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ちーちゃんはちょっと足りない の商品レビュー

4.1

82件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2021/03/06

ほのぼのした日常、と思って油断して読み進めていくと、どんどん心がざわついて重たく鬱。 まさに阿部共実ワールド、独特の空気感で展開していく、何気わない日常の秀逸な描きっぷりが見事。 どこにでもあるような出来事が描かれているけれど、このモヤモヤする感じ、鬱屈した重たい感情とかうまくい...

ほのぼのした日常、と思って油断して読み進めていくと、どんどん心がざわついて重たく鬱。 まさに阿部共実ワールド、独特の空気感で展開していく、何気わない日常の秀逸な描きっぷりが見事。 どこにでもあるような出来事が描かれているけれど、このモヤモヤする感じ、鬱屈した重たい感情とかうまくいかない感じはじわじわくる。 ラストもちーちゃんとナツの笑って一緒に歩いている全てを表したコマで終わっているのが、どうしようもなく絶望的な感じがして胸がえぐられる。 この作者の作品は、ほんわかしているようで、精神的にじわじわとこたえる感じが病みつきになる。

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2021/02/28

子供脳ちーちゃんと友達の話 とにかくちーちゃんが幼いので友達にいじられまくりだけどカラッとしていて明るい日常が流れる でも…安倍共実さんの作品なので重~い場面が出てきます(^^;) そんなギャップが楽しめる作品

Posted byブクログ

2020/01/25

amazarashiの「月曜日」という歌がきっかけで阿部共実さんの「月曜日の友達」を知り、本作を読んだ。物語前半は日常描写で平穏な展開だが、物語の中盤にちーちゃんが起こしたある出来事から状況が一変。読み進めていくのが辛く感じる場面も。読み終えたとき、「ちょっと足らない」のはちーち...

amazarashiの「月曜日」という歌がきっかけで阿部共実さんの「月曜日の友達」を知り、本作を読んだ。物語前半は日常描写で平穏な展開だが、物語の中盤にちーちゃんが起こしたある出来事から状況が一変。読み進めていくのが辛く感じる場面も。読み終えたとき、「ちょっと足らない」のはちーちゃんなのかと考えてしまった。思春期の心のひだの描写がホントに見事。いろいろと自分のことも思い返してしまった。

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2019/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・「ちょっと足りない」の意味が変容していく ・オツムが「足りない」アホの子ちーちゃんの、ホンワカ萌え漫画のごとく始まる ・パッと見、表紙絵もそのホンワカ印象を助長している(よく見ると描かれているのは、100点・ゲーム機・お金・・・) ・しかし「足りない」のは、私だけが恵まれていない、私は人より劣っている、というような欠乏感を指すようになっていく ・ナツはちーちゃんより「もっと」足りない。ちーちゃん「は」ちょっと足りない、これはナツと対比してのこと ・ちなみにナツは携帯を持っていて、ちーちゃんは持っていなかったりする ・ちーちゃんってアホの子キャラに対するアンチテーゼになってる? ガチでアホな子は、人の金を盗むくらい倫理観がない可能性があるよ、そんないいもんじゃないよ、っていう ・ストーリー後のナツの学校生活を考えるに、絶望しかない ・私はあまりナツに共感できなかったが、それでもこの漫画には心を抉られる思いがした。「ナツの気持ちがわかる」と言っていた友人は、読んだ後2、3日立ち直れなかったと話していた

Posted byブクログ

2019/06/02

阿部共実さんの作品は「月曜日の友達」を過去に読んだっきり。 この『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んでみたが、確かにすごいね… 特に後半は… 阿部共実さんの他の作品もいずれ読んでみたいな。

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2019/03/19

ちょっと足りない天真爛漫な少女ちーちゃんと友達のナツ。ほんわかコメディかと思っていたら、中盤からものすごい展開になって、胸が締めつけられた。これはすごい!

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2018/02/27

誰かの「一番」になれない不安はいつまでも付き纏う。ちーちゃんとナツは同じ団地に住む幼馴染、優等生の旭とは中学からの連れ友。ちーちゃんのぶっ飛びキャラは読めば解るとして、ちーとずっと一緒のいるナツは、ちょっと足りないお騒がせ問題児なちーちゃんの事を心のどこかで蔑んでみている。旭は独...

