1,800円以上の注文で送料無料

星々たち の商品レビュー

3.7

76件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    34

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/11/09

北海道の地で、 生まれた境遇と運命にゆさぶられるままに生きる 一人の女性の物語でした。 すでにhi2515さんがレポを書かれています。 そのレポのとおり、 奔放な母親から祖母に預けられた塚本千春の生き方は あまりにも切なく、信じ難いものでした。 9つの短編小説ですが、 すべて...

北海道の地で、 生まれた境遇と運命にゆさぶられるままに生きる 一人の女性の物語でした。 すでにhi2515さんがレポを書かれています。 そのレポのとおり、 奔放な母親から祖母に預けられた塚本千春の生き方は あまりにも切なく、信じ難いものでした。 9つの短編小説ですが、 すべての章で、彼女をめぐる人たちが主人公となっています。 千春の成長とともに、 彼女の周りの人たちもどんどん変わっていきました。 実母が出てきたり、踊り子に弟子入りしたり、結婚したり・・・。 また次の章では、 別の男性と結婚していて、子どもまで産んでいます。 ところが、実母の血統がそうさせるのか、 千春も同じ生活スタイルに落ち着いていません。 せっかく結婚して幸せそうな暮らしをしているのに、 急にふらりと家をでてしまい、 次の章では、飲み屋のママになっていたります。 事故にあってひどい怪我をした千春が、 最終的に頼ろうとしたのは、 音信不通で捨てられたような形になっている実母。 でもその実母は・・・。 自分の産んだ子どもさえ、 生きているのか死んでいるのか、わからない、という千春。 彼女はいったい、何を求めて生きているのか。 あやふやな人生を歩みながらも、 それでもたくましく生きている女性の姿は、 北の大地にふさわしいと思いました。 この手の背景と人物の心理描写は著者はお得意ですね。 繊細な女性の心理を上手く書き表わしていたと思いました。 でも、私には千春の性格や行動が理解出来ない! この女性の性格は、 母親のDNAのせいだと、思いたいです。

Posted byブクログ

2016/01/11

9つの短篇集だが,舞台が北海道なので薄ら寒い読後感だ.塚本咲子,千春,やや子の三世代の女の少し侘しい生活を淡々と描写している.「ひとりワルツ」のヤマさん,「隠れ家」の広瀬浩二,「月見坂」の木村晴彦,「トリコロール」の田上桐子,「逃げてきました」の巴五郎,「冬向日葵」の能登忠治,「...

9つの短篇集だが,舞台が北海道なので薄ら寒い読後感だ.塚本咲子,千春,やや子の三世代の女の少し侘しい生活を淡々と描写している.「ひとりワルツ」のヤマさん,「隠れ家」の広瀬浩二,「月見坂」の木村晴彦,「トリコロール」の田上桐子,「逃げてきました」の巴五郎,「冬向日葵」の能登忠治,「案山子」の河野保徳.それぞれ地道に生きている人をしっとりと書き上げている.

Posted byブクログ

2015/10/19

ホテルローヤルが面白かったので二冊め。 だらしのない水商売の娘が高校生になり、近所の先輩との間に子供を宿す。それを少年の母親が必死にいたわるふりをして堕させる。この話が印象的だった。

Posted byブクログ

2015/09/05

母娘三代の血に流れ継ぐ"性分"、、。咲子・千春・やや子の生きざまの軌跡に絶妙に絡み合う、その時代刻々の星星たち。その土地・土壌に踏ん張る人々…悲しい宿命を背負い込みながらも、其々その時の奇跡に輝きを放つ♪。

Posted byブクログ

2015/11/12

桜木さんの本は「ホテルローヤル」に次いで2冊目。 北海道の地に生きる、母、娘。 娘の塚本千春の来し方を中心に描かれる。 桜木さんは「生き方」ではなく「来し方」という言葉を使われているが、その言葉が深く心に残った。 最後の「誰も彼も、命ある星だった。夜空に瞬く、なもの愛星々たちだ...

桜木さんの本は「ホテルローヤル」に次いで2冊目。 北海道の地に生きる、母、娘。 娘の塚本千春の来し方を中心に描かれる。 桜木さんは「生き方」ではなく「来し方」という言葉を使われているが、その言葉が深く心に残った。 最後の「誰も彼も、命ある星だった。夜空に瞬く、なもの愛星々たちだったー。」が良いなぁ… 桜木さんの本はまだ2冊しか読んでいないのだが、何となく同じ風を感じる。 他の本もぜひ読んでみなくては。

Posted byブクログ

2015/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「濃厚な昭和だ~」という感じがしました。表現がおかしいですが。もちろん物語の背景のほとんどが昭和から始まっていることも大きいのですが、テイストが昭和というか、ビジュアルで言えばセピアめいていると言うか。 愚鈍で、官能的で(悪く言うとオマタが緩い…?)流されるように生きていく女、というもはや定番と言っていいような 桜木さんワールドがこれでもか、これでもかと展開。 「案山子」「やや子」が個人的には好きです。 桜木さんのテーマがどこまでもこういう女性像なのだろうと思うのですが、正直言うとこのテイストの主人公ではない女性の話もそろそろ読んでみたいところ。

Posted byブクログ

2015/08/03

本の帯に「いびつでも かなしくても 生きてゆく」とある。千春という名前の、ひとりの女が、母親とも娘とも生き別れ、北の大地を彷徨い、生きてゆく。その主人公と、彼女とかかわった人々の、哀歌というべき9つの物語。

Posted byブクログ

2015/07/07

短編集だが、母と娘がそれぞれの時代を駆け抜けていく連作集でもある。世知辛い世の中、親子の情の薄さ、女としての薄幸が北海道の底冷えのする寒さを背景に繰り広げられる。 登場人物の押し殺した感情が繊細な情景描写に浮かび上がり、熟練の技を感じさせる。

Posted byブクログ

2015/06/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

*奔放な実の母親とも、二度目の結婚でさずかった実の娘とも生き別れ、昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。その数奇な生と性、千春とかかわった人々の哀歓を、研ぎ澄まされた筆致で浮き彫りにする九つの物語* この人は本当に上手い。漂う哀しみも、静かな怒りも、密かな嫉妬も、どれもが心にそっと降り積もる。淡い幸福感で終わるラストも秀逸。

Posted byブクログ

2015/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

伊藤咲子さんの「乙女のワルツ」の書き出し。おぉーっと引き込まれる。短編集と思いきや千春の物語だった。 話すことは最低限。掴みかねる思ひ、哀しさが全体を覆うっている。

Posted byブクログ