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イスラム飲酒紀行 の商品レビュー

3.9

74件のお客様レビュー

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2017/07/04

これまで、ほぼすべての著書に手をつけてきた高野氏の本のなかで、数少ない未読本だった『イスラム飲酒紀行』。イスラムについては、近年様々な本が出版され、硬いものだけでなく、内藤正典氏の『となりのイスラム』や常見藤代さんの『女ひとり、イスラム旅』など、本当のイスラムの姿について理解しや...

これまで、ほぼすべての著書に手をつけてきた高野氏の本のなかで、数少ない未読本だった『イスラム飲酒紀行』。イスラムについては、近年様々な本が出版され、硬いものだけでなく、内藤正典氏の『となりのイスラム』や常見藤代さんの『女ひとり、イスラム旅』など、本当のイスラムの姿について理解しやすい、楽しめる本も出版されている。 高野氏によって書かれたこの本は、飲酒が(表向きには)禁じられているイスラム教の国々で酒を飲もうと奮闘する体験記だ。一見ふざけたルポにも見えるが、本気で飲もうとする姿を通して、イスラムの国々のイメージとは異なる一面が浮かび上がり、とても身近に感じられる。高野氏ならではの飄々としたユーモアを混じえて書かれ、非常に読みやすく、また楽しい本だった。 イスラムをはじめ世界を広く知りたい方々には、大変おすすめの本である。

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2017/05/05

イスラームの国といっても、そこにはキリスト教徒やユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒に仏教徒と様々な人々が住み、イスラームの中でも酒も豚肉もOKなドルーズ派があり、さらに各社会の文化によって裏表、本音と建前があり、世界は常に一面的ではないことを考えさせられる。ソマリランドとイエメンでカート...

イスラームの国といっても、そこにはキリスト教徒やユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒に仏教徒と様々な人々が住み、イスラームの中でも酒も豚肉もOKなドルーズ派があり、さらに各社会の文化によって裏表、本音と建前があり、世界は常に一面的ではないことを考えさせられる。ソマリランドとイエメンでカートの葉があれば酒を飲まずに過ごせたというのが意外だった。酒もドラッグも大体同じなのだろうか。自分で確かめる気はないが。

Posted byブクログ

2017/05/02

本当に面白い。高野さんの本はどれを読んでも本当に面白い。読んでいるときにワクワクが止まらなかった。勝手に思っていたイスラームの厳格なイメージを覆すような、酒(酔い)がつくる人々のありのまま姿から、人間味が伝わる。特に良かったのは、あとがきに書かれている言葉だった。 「イスラー...

本当に面白い。高野さんの本はどれを読んでも本当に面白い。読んでいるときにワクワクが止まらなかった。勝手に思っていたイスラームの厳格なイメージを覆すような、酒(酔い)がつくる人々のありのまま姿から、人間味が伝わる。特に良かったのは、あとがきに書かれている言葉だった。 「イスラーム=前近代的で非常識」とか「ムスリム=過激で不寛容」といった偏見がまかり通っているいっぽう、「イスラームは本来寛容的な宗教である」とか、生真面目に説く。 そんな難しい話ではない。 私が出会ったのは、犬の写真を撮ろうとすると、一生懸命(イスラムでは不浄とされる)犬を押さえようとしてくれる通りすがりのおじさんとか、酔っ払っていてもお釣りをきっちり返してくれるチュニジアの田舎の人たち…… ムスリムの人たちは酒を飲む人も飲まない人も、気さくで、融通がきき、冗談が好きで、信義に篤い、 この言葉こそ、彼が伝えたかったイスラームの人々の姿だと思った。2017.5.1

Posted byブクログ

2017/02/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読後に訪れる感慨は、なによりもイスラム圏の人々も本質的に我々と同じような営みをしているのだ、という点だ。 当然、戒律により酒を手に入れたり、ましてや宴会を開いたりすることは格別に難しいわけだが それでも建前を巧みに使いながらわりと普通に飲酒したいる姿に感動すら覚えた。

Posted byブクログ

2017/01/15

イスラム教では飲酒はタブーであるのに、ある所にはあるんだな。それもこれもお酒が大好きで、どの国の人とでも積極的にコミュニケーション取れちゃう高野さんならでは。でも逮捕されてまた国外退去にならないかヒヤヒヤしました。

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2017/01/15

イスラム圏でも酒はある。 酒好き著者のどんどん深く踏み込んでいく行動力がすごい。 イスラム圏のイメージが少し変わった。

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2016/08/17

その名の通りイスラム国家とされる国々でひたすら酒を探した紀行だったのだが、 酒に辿り着くまでの過程に各国異なるストーリーが見られ自然に現地の人々の風習や性格が描かれていた。 わざとらしくない自然な書き方は高野さんならではの書き方であり相変わらず面白くガハッと笑ってしまう一冊だった...