誰かの「一番」になれない不安はいつまでも付き纏う。ちーちゃんとナツは同じ団地に住む幼馴染、優等生の旭とは中学からの連れ友。ちーちゃんのぶっ飛びキャラは読めば解るとして、ちーとずっと一緒のいるナツは、ちょっと足りないお騒がせ問題児なちーちゃんの事を心のどこかで蔑んでみている。旭は独立独歩で自分をしっかり持っていて、どんな相手にも自己主張が出来る。ちーちゃんは独特のキャラで、クラスのどんな相手にも「ちーちゃん」と言う存在として認められており、あちこちに窓口を持っている。ナツだけが、ちーちゃんを通してしか外界と繋がれない。それに気付いてしまって、学校に行きたくなくなったり、旭とは別世界の住人なんだと世を拗ねてみたり、消えてしまいたくなったりする。他者を通して否応なく突きつけられる自分と言うちっぽけな存在。表題は「ちーちゃん」なんだが、この作品の本質は大した特徴もない自分に気付いてしまうナツの物語。

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2017/10/05

奇才、阿部共実さん。 氏の作品の特徴の1つである、人間が秘めた心の闇、黒さに特化した作品。 最初は頭が足りないどころか、頭が弱すぎるちーちゃんを中心とした おバカな青春物だとおもったけど、 空が灰色だからの鬱回のみを煮詰めたような話にどんどん移行して 最終的には胸糞悪い終わり方で...

奇才、阿部共実さん。 氏の作品の特徴の1つである、人間が秘めた心の闇、黒さに特化した作品。 最初は頭が足りないどころか、頭が弱すぎるちーちゃんを中心とした おバカな青春物だとおもったけど、 空が灰色だからの鬱回のみを煮詰めたような話にどんどん移行して 最終的には胸糞悪い終わり方で〆るのが、良くも悪くも素晴らしくないね。 全ては裏表紙で笑ってる青い糞リボン、糞リボンが悪い。 胸糞悪いけど、胸糞悪いなりに名作なのが悔しいな。 名作だけど二度と読み返したくないね、心が痛むから。 1巻で終わりだけど、続きが凄く気になるなあ。 ちーちゃんはまっとうに成長して、生きて行けるのだろうか? どこかで誰かが糞リボンから解放してあげないと、人生悲惨だぞ・・・

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2017/09/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

怖かった…ちーちゃんがお金をナツに渡すあのコマがずっとトラウマみたいに忘れられない。ラストは理解がやや追いついていないけど完璧に理解しない方がきっとわたしにとってはいいのかな、と思ったり。

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2017/08/24

主人公はクズだ。 語弊を恐れず断言するが、思春期の自意識と不公平感ばかりが肥大した実にリアルで、自分の黒歴史を蒸し返されてあちこち痒くなるようなタイプのどこにでもいるクズ。何故なら主人公のナツは自嘲と自虐はしても自省と自戒は絶対しない。自分の言動を反省し周囲に申し訳ないと装うモノ...

主人公はクズだ。 語弊を恐れず断言するが、思春期の自意識と不公平感ばかりが肥大した実にリアルで、自分の黒歴史を蒸し返されてあちこち痒くなるようなタイプのどこにでもいるクズ。何故なら主人公のナツは自嘲と自虐はしても自省と自戒は絶対しない。自分の言動を反省し周囲に申し訳ないと装うモノローグも、結局の所ケチな自尊心を守るためのフリでしかないというのが後の描写で浮き彫りになる。 同じ団地に住む幼馴染のナツとちーちゃん。中3になっても割り算もまともにできないおバカなちーちゃんを内心見下し、もっと上のランクの友達が欲しいと望んでいたナツ。 その「何かが足りない」「本当は自分はもっと高い所へいけるはずだ」という不満が過剰なまでの饒舌さで語られる。ナツのモノローグは自嘲と自虐、現状への不満で埋め尽くされ、致命的に周囲への想像力を欠いている。 あとほんの少し想像力を働かせて、近しい友人や家族への思いやりを持てば変われるのに、現状を蔑ろにし楽な方へ易き方へ無難に流されてばかりのナツは決してそれをしないのだ。 彼女にも同情すべき点はある。が、それをさしひいても擁護はできない。彼女は恐らく旭ちゃんが離れていった本当の理由も見えず、ちーちゃんを独占してひと時の安息を得るはずだ。 そしてそこそこの高校へ進み、中学の時と同じ失敗はしないと無理して背伸びし、新しい友人を優先しちーちゃんを蔑ろにする。そんなナツでもちーちゃんは赦すのだろう、多分。何度裏切られても繰り返し笑って迎えるのだろう。友達だから。大好きだから。そんなしょうもないナツの友達……もとい無条件の逃避先でいてあげられるのは「ちょっと足りない」ちーちゃんしかいないから。 足りないもの同士が足りないものを補い合おうとする行為を人が共依存とよぶのだとしても。 しかしナツにはちーちゃんしかいないが、ちーちゃんにはナツしかいない訳じゃない。 おねえや旭はじめよき理解者に恵まれているちーちゃんが、あえてナツの友達でい続けてくれている理由に、ナツ自身が向き合う日はくるのだろうか。

Posted byブクログ