ばらばら死体の夜 の商品レビュー
物語自体は面白かったけど、長い題名だけで引きつけようとするサスペンス番組見たあとみたいな何も心に残らない感じのストーリーだった
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2009年、消費者金融全盛のとき。 ひとりの女とひとりの男が出会ってしまう。ノスタルジアを抱えたソロ同士、似て非なる二人の騙し合い。 ばらばらになるか、秘密を貫くか。 仕込まれた伏線が回収されていく後半につれ、物語が加速します。
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久しぶりの桜庭一樹さん。 全体に薄暗くて圧迫感のある中で明るい振り?をして頑張って生きてるけど…どうにもならない深みにはまっていく。みたいな絶望感が独特で…いつも引きこまれて読んでしまう。 時にお金は人生の破滅の入口といっても過言ではないと思う。「紙の月」「火車」この手のテー...
久しぶりの桜庭一樹さん。 全体に薄暗くて圧迫感のある中で明るい振り?をして頑張って生きてるけど…どうにもならない深みにはまっていく。みたいな絶望感が独特で…いつも引きこまれて読んでしまう。 時にお金は人生の破滅の入口といっても過言ではないと思う。「紙の月」「火車」この手のテーマの本は読見終わってから大丈夫かな?私?と不安しか残らない。
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終始乾いた印象。登場人物みんな幸せじゃなさそう。主要人物四人も、その周辺の人も。解の妻も幸せじゃなさそう、というか、描写するのが解と里子の視点だからなのか、幸薄い感じ。
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私の男以来の桜庭さんでした。 描く世界観と、男と女の関係、性描写、どれをとっても一級品です。しかし、好みは分かれるかなと。私はとても好きです。このどうしようもない人間感が。 消費者金融を題材にはしてますが、根幹にあるのは人間の底知れぬ哀愁。人はこんなにも落ちぶれるし、生きるのはこんなにも大変なのだということ。砂漠の人生は哀しすぎますね…。 解の殺人の動機が語られないのがまた我々読者の想像を駆り立て、人の心の闇を感じさせますね。狂っているのに、狂ってる描写はない。あくまで裕福な妻をもらい、その箱庭に閉じ込められている解の心情だけ。人を殺すということに対して強く焦点を当てないのが、個人的には好きです。それでも最後のepilogueはしっかり落とす。齢にそぐわぬ容姿になってしまった解。その理由を知ってるのは… nostalgia。個人的に、パワーワードでした。これから先忘れることはないかなと。自分にとってのnostalgiaを思い出しました。辛い記憶ではありますが、それを否定することはできない。この小説に、思い出さしてもらいました。
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堕ちていく人間に触れた。堕ちた場から抜け出せない人間に触れた。 読んでいてその自分への甘さと横柄さにイライラしてしまうと同時に、こんな心理を抱く人間が存在するだろうことに怖くなった。 私には理解ができない思考回路を、する人がきっといるんだろうと…。 テッドおじさん(佐藤)の感情は...
堕ちていく人間に触れた。堕ちた場から抜け出せない人間に触れた。 読んでいてその自分への甘さと横柄さにイライラしてしまうと同時に、こんな心理を抱く人間が存在するだろうことに怖くなった。 私には理解ができない思考回路を、する人がきっといるんだろうと…。 テッドおじさん(佐藤)の感情は理解できることもあった。死ねる未来がある安心から、今を生きられるのだろう。 イライラしてしまう、理解できない、お金の恐ろしさを体感するような感覚があるのに、どんどん読み進めてしまう。 不思議な気持ちになる作品。胸が少し締め付けられるような感覚になる作品。 ・2017年8月1日読了
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吉野がずっと隠し続けてきた心の中にある深淵。 誰にも理解されず、誰にも知られないように、ひっそりと闇と向き合ってきた吉野だったが、同じような境遇の砂漠と知り合ったことから何かが動き出す。 自分自身の境遇を憎みながら、必死に這い出そうとする人間がいる。 流されるままに金を使い、なく...
