山女日記 の商品レビュー
7人の山ガールたちが、それぞれ登山をしながら自分を見つめ直す話。ゆる〜くリンクしててどれも面白かったし、共感できるものもあって、読んでよかった。 最後の話だけ、なんかよくわからなくて少しだけ違和感を感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
各章異なる山ガールを主人公とした連作短編集。 ・妙高山 ・火打山 ・槍ヶ岳 ・利尻山 ・白馬岳 ・金時山 ・トンガリロ の七編収録。 登場人物が仄かにリンクしているが、途中の章でリンクが途切れて、あれ?っと思いましたが、最終章でつながるというところは、さすが湊さんという感じです。 ここのストーリーも女性の本音が語られていて、自分は湊さんはこの方向性に進んだ方が大成するように思います。 自分事ですが、父親が登山が大好きで、小学生低学年から御嶽山に毎年家族旅行で登頂させられて、当時は辛かったですが、今となっては美しい思い出です。 高山植物、雷鳥、雪渓、山小屋、ご来光、ところてん、湧水と鮮明に思い出します。 最後に、各章のもう一つの主人公である山々のつながりがないところも、湊さんらしい構成力の甘さだと思います。
Posted by
山ガール短編7編。北村薫の「八月の六日間」とは違って主人公は1話ごとに変わりますが、それぞれのお話はゆるくリンクしています。どのお話もその結末は著者らしからぬ前向きで(笑、じんわりと心に染みます。
Posted by
あまり期待はしていなかったけど、予想どおりだった。登場人物が好きではないタイプばかりで、書き方も嫌な感じで読み飛ばしたい部分が多い。そういう本ではないのだろうけど、山の描写もあまり魅力を感じない。今回の山シリーズの本では今ひとつで、タイミング的に買うしかなかったんだけどやっぱり買...
あまり期待はしていなかったけど、予想どおりだった。登場人物が好きではないタイプばかりで、書き方も嫌な感じで読み飛ばしたい部分が多い。そういう本ではないのだろうけど、山の描写もあまり魅力を感じない。今回の山シリーズの本では今ひとつで、タイミング的に買うしかなかったんだけどやっぱり買うんじゃなかった。
Posted by
微妙に絡み合った山ガール短編集。 ウジウジしたところ、スパッとしたところ、合わせて気持ちいい。 お勧めです。
Posted by
冒頭─── 午後11時、新宿駅バスターミナルに集合。ここから夜行バスで長野駅に向かう。10分前に到着した。まだ誰も来ていない。いつものことだ。 数メートル先にいるおばさんたちのグループは四、五人集まっていて、切符やアルミホイルに包んだおにぎりらしきものを配り合っている。チェックの...
冒頭─── 午後11時、新宿駅バスターミナルに集合。ここから夜行バスで長野駅に向かう。10分前に到着した。まだ誰も来ていない。いつものことだ。 数メートル先にいるおばさんたちのグループは四、五人集まっていて、切符やアルミホイルに包んだおにぎりらしきものを配り合っている。チェックのシャツに裾をしぼった八分丈パンツ、という姿。足元には、脇にストックを差し込んだ25リットルから30リットルサイズのリュックを置いている。 あの人たちも山に向かうのだろう。「山ガール」とは言えそうにないけれど。しかし、さ来月には30歳になるわたしも、他人のことを言えた立場ではない。おばさんたちは全員お揃いの藍染のスカーフを巻いている。けっこうかわいい。 気持ちはガールなのかもしれない。(妙高山) 空に向かい歩いてきたはずなのに、星空は地上にいる時よりも、高く遠いところにある。それでも、星の数は地上で見るよりはるかに多い。(火打山) “イヤミスの女王”湊かなえは、あまり後味の良くない女性のどろどろした物語しか書かないのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。 こんな素敵で爽やかな山女小説も書けるのだ。 日本国内六つ、海外一つの山に登る女性たちを描いた七つの連作短編集。 