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河北新報のいちばん長い日 の商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

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2020/01/25

震災時の報道資料。いわば新聞社のBCPに関する実録であり、大変勉強になった。街がなくなったと書く記者の心情には、心動かされた。

Posted byブクログ

2019/04/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

市政だよりに掲載されていたのを見て図書館で借りた震災文庫。 河北新報と各記者が、東日本大震災発生時にどう考え、どう動いたのかを詳細に綴った一冊。自分たちも被災しているのに被災者に情報を届けるために必死に闘う記録は後世、語り継ぐべきだと思う。 記事見出しを「死者」とするか「犠牲者」とするかの葛藤は、壊滅した現場を歩いて取材した地元紙ならではの配慮で、感銘を受けた。(「第3章 死者と犠牲者のあいだ」) また、若い女性記者が原発爆発後に福島を離れたことについて、記者としての使命感と自分の弱さの落差に絶望して記者をやめてしまう話には心を動かされた。あのときは皆が放射能という見えない敵に怯えていたし、会社からも避難指示が出ていたのだから、そこまで思い詰めないで気持ちを切り替えて頑張っても良かったのではと思うが、彼女にはそうできないくらい後悔、葛藤があったのだと想像する。(「第6章 福島原発のトラウマ」) その他にも配達中に犠牲になった販売店の方の話、物資不足の中でも新聞発行に奔走する河北新報社の想い、被災者の気持に寄り添うことを基本姿勢として衝撃的なスクープ写真の掲載を見送る話、震災1ヶ月後の社内アンケートでわかった記者たちの「苦痛」「感激」などの心の声など、心に深く残る内容。

Posted byブクログ

2017/06/18

大変な状況で苦労した、という話だが、引用される記事がひどい文章で、安い演歌歌手リサイタルの司会者みたい。日頃の修練が足りないと、こういう時にむき出しになるようだ。

Posted byブクログ

2015/06/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 個人的な話になるが、この本を読み終わった5月3日は、28年前朝日新聞阪神支局襲撃事件の起こった日だ。当時学生で物を書く仕事に憧れていた私には、とても衝撃的な事件だった。中でも銃撃された記者が「指はあるか!」と叫んだという逸話が忘れられない。命の危険にさらされても、なお書くことへの執念は捨てない、その記者魂に圧倒された。  河北新報という名は2013年4月、横浜の日本新聞博物館で初めて知った。震災報道を伝える展示会が開かれていて、その紙面が掲示されていたのだ。生々しい紙面、そして震災の日も発行されていたことへの驚きで、息を吐くことしかできなかった。  この本に描かれた、紙面の裏にあった葛藤は想像以上だった。「紙齢(しれい:新聞の発行日数)を絶やさない」ことへの執念。組版基本サーバーのディスク装置が倒れ、制作が危ぶまれたが、新潟日報に紙面を作ってもらえるようになる。2004年の中越地震を経験していた新潟側の呼びかけで、2006年から有事には強力する協定が出来ていたのが役立ったのだという。このことが象徴するように、人と人との繋がりが震災後の河北新聞を支えていく。編集局、記者ばかりでなく、販売店など、新聞に関わるすべての人々を描くことで、新聞のもつ底力をより大きく感じた。  一方で記者たちの被災者に対する思い、人間らしい弱さや苦悩も生々しく胸に迫る。ヘリで空撮を行っているカメラマンの目に映る、学校屋上に非難した人々の作った「SOS」の文字。助けてあげられず「ごめんなさいね、ごめんなさいね」と言いながら写真を撮り続け、その写真の報道で助けになれればと祈っていたというが、現実は厳しかった。その人々が救出されたのは1週間後、その間ほとんど食べ物もなくスティックシュガーをなめていたという。その事実を後日知ったカメラマンは、自分の仕事が役に立っていなかったと苦しむ。  ここに描かれている記者や編集局の人々も被災者だ。水や燃料・食料不足の中、極限の状態で新聞を作っている。編集局と記者たちの温度差を感じた報道部次長が、アンケートを行い、その苦悩が明らかになる。精神も体力も限界の中で報道するという使命と、被災者に役立っているのかという無力さ。その狭間で葛藤する人々の言葉を細やかに拾い上げたことで、彼らの姿が浮き彫りになり、まっすぐに響いてくる。  河北、という言葉は「白河以北」という意味で、「白河以北一山百文(白河より北は荒れ地ばかりでひと山百文の値打ちしかない)」という侮辱的な言葉への反骨精神からなるという。東北人らしい粘り強さ、やさしさを持って、これからも紙齢を絶やさずにいて欲しいと心から願う。

Posted byブクログ

2015/03/25

読んでいて、何度も涙が出てくるのを必死にこらえた。 自室で読んでいたら、それこそどうなっていたのか わからない。 「大震災」後の3月28日にやっと故郷の宮城に 入ることが出来て、そして、そこで目にした 「光景」は一生忘れないだろう。 今でも、「自分に出来ることは何か」を模索しな...

読んでいて、何度も涙が出てくるのを必死にこらえた。 自室で読んでいたら、それこそどうなっていたのか わからない。 「大震災」後の3月28日にやっと故郷の宮城に 入ることが出来て、そして、そこで目にした 「光景」は一生忘れないだろう。 今でも、「自分に出来ることは何か」を模索しながら 生きている。

Posted byブクログ

2015/03/24

東日本大震災(そして原発事故)被災地の新聞が被災当日からいかに報道・取材・発行に取り組んだかが描かれている。彼ら自身も被災者。あるべきものがない中で、報道のあるべき姿が逆に浮かび上がってきた。いろんな部署を紹介しているので(記者だけが頑張っているわけじゃないので当然だが)読み物と...

