、作者が何を言いたかったのか良く分からなかったが、飽きることなく最後まで読み終えることが出来た。

Posted byブクログ

2020/10/11

芥川賞受賞作ということで、やはり美しい描写が際立つ。 ラストシーンはなんとも不思議だった。 不思議な漫画家、西と、年輩の「巳」さんと、太郎と姉のひっそりとした「日常」の物語である。 そこに、色恋沙汰も感動秘話も何一つないが、それぞれの「こだわり」や「人間性」が丁寧に描き出さ...

芥川賞受賞作ということで、やはり美しい描写が際立つ。 ラストシーンはなんとも不思議だった。 不思議な漫画家、西と、年輩の「巳」さんと、太郎と姉のひっそりとした「日常」の物語である。 そこに、色恋沙汰も感動秘話も何一つないが、それぞれの「こだわり」や「人間性」が丁寧に描き出された作品である。 ある人にはなんてことない建物も、ある人にとっては非常に魅力的なことがある。そういうことがテーマだと思う。 都会のアパートは、都会のアパートなりの「隣人愛」が存在するし、田舎の集落には田舎の集落なりの「隣人愛」が存在する。それでいいのではないかと思わされる。 無機質で溢れる現代日本であるが、そんな空間の中で過ごす日常の中に、それぞれの人にとっての「美しいもの」「心惹かれるもの」が確かにあるのだ。 人は一生のうちに、あらゆる場所をあらゆる人間と訪ねる。 そんなときに、どんなところに住みたいと思うだろうか。どんなところを故郷だと思いたいだろうか。 「故郷とはアイデンティティである」そんなことも本書から、感じられる。 今一度、私も自分の「こだわり」や「好き」を見つめ直し、私にとっての「春の庭」を探してみようと思う。

Posted byブクログ

2020/10/07

終始不思議。ふわふわと宙に浮きながら、靄のかかった感覚を楽しむにはいいのかもしれない。情景の描写は、女性的な感性と細やかさが目立つ。残念ながら私の好みではなかった。

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2020/08/16

柴崎友香さん初読。芥川賞受賞作。 うーん、何の話なのか、どういったことを伝えたいのか、私には理解できなかった。

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2020/02/27

不思議な感覚。水色の家の印象が濃いからか、色に対しての感覚が残る作品。どの登場人物もなんとなくキャラクターが掴めず、そこが全体的に俗世間と少しずれた日常を感じさせます。

Posted byブクログ

2020/01/26

ちぃとも良さがわからなかった。 太郎が西さんと近しくなってから、やっと動き出した感じだったけど、それでもあっさり西さん引っ越してっちゃったし、そのしつこく隣の家(建築自身が)が気になる感覚がまるっきりわからない。 芥川賞はいつもわからん。

Posted byブクログ

2020/01/12

何回か図書館で借りては初めの方で詰まってしまいなかなか読めなかったが、西さんが登場してからはスラスラと引き込まれて読めた。現実的な話のような、架空の話のような、太郎の生活から通して見るこの世界は淡々と流れているようで、ドラマチックでもある。

Posted byブクログ

2019/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

淡々とした文章がかえって哀愁を呼び起こし、胸の奥にそっと触れていった。過ぎていった日々や別れていった人々が頭の中に浮かんで懐かしく、同時に切ない。‬ 意味のない日常にこそ人生が詰まっていて、死ぬまでそれは続いていく。自分の持っている死生観の形が少し見えた気がした。 『糸』の先が知りたいのでもうちょっと読ませて欲しい。

Posted byブクログ

2019/04/18

淡々と物語が進んでいって、劇的な変化もなければ最後のどんでん返しもないので、読後感はすごい物足りなく、 あんまり話しが入ってこなかった。けど、この本は季節の移ろいや物事の描写の美しさを感じれるので、何も期待せずただ目の前の一つ一つの展開を堪能する本なのかなあって思った。アパート暮...

淡々と物語が進んでいって、劇的な変化もなければ最後のどんでん返しもないので、読後感はすごい物足りなく、 あんまり話しが入ってこなかった。けど、この本は季節の移ろいや物事の描写の美しさを感じれるので、何も期待せずただ目の前の一つ一つの展開を堪能する本なのかなあって思った。アパート暮らしって良いなあって思う

Posted byブクログ