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バナナ剥きには最適の日々 の商品レビュー

3.5

35件のお客様レビュー

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2014/03/18

“おめでとう、おめでとう。 何世代か前に、超光速航法を編み出した祖先たちが入植した土地に、僕はようやく辿り着いたというわけだ。骨董品の長い旅を労おうと、僕を迎えるためのびっくりパーティーを用意しておいてくれたのだ。まあその前に電波の様子で僕の方にも知れるだろうが。 あなたは別に何...

“おめでとう、おめでとう。 何世代か前に、超光速航法を編み出した祖先たちが入植した土地に、僕はようやく辿り着いたというわけだ。骨董品の長い旅を労おうと、僕を迎えるためのびっくりパーティーを用意しておいてくれたのだ。まあその前に電波の様子で僕の方にも知れるだろうが。 あなたは別に何かをみつけたわけでもないですし、我々の知識に何かをつけ加えたわけでもないですが、とにかくこうして裸一貫、大海原を越えてやってきてくれたことが偉大です。おめでとう。おめでとう。とか言われるのだ。”[P.32_バナナ剝きには最適の日々] 「パラダイス行」 「バナナ剝きには最適の日々」 「祖母の記録」 「AUTOMATICA」 「equal」 「捧ぐ緑」 「Jail Over」 「墓石に、と彼女は言う」 「エデン逆行」 「コルタサル・パス」 単行本に「コルタサル・パス」を加えての文庫化。 この文章がたまらなく好き、とかこの表現がとても気持ちいい、みたいなのがちょくちょくあってそこが楽しい。 “透明な形でできた三角形。そこには腕が四本あって、足が七本あるのであって、四は七より小さくて、七は三より小さいのです。 おかしいなと思ったとして、ここにはまだ四も七も三もいないのでした。出て来る必要がありませんから。そんなものがなかったとして、困ることもないわけなのです。 全然この世にいないとしても、三角形のことが大好きだよ。 もしかして、既にこの世にいるものや、既にこの世にいなくなってしまったものと比べてさえも。この世の中に原理的に存在できないもののことが大好きだよ。 こうした言葉の並びみたいな。 そうして、大好きなものは大嫌いだよ。 大好きなものなんてこの世にずっとないままでいい。この世が大好きで一杯ならば、この世は大嫌いで一杯で、そんなのは、ほんとうにもう大嫌いでちょっとだけ好き。”[P.101_equal]

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2014/03/18

単行本も読みました。文庫版ボーナストラックのコルタサル・パスはキャッチーでいかにもなSF、と見せかけて全てをひっくり返す雰囲気を孕んでいてゾクゾクします。捧ぐ緑、バナナ剥き、祖母の記録などは軽快で楽しく、やはり「どちらかというとわかりやすい作品集」だと思います。

Posted byブクログ

2016/01/17

普通のSFをやってると逆にコメントしたくなってしまう作家。しかし負けずに…「祖母」は舞城王太郎的な馬鹿馬鹿しいグロテスクさが新鮮。「バナナ剥き」は出だしは普通なのに結局論点がどこなのかよくわからないのが最高。「捧ぐ緑」はいちばんわかりやすく面白い。長編楽しみすぎる。

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2014/03/13

円城塔の短篇集。 「ゾウリムシは信仰を持つか調べています」と、バナナ星人の対立のくだりは最高に面白いw 個人的には上記の『捧ぐ緑』、『バナナ剥きには最適な日々』と、『パラダイス行き』、『コルタサル・パス』あたりが好きです。 円城塔のナンセンスとまでは行かないけど、よくわからない...

円城塔の短篇集。 「ゾウリムシは信仰を持つか調べています」と、バナナ星人の対立のくだりは最高に面白いw 個人的には上記の『捧ぐ緑』、『バナナ剥きには最適な日々』と、『パラダイス行き』、『コルタサル・パス』あたりが好きです。 円城塔のナンセンスとまでは行かないけど、よくわからない絶妙な感じが好きですね。 言葉選びのセンスと設定の作り方が上手い。 まともな文章も書けることは『屍者の帝国』でも証明済みなので、たまにはこれらの巧みな設定を活かした普通の文章の普通の作品を書いて欲しいと切実に願っています。 でもそうすると円城塔の味が薄れて、没個性・大量消費型の作品になってしまうんでしょうね・・・。 それはそれで考えものかもしれない。

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2014/03/13

短編集。 解説にある『解らないけど面白い』というフレーズが秀逸。確かに円城塔作品は一言で説明するのが難しい。解説では初出誌や各短編ごとの紹介もされているが、CDのブックレットに掲載されていたものがあったのには驚いた。まったく知らなかった……。 表題作の『バナナ剥きには最適の日々』...

短編集。 解説にある『解らないけど面白い』というフレーズが秀逸。確かに円城塔作品は一言で説明するのが難しい。解説では初出誌や各短編ごとの紹介もされているが、CDのブックレットに掲載されていたものがあったのには驚いた。まったく知らなかった……。 表題作の『バナナ剥きには最適の日々』『祖母の記憶』は割ととっつきやすい内容、逆に『AUTOMATICA』『equal』は言語遊戯に近い内容。どちらもユニークで面白い。 単行本には収録されていなかった『コルタサル・パス』が追加されているが、これは元々、長編のプロローグだったらしい。

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