星々たち の商品レビュー
すこし飛んでる所があるが、作者はそれを話の魅力に計算している。読んでみると、不思議なやり切れなさを感じるが新鮮な力も感じる。
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ひとりの女性が辿る、幾人もの男との遍歴と、いくつもの身の処し方。一体彼女は何を考えて生きたのか。だれかを愛して生きられたのか…。北海道の厳しい自然にさらされる地方の地で、ささやかに日々を生きる人びとの生き様を掌編ごとに描き出しながら、一人の女性の生きざまをあぶり出していきます。 ...
ひとりの女性が辿る、幾人もの男との遍歴と、いくつもの身の処し方。一体彼女は何を考えて生きたのか。だれかを愛して生きられたのか…。北海道の厳しい自然にさらされる地方の地で、ささやかに日々を生きる人びとの生き様を掌編ごとに描き出しながら、一人の女性の生きざまをあぶり出していきます。 希望も夢もないようなその生き方には同情も覚えないし共感もできません。けれども彼女はそのようにして生きるしかなかったという事実だけが、心をえぐるように印象を残していきます。生きるということはこんなに強いものなのか、哀れなものなのか、醜いものなのか。という本質について、考えさせられるような気がしました。 そんなものだから読んでいくとどんより気分は重くなってしまうのですが、ラストの短編では少し希望が添えられていてとてもほっとしました。せめて彼女には、少しでも寄り添い続ける温かなものがあり続けていますように、と願います。
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何を伝えたいのかわからなかった。物語がつながってない感じ。桜木紫乃さんの本が好きなだけに今回は物足りなかったです。
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何でこうなってしまうんだろう。結局血なのかなと思ってしまう。 悲しいだけかと思いきや、そうでもない。あらゆる場所で自分の輝きを発揮する千春は、したたかで強い女なのかもしれない。 H26.12.23読了
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そこにいた名もなき星々のような、人々 。 水商売と男から抜け出せない生活でろくに娘の千春にも会わずにいる咲子。 医大生の息子だけが自慢の育子が作った秘密。 刑期を終えた兄を待ち続けたあさひの思いと現実。 公務員として母と独身生活にも慣れた40代の春彦に訪れた結婚の話。 根に持つ夫とダメ息子から引き取ったやや子の世話をする床屋一筋の桐子。 詩教室を開く五朗の小説家になりたかった劣等感をくすぐった出来事。 指名手配犯として逃げる忠治の人生で看取った咲子とその娘の居場所。 編集者を引退し田舎暮らしの矢先に出会った千春からインスピレーションされたもの。 千春の娘、やや子が父の危篤を知り、自分の人生を前に進んでいく一歩。 中学生だった鈍臭さそうな千春が成長しながら登場してくる感じ。 40代くらいで交通事故でボロッボロになって亡き母を頼りに旅してるところが、なんか怖い。 やや子が一応ちゃんとした感じに成長してて安心した。)^o^(
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各話に同じひとりの女性が出てくる。その人にすごく惹き込まれる自分がいる。ついつい気になってすぐ読んでしまいました。読めてすごくよかったです。
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9編から成る連作短編集。母親とその娘、孫、3人の人生を追っている。 最初の短編の女性が全体の主人公かと思っていたら、全編を通して語られるのはその娘だった。 主人公の周囲の人間が順に語り手となり、彼女はそこにちらちらと見え隠れしながら登場するのみ。しかし、垣間見られるその姿を追っていくと、社会の底辺で生き抜く一人の女性像がくっきりと現れるという手法だ。 奔放に生きる母親に捨てられ、高校時代には隣家の息子に遊ばれて堕胎し、親の借金を背負ったストリッパー暮らしを経て二度結婚し、一児をもうけるもその子を捨てて、さらに事故で片足を失う……と粗筋だけなら昼メロのようにも思えるが、これがなかなかのもの。 怒濤の嵐のように不幸が襲ってくるにもかかわらず、愚鈍とも言える性格で、不幸を不幸と感じているのかいないのか、深く考えずにすべてを受け入れる主人公。感情をあらわにすることなく、かといって内心にくすぶるものがあるとも思えず、ひたすら淡々と底なしにすべてを飲み込んでいく姿には、したたかさを越えて恐怖すら覚える。 誰の言うなりにもなってしまう彼女は、じつは誰も太刀打ちできない最強の女性と言えるのではないだろうか。
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きちんと書かれているし、面白くもあったのだが、作者がこの本を書いた必然性がわからない。 主人公3代の心理描写が少ないせいなのか、感情移入できず、やや喰い足らず。
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人間は、その時々に生きる。いくつもの顔を持つ。 どれも紛れもなく自分なら、暗い中でもちゃんと輝いてる… 星のように。 読んでよかった。
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主人公である塚本千春の半生を、彼女と関わった人々の視点から語る短編連作。 母、近所の主婦、先輩踊り子、一人目の夫、二人目の夫の母、現代詩教室の講師、母の恋人、元編集者、そして娘。 同じ人物の話だけど、語り手によって少しずつ変わるその姿を想像するのが、なかなかに面白かった。
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