全く独立しているわけではなく、細かいところでリンクしあっており、それを最終章の“トンガリロ”では、見事にまとめあげている。 全体の構成も素晴らしいのだが、登場人物たちが、山に登ったことで日常のしがらみから解放されるせいか、思いのたけを毒舌的に発散する言葉の表現が新鮮で楽しくて笑える。 ───例えば トリカブトに猛毒があることなんて教えなければよかった。不倫相手の奥さんがもし殺されでもしたら、私も協力者になってしまう。(妙高山) バリバリと仕事をこなすキャリアウーマンとでも思われていたのだろうか。仕事は忙しいが、老人ホームの事務員にキャリアウーマンという言葉は似あわない。そもそも、こんな言葉はとっくに死語と化しているはずだ。では、今は何と呼ばれているのだろう。大人女子? これでは仕事をしている人としていない人の区別がつかない。(火打山) 「私、小学校の時のあだ名が金太郎のキンちゃんだって話したことあったっけ」(中略) 母親の手先がなまじ器用だったため、私の散髪は幼い頃から母がやっていた。しかし所詮は素人芸。バリエーションは縦横まっすぐに切りそろえたおかっぱだけ。小学一年の段階で、(中略)子どもがそんな髪型をしていたら、悪意もなにも関係なく、周りは金太郎を思い浮かべるだろう。 おまけに、町内会主催の「ちびっこわんぱく相撲」に優勝賞品のゲーム機欲しさに参加して、低学年の部で三年生の男子を倒して優勝したのだから、その名は不動のものとなった。(金時山) 等々、もう爆笑である。 読みながら、これまで気付かなかった湊かなえのユーモアセンスに感心したと同時に、表現が綿矢りさに似ていると感じた。 山に登るということは、何かを発見することでもあり、何かを捨てることでもある。 新しい自分になって旅立つために、或いは過去の自分に別れを告げるために。 山に登り、新たな人たちと出会うことや山の頂きへ到達することで、それまで知らなかった自分を見出すのだ。 この七つのエピソードはどれもが起承転結のよく練られた素晴らしい物語だと思う。 それぞれの“山ガール”たちの心情も読者に深く沁みわたってくる。 そして、先に挙げた随所に散りばめられたユーモア表現。 最初から最後までとても面白く、読み終わるのが惜しいとまで思った。 ここ何か月か読んだ本の中で最も私を楽しませてくれた一冊だ。 湊かなえの新しい一面を発見した作品。 第152回直木賞候補作に推薦します!!
Posted by
山に登ったからといって、頂上に辿り着いたからといって、人生が切り開けるわけでも、決断ができるわけでもない。でも、なぜか山にはそんな魔力があると思いたくなる。きっと何かが変わる。そう信じているからこそ、人は山に登るのかもしれない。
Posted by
妙高山、火打山……と7つの山を舞台に話しが進む。 山の魅力も伝えつつ訪れている人たちの関係が語られていく。それぞれの話しが微妙にリンクしているところも魅力。 山は不思議な場所。 人と一緒に登っていたとしても頼れるのは自分の足だけ。 あーつらい、苦しいと思っても一歩ずつ踏み出せば時...
妙高山、火打山……と7つの山を舞台に話しが進む。 山の魅力も伝えつつ訪れている人たちの関係が語られていく。それぞれの話しが微妙にリンクしているところも魅力。 山は不思議な場所。 人と一緒に登っていたとしても頼れるのは自分の足だけ。 あーつらい、苦しいと思っても一歩ずつ踏み出せば時間がかかれど着実に頂上に到達する。 やってやれないことはないと思う一瞬。 以前は、誘われて登山することがあったけど、もう体力的にキツイやね〜。 日頃から歩いていれば、何歳になっても楽しめるんだろうけど。 物語中に出てくる食べ物にいちいち反応してしまった(笑)。 山で食べたハチミツをたっぷり塗ったパンと朝食に食べたインスタントラーメンがなぜか妙に美味しいことを思い出してしまったよ。 インスタントラーメンの美味しさを再現したくて、自宅で朝から同じように作ってみても、自宅ではちっとも同じ味に感じられないのが不思議。 山の魔法か?
Posted by