東日本大震災(そして原発事故)被災地の新聞が被災当日からいかに報道・取材・発行に取り組んだかが描かれている。彼ら自身も被災者。あるべきものがない中で、報道のあるべき姿が逆に浮かび上がってきた。いろんな部署を紹介しているので(記者だけが頑張っているわけじゃないので当然だが)読み物としてやや散漫な感もあるが、目配せがきいているとも言えそう。久しぶりに本を読んで涙腺が緩んだ。通勤時に読んだのは失敗。

Posted byブクログ

2015/03/19

東北の新聞社の震災後における初動を描いた記録。 初動において、安否確認をして、情報収集をして、それを発信する――というプロセスは、国交省や自衛隊等の対応機関に類似していると思った。 じっさい、新潟日報との協定だとか、それを踏まえたデータ送受信訓練を一か月前に実施していたことだと...

東北の新聞社の震災後における初動を描いた記録。 初動において、安否確認をして、情報収集をして、それを発信する――というプロセスは、国交省や自衛隊等の対応機関に類似していると思った。 じっさい、新潟日報との協定だとか、それを踏まえたデータ送受信訓練を一か月前に実施していたことだとかは、先日国交省の東北地整から公開された『災害初動期指揮心得』にも書かれていた「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分でなかった」というくだりに通じるものがある。 また、土地勘のある記者を派遣するという指揮もさることながら、後方支援の重要性、とりわけ総支局間での応援だとか、「おにぎり隊」の活躍も印象的で、そうした後方支援や兵站だってチームのためにとても重要、というムードを作りだし共有することが、精神衛生上も大切だとも学ぶことができた。 さらに、単純に、被災直後の人々に最も欲されるものとは「情報」であると、改めて認識。 (とくに、デジカメ・スマホ時代の写真のプリントの尊さと同様に、)ネット・TV時代の新聞の尊さが、3.11後に改めて明らかにされた、と思う。 「アナログメディアの重要性」という指摘もあったがまさにそのとおり。 そして何より、あのころの動きがこうして(しかも発災わずか半年で!)まとめられ出版された貴重な記録に、リスペクトと感謝を抱かずにいられない。 しかも、何度も涙腺が緩んだほど、正直な感情に大変満ちた、この記録に。

Posted byブクログ

2015/02/22

震災からもう4年になる。 震災復興に関わる仕事をしている会社にいるとは言え、やはり震災の記憶は徐々に風化する。今も故郷に戻れず避難生活をする人々のことを忘れる。 だから新聞を読んだり本を読んだりして、また思い出す。 この本は、河北新報が震災とどう向き合い、どう報じたかを記録したド...

震災からもう4年になる。 震災復興に関わる仕事をしている会社にいるとは言え、やはり震災の記憶は徐々に風化する。今も故郷に戻れず避難生活をする人々のことを忘れる。 だから新聞を読んだり本を読んだりして、また思い出す。 この本は、河北新報が震災とどう向き合い、どう報じたかを記録したドキュメントです。 河北新報と言えば、以前の印象はただの保守的な地方紙でしたが、震災以降はちょっと変わりました。一番驚いたのは、以前はどちらかといえば原発推進派と言ってもいいくらいの姿勢でしたが、震災以降は明確に脱原発にシフトしたことです。 大きな企業が少ない東北の経済にとって、東北電力はやはり大きな存在です。 河北新報がそれに抗してどこまで脱原発を貫けるのか、注目しています。

Posted byブクログ

2015/01/26

東北地方6県で展開する地元密着型の地方紙にとって、あの東日本大震災はどのような影響をもたらしたのか。 当時の社員のアンケートをもとに再取材・再構成したドキュメンタリータッチというより集まった事実を淡々と記述した飾らないスタイルに好感が持てた。 東北の地名で分からない部分が多いのと...

東北地方6県で展開する地元密着型の地方紙にとって、あの東日本大震災はどのような影響をもたらしたのか。 当時の社員のアンケートをもとに再取材・再構成したドキュメンタリータッチというより集まった事実を淡々と記述した飾らないスタイルに好感が持てた。 東北の地名で分からない部分が多いのと、新聞業界の役職名・役割がいまいち理解できていない点、一部冗長な記述(なぜか同じ内容を2回繰り返しているところがいくつかある)が気になったが、あまり東京では伝えられていない情報など気になった。震災発生直後より時間が経過してからの方が大変だったこと。報道しても助からない命・何もできない事に対する葛藤は計り知れないと思った。報道に関わる多くの人の人生を根本的に変えるだけの破壊力のある出来事なんだとあらためて痛感した。

Posted byブクログ

2015/01/06

震災に関しては十人十色の意見や考え方があるんだろう。 震災から4年近く経つが節目の日を除くともう全国紙や全国ネットで震災が報じられることは殆ど無い。 これを“風化”というのだと思う。 あらためてメディアは何のためにあるのか問いたい。 視聴者や読者が食い付くネタを並べ、視聴率や販...

震災に関しては十人十色の意見や考え方があるんだろう。 震災から4年近く経つが節目の日を除くともう全国紙や全国ネットで震災が報じられることは殆ど無い。 これを“風化”というのだと思う。 あらためてメディアは何のためにあるのか問いたい。 視聴者や読者が食い付くネタを並べ、視聴率や販売部数を伸ばすこと、そのものが目的になってはいないか? 河北新報の関係者はそうでは無かった。 そして自らにも問う。 いざという時、お前は悩むのか?走れるのか?と。

Posted byブクログ