五色の舟 の商品レビュー
文化庁メディア芸術祭で展示されているものを読み、大きな衝撃を受けた。漫画を読んで、最近ここまで深く心を揺さぶられたことはない。残酷でグロテスク、それでいて優しく甘美。描き込みの少ないあっさりとした絵柄と濃厚すぎる内容との落差が、逆にイマジネーションを刺激する。「優しさに満ちた『少...
文化庁メディア芸術祭で展示されているものを読み、大きな衝撃を受けた。漫画を読んで、最近ここまで深く心を揺さぶられたことはない。残酷でグロテスク、それでいて優しく甘美。描き込みの少ないあっさりとした絵柄と濃厚すぎる内容との落差が、逆にイマジネーションを刺激する。「優しさに満ちた『少女椿』」のような前半だけでも十分に良いのだが、幻想譚としての色彩が強くなる後半はさらに圧巻。読者自身がどこに「心の置きどころ」を見いだせばいいのか分からぬまま取り残されるようなラストは、これまでに読んだり見たりした幻想作品の中でも屈指のものだ。原作は短編小説らしいが、もはや小説だの漫画などというジャンルを超越した一大芸術。本当に恐るべき作品だ。
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なぜ異形のものに惹きつけられてしまうのだろう。目を背けつつ凝視してしまう。憐れみながら嫌悪し、好奇の目を向ける己の醜悪さにいたたまれない気持ちになる。 異形の家族の話。彼らは自身の欠損を生活の糧に替え、戦中の貧しさのなか、したたかに逞しく生きています。しかし残酷な未来を知り、く...
なぜ異形のものに惹きつけられてしまうのだろう。目を背けつつ凝視してしまう。憐れみながら嫌悪し、好奇の目を向ける己の醜悪さにいたたまれない気持ちになる。 異形の家族の話。彼らは自身の欠損を生活の糧に替え、戦中の貧しさのなか、したたかに逞しく生きています。しかし残酷な未来を知り、くだんに導かれ別世界へと旅立つことになる。体の欠損が補わられ、皆が幸せになる世界…。 でもこの幸せがもの哀しく感じられるのです。それは何故なのか?グロテスクなのに美しい物語です。
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近藤ようこさんの漫画はいつも幻想的で、線も綺麗で昔から大好きだった。久々にこの人の漫画を読んだ。ノスタルジックな風景に引き込まれ異形な人達が1つの家族として生きていく姿。実際に昔は見世物小屋とかあったみたいだし、私の子供の頃もそんな話を聞いた事があり、自分の中のノスタルジアに触れ...
近藤ようこさんの漫画はいつも幻想的で、線も綺麗で昔から大好きだった。久々にこの人の漫画を読んだ。ノスタルジックな風景に引き込まれ異形な人達が1つの家族として生きていく姿。実際に昔は見世物小屋とかあったみたいだし、私の子供の頃もそんな話を聞いた事があり、自分の中のノスタルジアに触れ、何処か読んでいて懐かしさを感じた。くだんの話は、聞いたら死ぬって言われる怪談で聞いた事がある。漫画の中の、くだんは優しい目をしていた。何もかも知り尽くした人の目は諦めの目になるのかも。
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せつなくて不思議でグロテスクで懐かしくて、得られた世間的な幸せや日常の平穏の向こう側にある舟に涙した。
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奇形を抱えた5人の男女が片寄せあって生きる見世物小屋の物語。こういう尖った漫画を載せるコミックビームが好き。
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分かっていたことだけどかなしかった… たぶん原作を読んだことがあって、でもわたしの拙い想像力とは違う味わいがある 近藤さんの漫画は初めて読みましたが、なんだかふしぎでした。 もっとグロテスクでもいい話で、だけどわりとさっぱりした感じがあって、 和郎くんもさっぱりしていて、それに...
