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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上) の商品レビュー

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46件のお客様レビュー

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2014/04/26

原田久仁信先生の『KIMURA』を読んで、いてもたってもいられなくなり原作を読みました。 物心ついた頃からプロレスの興行やテレビ中継があり、格闘技やプロレスがイベントとして存在することが当然だと思っていました。 しかし、何事にもはじまりがあります。 どうして、日本にプロレス・格...

原田久仁信先生の『KIMURA』を読んで、いてもたってもいられなくなり原作を読みました。 物心ついた頃からプロレスの興行やテレビ中継があり、格闘技やプロレスがイベントとして存在することが当然だと思っていました。 しかし、何事にもはじまりがあります。 どうして、日本にプロレス・格闘技興行が存在するのか? そもそも日本の武道・格闘技の歴史とは、いったい何なのか? それは本書で語られる木村政彦の半生を通して知ることができます。 タイトルこそ力道山と木村政彦ですが、本書は日本の武道・プロレス・格闘技の歴史をまとめたものです。 文庫版上巻は、あのキラー馬場のプロローグからはじまります。 このプロローグだけで読み応え十分です。 そして木村政彦の生い立ち、第二次世界大戦を経て、エリオ・グレイシー登場までです。 このエリオが、また憎らしいほどに強い! 戦前にプロレス興行はありませんでした。 武道家としての柔道家のステータスは、今の常識では考えられないほどのものであり、その頂点が木村政彦でした。 その価値観は太平洋戦争によって逆転してしまいます。 しかし、木村政彦の強さは揺るぎません。 こういう背景を踏まえて、下巻のエリオ戦や力道山戦へとつながっていきます。

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2014/04/26

素晴らしい本に出会った。柔道、プロレス、極真空手の裏側にはこんなに熱い物語があったのかと目頭が熱くなった。 著者の柔道愛、木村政彦愛を十分に受け取った気がする。 この本を読む前と後では柔道に対する見方が180度変わってしまった。また、石井慧氏を応援したくなった。 アマチュアを...

素晴らしい本に出会った。柔道、プロレス、極真空手の裏側にはこんなに熱い物語があったのかと目頭が熱くなった。 著者の柔道愛、木村政彦愛を十分に受け取った気がする。 この本を読む前と後では柔道に対する見方が180度変わってしまった。また、石井慧氏を応援したくなった。 アマチュアを標榜しながら五輪ビジネスの中でスポーツ化していく柔道と決別して、武道としての柔術が再び盛り上がる事を切に希望する。

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2014/04/11

上巻は木村政彦と力道山の戦いというより、木村政彦をはじめとした柔道の歴史ノンフィクションといった方が正しい。しかも、講道館が伝えてこなかった部分を明らかにするという強い意志を感じた。 作者の熱量が文章の端々から伝わってくる。実は柔道の正しい歴史なんて大して興味がなかった自分がどっ...

上巻は木村政彦と力道山の戦いというより、木村政彦をはじめとした柔道の歴史ノンフィクションといった方が正しい。しかも、講道館が伝えてこなかった部分を明らかにするという強い意志を感じた。 作者の熱量が文章の端々から伝わってくる。実は柔道の正しい歴史なんて大して興味がなかった自分がどっぷりハマッてしまった。下巻も楽しみだ。

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2014/03/26

力道山との対決で不可解なKO負けを喫した「柔道の鬼」。異常なほどの強さを誇った柔道王がなぜこのような負け方をし、その後の人生をも狂わせてしまったのか…。その謎に迫る。講道館を中心とする日本柔道界との軋轢や、キャリアの絶頂期に起こった太平洋戦争、そして戦後の貧しい暮らしや妻の病気。...