吉野がずっと隠し続けてきた心の中にある深淵。 誰にも理解されず、誰にも知られないように、ひっそりと闇と向き合ってきた吉野だったが、同じような境遇の砂漠と知り合ったことから何かが動き出す。 自分自身の境遇を憎みながら、必死に這い出そうとする人間がいる。 流されるままに金を使い、なくなれば安易に消費者金融で借金をし、ついには多重債務者となった人間もいる。 似て非なる者たち・・・。 吉野の闇は死ぬまで誰にも理解されないだろうし、吉野もまた理解されたいとは思っていないだろう。 誰かが何とかしてくれる・・・そんな考え方しか出来ない人間には、結局生き残ることなんて無理だったのかも?という気もする。 でも、責任の大半は本人にあるとはいっても、砂漠の人生は哀しすぎだと思う。 読んでいてずっと感じていた違和感。 とても好きな作家だったのに、いつの間にか作り上げる世界に馴染めなくなっている。 妙にひややかに物語を眺めている自分がいた。 しばらくこの作家からは離れたほうがいいのかもしれない。 いつかまた、きっと物語の世界を堪能できるときが来るかもしれないかもしれないから・・・。
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敷きっぱなしの煎餅布団から投げ出した倦怠感。 だらしなく俗物的な白井沙漠と煤けた背中の吉野解はこっそり何度も身体を重ねる。 消費者金融 思い出の中の家 閉ざされた庭。 どこか古い時代の空気漂う古書店 泪亭に張り付いている、桜庭一樹が描いた貧しさの形。 どんよりとした空気がまとわり...
敷きっぱなしの煎餅布団から投げ出した倦怠感。 だらしなく俗物的な白井沙漠と煤けた背中の吉野解はこっそり何度も身体を重ねる。 消費者金融 思い出の中の家 閉ざされた庭。 どこか古い時代の空気漂う古書店 泪亭に張り付いている、桜庭一樹が描いた貧しさの形。 どんよりとした空気がまとわりついてくるようで、そういう中で生きていくのはひどく難しい。
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○ばらばら死体ができ上がるまでどのような心境の変化があるのか。内面に迫るルポのような細やかさを備える一冊 大学講師の吉野は、昔世話になっていた「泪亭」という神保町の古書店で沙漠と出会う。自分の境遇と重ね合わせた吉野は、昔から持っていたカギを使い部屋に侵入し、沙漠を襲う。金がもらえ...
○ばらばら死体ができ上がるまでどのような心境の変化があるのか。内面に迫るルポのような細やかさを備える一冊 大学講師の吉野は、昔世話になっていた「泪亭」という神保町の古書店で沙漠と出会う。自分の境遇と重ね合わせた吉野は、昔から持っていたカギを使い部屋に侵入し、沙漠を襲う。金がもらえるのでは、と思った沙漠も吉野に迎合し、受け入れる。ある日吉野は沙漠を連れ出し、実家のある下北半島に車で向かうが・・・ 貧困が人間の何を変えるのか、裕福な人との違いは何なのか。 何が違うというのだろう。だって、同じ人間ではないか。 でも何かのはずみで、何かのきっかけで転落するし、人を殺してしまう。 淡々と、吉野、沙漠、沙漠の友人・里子、泪亭の主人・佐藤、吉野の娘・夕のそれぞれの口から、吉野や沙漠の生活や生き様が語られる中で、人生のどこにいったい転落してしまう危険性を孕んでいるかなんてわからなかった。吉野は大学講師という職をしながらも借金の返済生活を続けていたし、佐藤も昔の自動車事故をずっと引きずったまま生活している。 淡々と、吉野は沙漠を殺す。 昔母親を殺したときのように、淡々と鉞を振り下ろし、淡々と道すがら破片を捨てていく。 淡々と語られる口調はなぜか逆に人間それぞれの人間味を表しているようで、ルポを読んでいるかのような、殺人者と周辺の人間の内面を細やかにとらえた作品。しかし淡々と色がなく描かれているが、そこに殺され方のグロさが赤くアクセントとしてずっと残り続ける。
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古書店の二階にひっそりすむ謎の女・白井沙漠。 沙漠と知り合い、体の関係を持つようになった吉野解。 二人はそれぞれ、多重債務で苦しんでいた。 沙漠の正体がわかったとき、今までさりげなく出てきていた部分がすべて伏線なんだと気付いた。 さりげない描写の沙漠はすべて偽者で、 そのにせものの自分をさらにきれいにするために、お金を求めて消えた。 それに対して解は、由乃に拾われ、表面的にお金持ちのコーティングをされ、心は開けず、生活費と奨学金で多重債務に陥っていく。 二人が行く末が交わったとき、 300万円で運命が変わった。 二人ともバラバラで、しっくりこない人生を生きていたのかもしれない。 二人以外の大家と里子の視点で、より重層的に物語が語られていた。 沙漠が怖い。お金で人って変わるんだ。 一気読みしてとまらなかった。
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