五色の舟 の商品レビュー

4.4

36件のお客様レビュー

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2014/12/14

津原泰水の小説が原作とのことで手に取りました。 五色の舟に乗るのは、血の繋がりがない異形の家族。 それぞれが一人で生き抜くには過酷な第二次大戦当時。 くだんが見せる未来は夢幻でも、家族には変わらない。 ひととひとが美しく結び付いた作品です。

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2014/10/28

それは1冊の漫画でしかない。 読後に感想を言葉にできないというか、この複雑な気持ちの揺れを表現できる「ことば」をもたない。感情を言葉の檻にとじこめたくないとすら思う。10人読めばきっと10人とも違う感想をもつんだろうなと思わせる1冊の漫画。人だけじゃなくて、読む環境とか読むタイ...

それは1冊の漫画でしかない。 読後に感想を言葉にできないというか、この複雑な気持ちの揺れを表現できる「ことば」をもたない。感情を言葉の檻にとじこめたくないとすら思う。10人読めばきっと10人とも違う感想をもつんだろうなと思わせる1冊の漫画。人だけじゃなくて、読む環境とか読むタイミングでとかでも、いろいろとかわってくるんじゃないかと思う。でもきっと、みんな読んだあとでは自分自身から目をそらしている部分があったことに気がつくんじゃないかな。 ぼくはずっと、こういう風に言葉にできない感情を引き起こす本や漫画を読み、音楽を聴いてきた。その言葉にできない感情と向き合い続けることの積み重ねが、今のボクを作ってきたんだと勝手に思ってる。ほんとに勝手にね(笑)

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2014/07/27

自らの奇形の身体を見せ物にすることで糧を得、時には奇形どうしのまぐわいをも見せる見世物一座。一座はあるとき「くだん」が産まれたとの噂を聞きつけ、それを一座に加えようと思いたち…… 過去も現在も未来もすべてを言い当てる「くだん」、家族として身を寄せ合い生きる奇形の人々、そしてますま...

自らの奇形の身体を見せ物にすることで糧を得、時には奇形どうしのまぐわいをも見せる見世物一座。一座はあるとき「くだん」が産まれたとの噂を聞きつけ、それを一座に加えようと思いたち…… 過去も現在も未来もすべてを言い当てる「くだん」、家族として身を寄せ合い生きる奇形の人々、そしてますます激しくなる戦争、それらが渾然となって幻想的な雰囲気をもたらす。そして、それと同時に「くだん」にSF的な機能を果たすことで、ただの幻想に流れず「くだん」の存在意義にまで踏み込む。このバランスの絶妙さ。 もとの原作がいいのか、近藤ようこのアレンジがいいのか。これは原作も読んでみないと。

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2014/04/30

どことなく「七瀬ふたたび」のラストシーンを別のモチーフで展開させたような作品。原作者の後書きにもあるように 「W3」の変奏曲としても読めそう。

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2014/04/25

まさに奇蹟の一冊。みんな言ってるけど、津原泰水のあの原作をビジュアル化してしまうなんて。ひとつひとつの場面は思い描きやすいが、それをつないでいくことは不可能と思っていた。 そして生まれたものは原作を離れ新たな神話となる。産業奨励館のある風景の美しさよ。

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2014/04/05

必読。ただその一言です。 名手・津原泰水の手になる短篇「五色の舟」(短篇集『11』所収)、そのコミカライズですね。 見世物一座の少年、和郎を語り部とする本作は、原作からして傑作といえるものでした。津原泰水一流の高密度な文体を見事に視覚化した本書もまた、原作に勝るとも劣らない素晴...

必読。ただその一言です。 名手・津原泰水の手になる短篇「五色の舟」(短篇集『11』所収)、そのコミカライズですね。 見世物一座の少年、和郎を語り部とする本作は、原作からして傑作といえるものでした。津原泰水一流の高密度な文体を見事に視覚化した本書もまた、原作に勝るとも劣らない素晴らしいものです。 いずれも何かしらの欠損を抱えながら、互いに「家族」として日々を過ごす見世物一座の人々。彼らが出会う、未来を予言するという化生「くだん」。そして和郎が見る「五色の舟」の夢……あくまで静かに語られる物語の末に和郎たち家族が迎える運命は、幸福でいながら喪失感に満ちています。 わけても終盤のモノローグ、そして最後に描かれる俯瞰の構図はあまりにも切ない。和郎と、彼の半身ともいえる少女・桜のやり取りが強く胸に迫ります。 とにかく読め、としかいえない一作。是非。

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