悪の出世学 の商品レビュー
大出世を果たしたヒトラー、スターリン、毛沢東の3人を取り上げて、それぞれが如何に歴史に名を残すトップにまで上り詰めたかを記している。タイトル「悪の出世学」とある様に、我々の知る3人が歴史に名を刻む要因となった行いは、政治家としての素晴らしい実績よりも、大粛清や虐殺、失政などが目立...
大出世を果たしたヒトラー、スターリン、毛沢東の3人を取り上げて、それぞれが如何に歴史に名を残すトップにまで上り詰めたかを記している。タイトル「悪の出世学」とある様に、我々の知る3人が歴史に名を刻む要因となった行いは、政治家としての素晴らしい実績よりも、大粛清や虐殺、失政などが目立つ。勿論、トップになるその過程では、国民の多くの支持を受けていたことも事実ではあるが、普通のやり方とは大きく異なるその手法、3人が上り詰めるまでの道のりをわかりやすく解説している。 共通しているのはライバルを蹴落とすのも徹底的であるという事だ。自分がトップになるには、国民や同僚から人気のある別の人物は邪魔になる。普通の人の考えなら、そこと手を組んで一緒に世の中を良くしていけば良いと考えるであろうが、3人は違う。謀略をめぐらし出る杭は打たんとばかりに、次々と閑職に追いやったり、無い罪を着せて処刑したりとやりたい放題である。ロシア、ドイツ、中国と何れも大国であるから、ライバル争いも熾烈であるには違いないが、血も涙もないようなやり方は呆れるのを通り越して、見事に感じてしまう。特に「敵の敵は味方」として、それまでの対立を捨てて、無節操に手を組むあたりは、何れの人物にも共通するやり方だ。加えて3名とも中途半端な地位や役職は求めず、始めからトップの位置しか狙っていない。トップ以外には目をくれず、他の権力に丸め込まれる様なこともない。自分が最終的に最大権力を手にすれば、あとはどうにでもなるから、最大権力以外は必要ないと言わんばかりである。 そうした手法がエピソードと共に大量に紹介されているので、大きな企業で社長を目指すなら、少しくらいは同感できる点もあるかもしれない。相手の弱みに付け入る、あらゆる手段を駆使して情報収集する、好かれずとも嫌われない程度の位置を固持する、じっと我慢して機が来た時には美味しいところを全て持っていく、当たり前のことでも大々的にアピールする、人の心を動かすスピーチ力。悪い面ばかりでなく、リーダーとして持っておくと役立つスキルも多く紹介されている。今の自分はトップに取って代わる気概もなければ、なるべく人とうまくやりつつ、社にとって大きな成果を挙げることで登っていきたいと思う。だが残り時間も少なくなると、時間的な危機感も後押しして、本書の様な手法を少し使ってみたくなる様な誘惑もある(実際にはやらない、やれないだろうが)。 ビジネスパーソン全てがこの手法を用いて成功するとは思えないものの、日本の大企業の中にも似た様な手法を用いてトップに上り詰めた人もいるだろう。何を選択してどの様に出世していくかはそれぞれの自由ではあるが、一つのやり方、もしくは反面教師的に学んでおくと、何かの役に立つかもしれない。
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歴史上最も人を殺したと言われるヒトラー、スターリン、毛沢東のそれぞれの出世方法を分析解説したものであり、やはり普通は真似たくてもできないのであろうが、他に考察すべきは、そういった圧倒的な権力者が現れた時に、その者から逃れるよりも、人はその者を恐れ、命令に従ってしまうのであろう。...
歴史上最も人を殺したと言われるヒトラー、スターリン、毛沢東のそれぞれの出世方法を分析解説したものであり、やはり普通は真似たくてもできないのであろうが、他に考察すべきは、そういった圧倒的な権力者が現れた時に、その者から逃れるよりも、人はその者を恐れ、命令に従ってしまうのであろう。その命令が人を殺すことであっても。それは命令に従わなければ、自身の命の危険があるからというよりも、まるでマインドコントロールされたみたいに正常な考えができなくなるのであろう。 いまだプーチンや習近平など絶対的権力者が国を牛耳っており、ロシアはウクライナへ侵攻し、台湾情勢も安定性を見せない今日において、この三人については、もっと研究すべきではなかろうかと思われた。
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いわずとしれた近代史に残る世界三大権力者の、組織内をのしあがっていく彼ら独特の出世学、まあ要するにこの場合自分に反旗を掲げるものを次々と粛正していくだけ、という身も蓋もない事なのだけれど、組織のトップになる道筋について非常に独特でユニークな考え方を持つこの三人の人生を考察するこ...
