ちーちゃんはちょっと足りない の商品レビュー
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スピリッツで連載している『月曜日の友達』の凄まじい才気の爆発ぶりに驚いて、とんでもない新人が現れたと思ったらけっこうベテランだった。この漫画は、知的障害の女の子が主人公で、非常に戸惑ったのだが読んでいくと友達のチエが心の闇の更に奥深くまで覗きこむような展開にびっくりした。表現の違う形で才気が爆発していた。最後のお互いに名前を何度も何度も呼び合って気持ちを通わせるところは、よくオレが運転していると子供が何度も何度も「パパ」と呼びかけて「はいよ、うーちゃん、なあに?」と返事するのを思い出して涙が出た。 友達のメガネの子やヤンキーの子みたいにまっすぐ生きられたらそれはいいし、チエみたいなのがリアルだけど、彼女らも見えないところで闇を抱えているかもしれない。そんなことを肌に触れるように感じさせるすごい漫画だった。 ちーちゃんがいなくなって、ナツが探し回ってうろうろするクライマックスの展開のクールなこと、かっこいい。これを通した編集者もすごい。
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【ネタバレあり】 女子中学生のゆるふわ日常漫画かと思いきや、とんでもない闇深漫画だった。 2015年このマンガがすごいオンナ編の1位ということですが、たしかにすごい。好きか嫌いかはさておき。私は嫌いじゃなかったです。ナツの抱える鬱屈や劣等感、周りに置いていかれているという焦燥感から、自分と同じ「足りてない」ちーちゃんに依存していく……私たちずっと友達だよね、って。自分も中二時分にだいぶ身に覚えのある感情だったから、ゴリゴリ神経抉られた。誰しもこういう感情は多かれ少なかれ持ってるんじゃないかなぁと思う。大人になった今でもきっと。 ナツの犯した罪に罰や許しは与えられず、罪悪感を抱えたままちーちゃんにさらに依存していくことで救いを求めるという、なんとも闇深エンドだ…。未来が狭いと嘆く中学二年生の少女が、このままずるずると闇に落ちて行かず、その感情をうまく飼いならせるようになればいいんだけどな。 はじめて読んだ漫画家さんだけど、繊細な背景の描写や丸っこくて可愛らしいキャラが突然ぐにゃっと歪んで荒々しいタッチにかわる、その狂気じみたギャップが、結局好きです。
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武富健治の『鈴木先生』にも別の形で描かれていたけど、問題児でも優等生でもなく「普通の子」の抱えるーただし描かれることがなかったー悩みや問題がここにはある。 『鈴木先生』では、とかく問題児というのは良かれ悪かれ目立ってそして特段面倒をみなければならない存在なのだけど、それで悩みを...
武富健治の『鈴木先生』にも別の形で描かれていたけど、問題児でも優等生でもなく「普通の子」の抱えるーただし描かれることがなかったー悩みや問題がここにはある。 『鈴木先生』では、とかく問題児というのは良かれ悪かれ目立ってそして特段面倒をみなければならない存在なのだけど、それで悩みを持っているのに先生に気付いてもらえなかったり気付いてもらえても手が回らずにいるなど割りを食うのは「普通の子」だと描かれていたけれど。 こちらの作品ではウサギとカメのような話をベースに更に追い討ちをかけるようなリアルさで心を蝕んでくる。名作ではあるけれど、後味が悪くてもう読みたくはないという気持ちがしてしまうけれど、またいつか読む日のために手元に置いておきたい一冊。
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都会ではない普通の町に暮らす、中学2年生のちょっと足りないちーちゃんと普通のなっちゃん、斜に構える旭ちゃん他クラスのみんな、お姉ちゃんたちの日常を描く。 前半は普通の毎日、そこから少し歪んで、それぞれに変化を生む。 不安感がヒリヒリきて、ちょっと怖い、それがこの作品の味かもしれない。
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皆何かが満ち足りていなくて、それをどうにかやり過ごして、あるいは消化できずに生きている。そこから変わろうとする者、変わりたくなくて周りを巻き込む者など三者三様。相変わらず人間の嫌らしい部分をエグイまでに表現する作家さんだなと思った。ナツ…怖いよ…。
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読む前と読後の感情がこんなに忙しい作品があるのだろうか。なんとも暗い気持ちになる。後味はとても悪い。足りないものを数えたらきりがないけど、数えてしまうのが人間だと言われているようなきがする。なにも考えないことが幸せとも限らないし。どちらがしあわせだろう。
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ちーちゃんとナツのちょっと足りなくて満たされない感じがよく出ていたなと思いました。説明するのは少し難しい内容だけどほっこり出来るしダウナーな所もあり面白い作品です。共依存の関係の二人がこの先も一緒に笑って楽しく過ごせるのか…二人は幸せになってほしいです
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いや、重い....... にしても「ちーちゃんはちょっと足りない」 なるほど、良く考えられたタイトルですね。 (ナツ目線のタイトルなのか俯瞰で見ている読者目線なのかはわかりませんが) 個人的にはメガネの子と不良っぽい子のエピソードにほっとさせられました。 あれがなかったら.....
いや、重い....... にしても「ちーちゃんはちょっと足りない」 なるほど、良く考えられたタイトルですね。 (ナツ目線のタイトルなのか俯瞰で見ている読者目線なのかはわかりませんが) 個人的にはメガネの子と不良っぽい子のエピソードにほっとさせられました。 あれがなかったら.... まぁ、そこもナツさんにとっては「負」の材料になってしまうところがこの作品の恐ろしいところですが。 読了後に山のようにあるネット上のレビューを読むのが楽しかった珍しい作品です。 色々な意見があるのはもっともだとしてもそのふり幅が大きいこと大きいことw 是非レビュー漁りをおすすめしたいと思います。
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※一部暴力表現の含まれる作品です。 【印象】 幼児的な中学生と同級生。 持たないことに思いつめがちな人へお薦めします。 【類別】 強いて言うなら日常、学園、青春、スリルでしょうか。 【脚本等】 強いコントラスト。 とにかく120頁までは読んでください。 【画等】 精緻な背...
※一部暴力表現の含まれる作品です。 【印象】 幼児的な中学生と同級生。 持たないことに思いつめがちな人へお薦めします。 【類別】 強いて言うなら日常、学園、青春、スリルでしょうか。 【脚本等】 強いコントラスト。 とにかく120頁までは読んでください。 【画等】 精緻な背景描写をやや強調しておくことが以後の絵画的演出へ大きく寄与しているように感じました。 【備考】 おそらく全1巻完結の作品です。
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この作者なので覚悟はしていましたが、やられました… 『私は何もしないただの静かなクズだ』まさに自分を表すのにピッタリの言葉を突きつけられました。 ここまで共感できる物語に出会ったのは初めてで、衝撃的でした。 そこには自分がいた。 「静かなクズ」まさにそれ。 自分から動こうとしな...
この作者なので覚悟はしていましたが、やられました… 『私は何もしないただの静かなクズだ』まさに自分を表すのにピッタリの言葉を突きつけられました。 ここまで共感できる物語に出会ったのは初めてで、衝撃的でした。 そこには自分がいた。 「静かなクズ」まさにそれ。 自分から動こうとしないから、現状に甘えているだけで、何も変われない。 長編でこのような話をされてしまうと、ダメージも特大だ。 (2014/12/27)
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