ちーちゃんはちょっと足りない の商品レビュー
ちょっと足りないの意味が読んだ後変わる作品。 前半はゆるーい日常系。 後半は心を抉られる日常系になる。 ナツというキャラクターに感情移入できるかで作品の評価は大きく変わると思う。 周囲と自分を比較して、自分の心の醜さを見つめ続けて、そんな自分と周りの人たちは合わないと思って...
ちょっと足りないの意味が読んだ後変わる作品。 前半はゆるーい日常系。 後半は心を抉られる日常系になる。 ナツというキャラクターに感情移入できるかで作品の評価は大きく変わると思う。 周囲と自分を比較して、自分の心の醜さを見つめ続けて、そんな自分と周りの人たちは合わないと思ってしまう。 他のキャラクターたちがキラキラしている分、ナツの心のどろどろや、痛みが鮮やかに描かれる。 心理描写もさることながら、ストーリー展開が上手い。 うわっ、この気持ちわかる…と思った自分がいた。 読み手のこれまでの幸福度や不安も抉り出す見事な作品。
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緩やかに、ナチュラルに人間として堕落・崩壊する様子の描写が秀逸。鬱だと感じる間もなく堕ちているため、読後になって初めて後味が良くない感じが押し寄せた。だが、個人的には胸糞悪いと感じず、人間的でリアルで良い作品だと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
月曜日の友達が最高だったので、他の阿部共実作品も読んでみようと思って読んだ。 月曜日の友達もこの作品も友情の話だ。しかしこの作品における友情(ナツからちーちゃんに向けられる友情)は限りなく依存に近い。 この話の主人公はちーちゃんではなくナツだと思う。 ナツはちーちゃんのお世話を焼き、周囲にほめられることで自分の存在を確認する。 少しでも自分をみくびった人間は、たとえ長期間の交際があっても、あっさり切り捨てる。 臆病で自己主張が苦手、しかし誰よりも強い承認欲求を内心秘めていて、その欲望が、リボンを買ったら綺麗だねとみんなに褒められるのではないか、というどんどん歪んだ方向へ捻じ曲げられていく。 しかし傍からみれば、ナツは落ち着いていて優しい性格の持ち主だ。 正直ナツが自分に、ある側面で死ぬほど似通っているので、読んでいる間、ああナツはどのような破滅を迎えるのだろうと溜息をつきながら読んだ。そしたらあの結末である。正直、予想していたどの展開よりもキツかった。 ナツはどうやったら救われたのだろう。
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ほのぼのした日常、と思って油断して読み進めていくと、どんどん心がざわついて重たく鬱。 まさに阿部共実ワールド、独特の空気感で展開していく、何気わない日常の秀逸な描きっぷりが見事。 どこにでもあるような出来事が描かれているけれど、このモヤモヤする感じ、鬱屈した重たい感情とかうまくい...
ほのぼのした日常、と思って油断して読み進めていくと、どんどん心がざわついて重たく鬱。 まさに阿部共実ワールド、独特の空気感で展開していく、何気わない日常の秀逸な描きっぷりが見事。 どこにでもあるような出来事が描かれているけれど、このモヤモヤする感じ、鬱屈した重たい感情とかうまくいかない感じはじわじわくる。 ラストもちーちゃんとナツの笑って一緒に歩いている全てを表したコマで終わっているのが、どうしようもなく絶望的な感じがして胸がえぐられる。 この作者の作品は、ほんわかしているようで、精神的にじわじわとこたえる感じが病みつきになる。
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子供脳ちーちゃんと友達の話 とにかくちーちゃんが幼いので友達にいじられまくりだけどカラッとしていて明るい日常が流れる でも…安倍共実さんの作品なので重~い場面が出てきます(^^;) そんなギャップが楽しめる作品
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amazarashiの「月曜日」という歌がきっかけで阿部共実さんの「月曜日の友達」を知り、本作を読んだ。物語前半は日常描写で平穏な展開だが、物語の中盤にちーちゃんが起こしたある出来事から状況が一変。読み進めていくのが辛く感じる場面も。読み終えたとき、「ちょっと足らない」のはちーち...
amazarashiの「月曜日」という歌がきっかけで阿部共実さんの「月曜日の友達」を知り、本作を読んだ。物語前半は日常描写で平穏な展開だが、物語の中盤にちーちゃんが起こしたある出来事から状況が一変。読み進めていくのが辛く感じる場面も。読み終えたとき、「ちょっと足らない」のはちーちゃんなのかと考えてしまった。思春期の心のひだの描写がホントに見事。いろいろと自分のことも思い返してしまった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・「ちょっと足りない」の意味が変容していく ・オツムが「足りない」アホの子ちーちゃんの、ホンワカ萌え漫画のごとく始まる ・パッと見、表紙絵もそのホンワカ印象を助長している(よく見ると描かれているのは、100点・ゲーム機・お金・・・) ・しかし「足りない」のは、私だけが恵まれていない、私は人より劣っている、というような欠乏感を指すようになっていく ・ナツはちーちゃんより「もっと」足りない。ちーちゃん「は」ちょっと足りない、これはナツと対比してのこと ・ちなみにナツは携帯を持っていて、ちーちゃんは持っていなかったりする ・ちーちゃんってアホの子キャラに対するアンチテーゼになってる? ガチでアホな子は、人の金を盗むくらい倫理観がない可能性があるよ、そんないいもんじゃないよ、っていう ・ストーリー後のナツの学校生活を考えるに、絶望しかない ・私はあまりナツに共感できなかったが、それでもこの漫画には心を抉られる思いがした。「ナツの気持ちがわかる」と言っていた友人は、読んだ後2、3日立ち直れなかったと話していた
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阿部共実さんの作品は「月曜日の友達」を過去に読んだっきり。 この『ちーちゃんはちょっと足りない』を読んでみたが、確かにすごいね… 特に後半は… 阿部共実さんの他の作品もいずれ読んでみたいな。
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ちょっと足りない天真爛漫な少女ちーちゃんと友達のナツ。ほんわかコメディかと思っていたら、中盤からものすごい展開になって、胸が締めつけられた。これはすごい!
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誰かの「一番」になれない不安はいつまでも付き纏う。ちーちゃんとナツは同じ団地に住む幼馴染、優等生の旭とは中学からの連れ友。ちーちゃんのぶっ飛びキャラは読めば解るとして、ちーとずっと一緒のいるナツは、ちょっと足りないお騒がせ問題児なちーちゃんの事を心のどこかで蔑んでみている。旭は独...
誰かの「一番」になれない不安はいつまでも付き纏う。ちーちゃんとナツは同じ団地に住む幼馴染、優等生の旭とは中学からの連れ友。ちーちゃんのぶっ飛びキャラは読めば解るとして、ちーとずっと一緒のいるナツは、ちょっと足りないお騒がせ問題児なちーちゃんの事を心のどこかで蔑んでみている。旭は独立独歩で自分をしっかり持っていて、どんな相手にも自己主張が出来る。ちーちゃんは独特のキャラで、クラスのどんな相手にも「ちーちゃん」と言う存在として認められており、あちこちに窓口を持っている。ナツだけが、ちーちゃんを通してしか外界と繋がれない。それに気付いてしまって、学校に行きたくなくなったり、旭とは別世界の住人なんだと世を拗ねてみたり、消えてしまいたくなったりする。他者を通して否応なく突きつけられる自分と言うちっぽけな存在。表題は「ちーちゃん」なんだが、この作品の本質は大した特徴もない自分に気付いてしまうナツの物語。
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