いわずとしれた近代史に残る世界三大権力者の、組織内をのしあがっていく彼ら独特の出世学、まあ要するにこの場合自分に反旗を掲げるものを次々と粛正していくだけ、という身も蓋もない事なのだけれど、組織のトップになる道筋について非常に独特でユニークな考え方を持つこの三人の人生を考察することで色々学ぶこともあるだろう、という書。 そういう意味においては実に面白かった。決して褒められた行いをした三人ではないが、というかむしろ虐殺した規模においては人類史上最悪の部類に入る悪党だと言えるけれど、人類の歴史というのは極言すれば侵略の歴史であり、それに伴う大量殺戮の歴史であることを考えると、彼らもまた人類の負の歴史の1ページであるに過ぎないともいえる。長い長い歴史上のちょっとしたハイライトというくらいで。 その彼らが、ある組織内から始まって最終的には国家レベルにおいて一時期であれ決して少なくない人々の支持を得、それが半ば強制的と言えどもある程度の期間維持されていた、というのはすごく興味深い問題だとも思える。もちろんこうして客観的な歴史的を省みる立場で見てみれば、という事だけれども。
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ピラミッド構造の中で覇権を争うということはどういう事か、時代は違えど共通する考えの根底はあるかも知れない。
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かなり面白かった! それぞれが虐殺や粛清など大量殺人をしていて 容赦ない悪人ぷりは言うまでもないんだけど、 その背景にある弱気、思想の浅さが面白かった。 極限までいったから結果としては殺人だけど、 方向性は普通というか、、部下を懲らしめるとか。 あと狡賢さ。 狡賢さはイコール...
かなり面白かった! それぞれが虐殺や粛清など大量殺人をしていて 容赦ない悪人ぷりは言うまでもないんだけど、 その背景にある弱気、思想の浅さが面白かった。 極限までいったから結果としては殺人だけど、 方向性は普通というか、、部下を懲らしめるとか。 あと狡賢さ。 狡賢さはイコール人の面白さとも言える
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成り上がる過程からその末路までヒトラーは有名だけど戦勝国の指導者スターリンや毛沢東は悪行の割にやったことの批判が大きくないのでそのへんは勉強になったかな。
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帯の「凡人がいちばん怖い」という言葉が全てを収斂しているなと、一読して感じました。 ヒトラー、スターリン、毛沢東の3名は、結局のところ、自身に正直に行動したというか、理性より感情が勝ったのかなと。 中間管理職とトップマネジメントの違いの様に、トップに立つと、時として目標達成のため...
帯の「凡人がいちばん怖い」という言葉が全てを収斂しているなと、一読して感じました。 ヒトラー、スターリン、毛沢東の3名は、結局のところ、自身に正直に行動したというか、理性より感情が勝ったのかなと。 中間管理職とトップマネジメントの違いの様に、トップに立つと、時として目標達成のためには、我を通す必要性もあるかと思いますが。 この行き過ぎた”我”が”単なるワガママ”に、”公”から”私”に移行してしまったのが、この3名なのでしょうか。 しかし自分の様な凡人にも、こんなダイナミックな人生機会があるかもしれないと思って読むと、相当面白く読むことができます。 最終ページに明記している3名の出世術の要約版は、必見です。
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世界中の誰に尋ねても知っているであろう、3人の指導者。 彼らは今でも人心を良くも悪くも引き付け、そこかしこに現れる。 彼らも、いいところはあった、そういう人もいるだろう。 それは否定しない。 人の評価というものはその時々で大きく変わるからだ。 ただ、なぜ彼らが悪とされるか。 それ...