分かっていたことだけどかなしかった… たぶん原作を読んだことがあって、でもわたしの拙い想像力とは違う味わいがある 近藤さんの漫画は初めて読みましたが、なんだかふしぎでした。 もっとグロテスクでもいい話で、だけどわりとさっぱりした感じがあって、 和郎くんもさっぱりしていて、それによって一層 ふわっ としたかなしみがあるような… それで原作とはやっぱり読後感は少し違うんだけど、それでも読書に近い手応えの漫画でした。
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平成26年度第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作品。 近藤ようこが、津原泰水の短編を下敷きにマンガ化した作品。美しく哀しい幻想譚として見事に結晶化されている。鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』を思い出してしまったのは、異形の旅芸人が登場する、幻想的な作品で...
平成26年度第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作品。 近藤ようこが、津原泰水の短編を下敷きにマンガ化した作品。美しく哀しい幻想譚として見事に結晶化されている。鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』を思い出してしまったのは、異形の旅芸人が登場する、幻想的な作品であったからだろうか。 異形という存在は、懐かしさを呼び起こし、見る者を神話的な世界へと誘う。戦前から戦後間もない時期までは、たしかに、そんな人たちが芸を見せながら旅をしていた。 見世物小屋の一座で糊口をしのぐ異形の5人家族。怪物「くだん」を一座に加えようとするが、家族はやがて二つの世界に引き裂かれることになる。戦争に負けた世界と戦争に巻き込まれなかった無傷の世界とに・・・。パラレルワールドの展開を前にして、現実と虚構が交錯し、めまいを覚える。「もし、日本が戦争を始めていなかったら」「もし、日本が戦争に負けていなかったら」という想像力が現在を逆照射し、過去の世界からの光によって現在が照らされ、暗い影となって浮かび上がる。戦後70年を経て異形の者たちも消えたこちらの世界(現在)の方が偽りの世界のようにも感じられてくる。 川を漂う五色の襤褸を纏った舟に乗った5人の家族は、世界を漂う日本という運命共同体の暗喩なのかもしれない。死者と生者の交感を描いたこの物語には、今は亡き者たちへの追悼と鎮魂の意味も込められているようにも思える。 あとがきで近藤ようこが次のように書いているのが印象に残る。 くだんに運ばれた和郎と桜が生きているのは、やはり、「産業奨励館が原爆ドームにならなかった世界」であるべきだと思った。 また、原作者の津原泰水氏は、終盤は近藤ようこの創意が加えられていると記している。この原作の収められている短編集『11(eleven)』(2014年SFマガジンのオールタイム・ベストSF国内短編部門1位)も読まなくてはなるまい。 近藤ようこは、折口信夫の『死者の書』をコミカライズして「月刊コミックビーム」に連載を開始するとのこと。これにも目が離せない。
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原作未読なるも、家族が不意に買ってきたので読む。 近藤作品は割と好きなので、スルッと入り込めた。 第二次世界大戦末期の西日本で、 血の繋がらない疑似家族が見世物で生計を立てている。 一家の主は 未来を予言する、牛と人のハイブリッド「くだん」を 買い取ろうとするが……。 無惨な...
原作未読なるも、家族が不意に買ってきたので読む。 近藤作品は割と好きなので、スルッと入り込めた。 第二次世界大戦末期の西日本で、 血の繋がらない疑似家族が見世物で生計を立てている。 一家の主は 未来を予言する、牛と人のハイブリッド「くだん」を 買い取ろうとするが……。 無惨な世の中に抜け殻を置いて、 幸福な別の時空に足場を移す=「舟」を乗り換える、 という発想が凄い。 悲しいし、切ないけれど、 夢でも幻でも仮初めでも、彼らが幸せなら、 そちらの世界が永遠に続けばいいと思った。
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タイトルからして白黒キンドルで読むのは どうかと思ったが問題はなかった SFにもコミックにも詳しくないため あんまりうまく評価できないが 戦時中の妖しさと空気感が SF的な要素と相まって 独特の雰囲気 うまいのかうまくないのか よくわからない絵も雰囲気に合っている
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これはいい漫画ですわ……!戦時中の見世物一座の矜恃と生き様。そして件と平行世界。最高のエンタメっすわ……
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