その名の通りイスラム国家とされる国々でひたすら酒を探した紀行だったのだが、 酒に辿り着くまでの過程に各国異なるストーリーが見られ自然に現地の人々の風習や性格が描かれていた。 わざとらしくない自然な書き方は高野さんならではの書き方であり相変わらず面白くガハッと笑ってしまう一冊だった。 もっとも読み終わって印象に残ってるのは彼の酒に対する執着心の強さであるが…笑

Posted byブクログ

2016/05/02

基本的に「非合法」的なものに興味をそそられる傾向が強く、イスラム教の人々がお酒を飲むという、何となく、ただの違法行為よりもさらに罪深そうな行為とそのテーマを設定した作者のセンスに思わず手を出した。日本ではお酒は禁止されておらず、どこでも飲め、私自身も日曜日、コンビニで買った缶ビー...

基本的に「非合法」的なものに興味をそそられる傾向が強く、イスラム教の人々がお酒を飲むという、何となく、ただの違法行為よりもさらに罪深そうな行為とそのテーマを設定した作者のセンスに思わず手を出した。日本ではお酒は禁止されておらず、どこでも飲め、私自身も日曜日、コンビニで買った缶ビールを家まで我慢できずにコンビニの前で飲んでしまう事がよくあったりするが、そういう時間が悪くなかったりする。しかし他の国ではそんなことしたら逮捕される。日本ではマリファナを吸ったら逮捕されるがそれ自体が産業になり文化として根付いている国もある。嗜好品に対しての解釈はそれぞれに委ねられていて、窮屈なことも多くあるが、そこが文化の違いで面白い。完全に欧米化されている日本から見るイスラム圏に対してのイメージからは想像できない現地の人たちの脱法。どこの国も背徳感から来る美味しさに代わりはないらしい。お酒に近づけば近づくほど現地の人から遠ざかる、と言いながら、現地の人との宴会を望み、地酒を探す作者の本物を見ようとするその姿勢には脱帽する。 酒には人格がない、と言っていたのは中島らもだが、なんでもそうなのだと思う。嗜好品にはどんな規制をかけていようとも、人格は当然なく、けっきょくは人間が人間としてどこまで生きていこうとするのか、どういう生き方をしようと思うのか、そういう問題なのだ。

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2017/08/28

高野さんのクレイジーさがよく現れている一冊。ずっと積読状態でしたが、仕事を休んで電車に揺られながら、飲んではいけないところで酒を探しまわる高野さんのはなしを読みふける優雅な休日。お酒が大好きなわけではなくても、酒とは何か考えてしまう。わたしも少しは飲むけど、お酒禁止になろうとも廃...

高野さんのクレイジーさがよく現れている一冊。ずっと積読状態でしたが、仕事を休んで電車に揺られながら、飲んではいけないところで酒を探しまわる高野さんのはなしを読みふける優雅な休日。お酒が大好きなわけではなくても、酒とは何か考えてしまう。わたしも少しは飲むけど、お酒禁止になろうとも廃止になろうとも別に生きていけると思うけど、大丈夫じゃない人が世界にはたくさんいるんだなあ。

Posted byブクログ

2015/11/01

高野秀行だから、勿論面白かった。ただ、この本は二番出汁という感じ。他の仕事で行って、ついでに体験したり取材したりしたことを、イスラムと飲酒という観点からまとめた、という。 ソマリランドのいつものワイヤッブも出てくる。 この本の読みどころは、イスラムと仏教の考え方。学者が研究して書...

高野秀行だから、勿論面白かった。ただ、この本は二番出汁という感じ。他の仕事で行って、ついでに体験したり取材したりしたことを、イスラムと飲酒という観点からまとめた、という。 ソマリランドのいつものワイヤッブも出てくる。 この本の読みどころは、イスラムと仏教の考え方。学者が研究して書く本とは違って、実際に現地の人々と触れあって感じる宗教観なだけに説得力がある。 薬物にしろ煙草にしろ、酒にしろ、完全に社会から絶つのは不可能だし、上手く付き合えば、そう危険なものではないが、人間は弱いので、限度を超えて溺れ、取り返しのつかないことになってしまう者が必ず出てくる。だから基本禁止の建前が必要なのだな。お前はやっていいけど、お前は駄目とは言えないものね。

Posted byブクログ