太陽の棘 の商品レビュー
読んでる途中で、無粋とは思いながら、ニシムイ芸術村について、検索をしてしまいました。史実とフィクションの部分の融合具合が絶妙。 ニシムイの画家たちがしばしば、ゴッホやゴーギャンに対比されて描かれるように、オキナワの、タヒチのような「楽園」の日差し、空気が鮮烈。 一方で、占領下の沖...
読んでる途中で、無粋とは思いながら、ニシムイ芸術村について、検索をしてしまいました。史実とフィクションの部分の融合具合が絶妙。 ニシムイの画家たちがしばしば、ゴッホやゴーギャンに対比されて描かれるように、オキナワの、タヒチのような「楽園」の日差し、空気が鮮烈。 一方で、占領下の沖縄の叙述は生々しくも厳しく、今現在に至っても続く沖縄の置かれる立場、特殊性が、きっちり描かれているのも、見逃せないところ。
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生きるために、つなぎ止めるために、同じものをただ信じるために、言葉だけではなく、アートに込められたメッセージは偽らざる想いに溢れる。アーティストもオーディエンスも同じくひと。わかりあえないはずはない。一度わかり合えば、決して壊れるものはない。
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絵画ものには必ずチェックしていますが、さすがに今回も一気読みさせる面白さでした。最後の謝辞で実話に基づくと気付き納得のリアリティーでした。風のムジナと同じ手法ですね。
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胸が苦しくて苦しくてたまりませんでした。 終戦後の沖縄。絵を描く人の魂。絵を愛する人。 絵画にまつわる小説のときのマハさんは、その1行が1行かみずみずしくて、読んでいる私も1行1行を大切に大切に読まずにはいられなくなる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
太平洋戦争で地上戦が行われ、荒土と化した沖縄。首里城の北に存在した「ニシムイ美術村」そこでは、のちに沖縄画壇を代表することになる画家たちが、肖像画や風景画などを売って生計を立てながら、同時に独自の創作活動をしていた。史実をもとに描かれた物語。 泣けて泣けて。なにかわからないけど、強さに、力強さに。人間の愚かさと、“生”と“芸”への執着に。 勝つ側と負けた側との見えない壁はあるけど、それを乗り越えようとする人たち。出来すぎとは思うけど、それでもそれが残った、残された、残そうとしたことが凄い。 絵画を題材にした原田マハの作品はやはり好きだ。
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戦争直後の沖縄での、アメリカの精神科医とニシムイの画家たちとの交流、痛みを伴う別れが描かれている。非常に印象的な表紙と、最後に載せている謝辞とを含んで物語が完成されていると思った。
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自称マハリストのベストは「翼をください」だったのだがどうやら順位を入れ替えなければならないようだ。 彼女の甘いラブストーリーも悪くはないのだがやはり真価を発揮するのは入念な取材をもとに創り上げた作品、なかでも美術を取り上げたらこの人の右に出る作家はいないのだろう。今回も史実をベー...
自称マハリストのベストは「翼をください」だったのだがどうやら順位を入れ替えなければならないようだ。 彼女の甘いラブストーリーも悪くはないのだがやはり真価を発揮するのは入念な取材をもとに創り上げた作品、なかでも美術を取り上げたらこの人の右に出る作家はいないのだろう。今回も史実をベースに素敵なストーリーを提供してくれた。 あの悲惨な沖縄戦の勝者と敗者、占領者と被占領者…言葉も通じない人と人が美術という共通の言語で繋がり育まれる友情の物語は素晴らしくまさに棘のように心に突き刺さる。 マハさんには是非ともこんな小説を書き続け欲しいと思う
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終戦直後の沖縄で、軍配属の新人精神科医と、焦土で絵に生きる希望を託した若き芸術家たちの、魂の交わり。国籍、民族、宗教、どれも壁なんかじゃない。今のこの世の中だからこそ、人と人とが本当に大切なものだけを頼りに向かい合うこの話がずしりと心に響く。 とは言え、「良くできた話だなあ」と読...
終戦直後の沖縄で、軍配属の新人精神科医と、焦土で絵に生きる希望を託した若き芸術家たちの、魂の交わり。国籍、民族、宗教、どれも壁なんかじゃない。今のこの世の中だからこそ、人と人とが本当に大切なものだけを頼りに向かい合うこの話がずしりと心に響く。 とは言え、「良くできた話だなあ」と読後ファンタジーを読んだような心持ちだったところに、ずらりと記された巻末の参考文献、さらには著者による「謝辞」に愕然!なんとこれ、ほぼ実話に基づいていたとは…! 人と人は憎しみ合うためじゃない、お互いを敬い合うために出会うのだと思い出させてくれた。
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いい話しだった。読みやすく分かりやすい。そして、 作者風の感動も用意されている。絵画を絡めた作風を原田マハは一つのジャンルにした。
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終戦後の沖縄に駐留した医師たちと、地元沖縄の画家たちの絵画を介した交流。当時の日米関係と、地上戦の行われた沖縄という地を考えると、こんなに信頼関係のある交流が果たしてできたのだろうかと違和感を感じるほどに双方の豊かな人間味が描かれるが、実話に基づいていると知って驚き。 当時の、お...
終戦後の沖縄に駐留した医師たちと、地元沖縄の画家たちの絵画を介した交流。当時の日米関係と、地上戦の行われた沖縄という地を考えると、こんなに信頼関係のある交流が果たしてできたのだろうかと違和感を感じるほどに双方の豊かな人間味が描かれるが、実話に基づいていると知って驚き。 当時の、おそらく対等ではないアメリカ人と日本人の間で、こんなに美しい友情がはぐくまれました、というのがフィクションだとすればちょっと美しくしすぎた感があり、まさにそれも実話なのであれば、アートの力ははるかに想像を凌いでいると考えざるを得ない。
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