世界中の誰に尋ねても知っているであろう、3人の指導者。 彼らは今でも人心を良くも悪くも引き付け、そこかしこに現れる。 彼らも、いいところはあった、そういう人もいるだろう。 それは否定しない。 人の評価というものはその時々で大きく変わるからだ。 ただ、なぜ彼らが悪とされるか。 それは彼らが、多くの人々を直接的、間接的に死に追いやったからだ。 このことはどんなに言い訳しようとも、なくそうとしても事実なのである。 それを踏まえた上で、彼らがどのように上り詰めていったか、出世の「極意」がここにある。 まずはスターリン。 鋼鉄の人、と自ら名乗った。 彼は人の弱みを握り利用し、そして誰も信じないことで登って行った。 これはすごい。 一体何が彼をここまで歪めたのか私には全くわからないが、ためになりそうなものも中にはある。 情報は自分が管理する、面倒な実務こそ引き受ける。 地味な作業だが、確かにこれをやると、組織は自分がいなければ動かなくなる。 さすがに現代社会においてそれは難しいだろう、と思ったが、いやいや、危機管理が万全な大企業ならともかく、そうでない企業ならこれは十分通じるに違いない。 情報を把握するという意味では先見の明があった。 次にヒトラー。 手におえない分野は無理をせず適任者に任せる、勝てる相手としか戦わない。 逃げるが勝ち、なわけだ。 非常に臆病な人物だったように思う。 臆病だからこそ、外堀から埋めていく戦法が性に合っていたに違いない。 そして何よりスピーチがうまかった。 これが彼を作る上で重要なキーワードだ。 最後に毛沢東。 耳に心地よいキャッチフレーズを使う、具体的な失敗を批判されたら抽象論でごまかす。 あれ????これは最近の話だろうか?? 一つの目標に向けて人々を煽り、盛り立てる手腕は実に見事。 キャッチフレーズは知らず知らず人心に入り込む。 さて、彼らの出世術で使えるものはいくらでもある。 ひどいな、おかしいなと思っても、その最中に人は気付かない。 言葉が上手というのは大衆を動かすには必須。 コミュニケーションが大事、というと綺麗に聞こえるが裏を返せばこういうことだ。 それを善の武器として使うか、悪の武器として使うかの違いだけで。 彼らのようになれというのではない。 彼らがなぜ強大な権力を持ち得たのか、それを知ることで、自分は何ができるかを考えるきっかけになるし、指導していく立場として何が恐ろしいかも学べる。 ひどいよね、悪いよね、だけではなく、そこから何を感じ取り良き方向に持っていけるか、それがもしかしたら、彼らの一番の功績であるかもしれない。
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面白かった・・・のだが、スターリン、ヒトラー、毛沢東、この3人については、それぞれ1人1人にこのテーマで本があってしかるべきだと思うので、それを無理矢理1冊の本にぎゅっと詰め込んでいる感は否めない。 また、1人書き切ってから次の人・・・という順番ではなく、ざっくり言うと頭角を現す...
面白かった・・・のだが、スターリン、ヒトラー、毛沢東、この3人については、それぞれ1人1人にこのテーマで本があってしかるべきだと思うので、それを無理矢理1冊の本にぎゅっと詰め込んでいる感は否めない。 また、1人書き切ってから次の人・・・という順番ではなく、ざっくり言うと頭角を現すまで、権力を握るまで、その後の3部に分けて、それぞれの部で3人を並べて書いているため、流れがいったん断ち切られてしまい、確認のため前に戻って読み直すことも何回かあった。3人のそれぞれのライバルの名前もたくさん出てきて、どのライバルがどんなタイミングで現れたのかなど、この書き方ではわからなくなってしまう。 ということで、せっかくのいい内容が、ページ数と構成の問題で、魅力が損なわれてしまっている印象を受けた。なので☆は3つ。巻末に掲載されている参考文献にじっくり当たって、本書の肉付けをしていきたいと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヒトラー、スターリン、毛沢東を取り上げた本 毛沢東はかなり少なめ、メインはスターリンかな… スターリンについてあまり知識がなかったので 興味深く読めました。筆名であることすら知らなかった。。 ソ連、ナチス、中国、どの組織も派閥を上手く扱うこと 自分の売り出し(宣伝)がとても重要、現代も変わらないですね
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