力道山との対決で不可解なKO負けを喫した「柔道の鬼」。異常なほどの強さを誇った柔道王がなぜこのような負け方をし、その後の人生をも狂わせてしまったのか…。その謎に迫る。講道館を中心とする日本柔道界との軋轢や、キャリアの絶頂期に起こった太平洋戦争、そして戦後の貧しい暮らしや妻の病気。数々の不幸が襲いかかり、運命に翻弄された孤高の柔道家はプロ柔道からプロレスへと身を投じることになる。謎の多かった彼の人生に光を当てた渾身のドキュメンタリーである。

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2014/03/23

面白すぎる。講道館と武徳会、高専柔道の三者の歴史。木村と牛島の血の師弟関係。武道とは。強さとは。歴史とは。生きるとは。この本に全てがある。

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2017/08/15

 現在、オリンピックなどで行われる立ち技・投げ技偏重の柔道は戦前の柔道とは違う。なぜかというと、戦後GHQにより打撃(当身)や関節技など相手を倒すことを目的とした技が危険視され、それらに秀でた流派が、ことごとく解散させられてしまったからだ。生き残ったのは「柔道は格闘技ではなくスポ...

 現在、オリンピックなどで行われる立ち技・投げ技偏重の柔道は戦前の柔道とは違う。なぜかというと、戦後GHQにより打撃(当身)や関節技など相手を倒すことを目的とした技が危険視され、それらに秀でた流派が、ことごとく解散させられてしまったからだ。生き残ったのは「柔道は格闘技ではなくスポーツ」ということを訴え、立ち技・投げ技に特化し、競技性を前面に打ち出した講道館だけとなった。  確かに現在のオリンピックの試合をみても、投げ技と寝技、たまに絞め技しか見られず、関節技で決まったなんて試合はほぼ見られない。競技性を重視しているから、揉み合っていると「待て」がすぐかかる。  では、戦前の柔道はどんなものだったかというと、現在の総合格闘技のようなもので、世界を席巻したグレイシー柔術に、その典型が垣間見える。  立ち技の応酬から倒れ込むと、寝技、関節技の応酬になる。投げ技で一本を取るというより、寝技、関節技、絞め技で「参った」をとり、どちらが強いのかをはっきりさせる、完全決着を目的とした柔道だ。  その格闘技色の極めて強い戦前の柔道で最強を謳われたのが木村政彦だ。    「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし」と言われ、戦前戦後を通して全日本選手権を制覇し続け15年間無敗、全国の猛者たちがその栄光だけを夢見て集結した戦前における最大の競技会、展覧試合でも優勝して、全国にその名を轟かした。    戦後ほどなくして、木村政彦は、かつてグレイシー一族の長であるエリオ・グレイシーと敵地ブラジルで対戦し、腕固めでエリオの腕を折り完勝した。それ以降ブラジルでは「腕固め」の技の名称が「キムラ」と呼ばれるようになった。    当時の木村は間違いなく世界最強だった。    こんな逸話もある。  東京オリンピックでの柔道競技の代表選手選考において、ヘーシンク(無差別級金メダリスト)に対して誰を当てるかに散々頭を悩ました首脳陣は、誰を当てても勝てる見込みがないということで、現役を退いている47歳の木村を当てようと真剣に考えたことがあるらしい。木村は立ち技こそ衰えたものの、寝技に関しては現役選手をまだまだ凌駕していた。  それほど木村は強かったのだ。   ではなぜ、それほどの強さを誇った木村が今の日本人にはあまり知られていないのか。それは木村がプロレスに転向し、力道山と対戦したときにKOされてしまったからだ。    彼はなぜ柔道を捨て、プロレスに転向したのか、そしてなぜ力道山と対戦することになったのか。 この謎を追うことによって木村政彦の人間性があきらかになってくる。  上巻では木村の生い立ちと、「鬼」と呼ばれた師匠・牛島との出会い、そこから始まる師弟二人三脚での死闘と形容するしかない命懸けの修行の数々、そして悲願の天覧試合制覇へとドラマティックな前半生が描かれる。    女性が読むとドン引きするかもしれないが、男なら感動する。もし感動しない男がいたら、自身の胸中に問いかけた方がいい「もしかして、あっちの気があるのか?」と。それぐらいすごい。  もし、木村の柔道が連綿と受け継がれていたなら、総合格闘技隆盛の現代に於いて、日本は格闘王国となっていたに違いない、とひしひし感じる。 

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