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ディオニュソスの蛹 の商品レビュー

3.5

15件のお客様レビュー

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2019/12/09

 真実の空間で、すべてが一つになる恍惚の中。  黄金の双子が、痛みと祈りの物語を描き始める。 (P.165)  感じろ。ありのままの己を。  感じろ。魂の衝動を。  それだけが、従うべき唯一の神だ。 (P.296)

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2019/11/15

美しい双子の姉弟の禁断の愛、血塗られた神話の迷宮、血の絆を持たない男だけの一族、奇蹟の治癒絵画……幾重にも折り重なった物語はそれ自体が壮大な神話のよう。愛し、傷付き、憎み、だけれども慈しむことをやまない、宿命の糸で繋がったアルカンジェロ、レオン、スール。芸術を通して傷む心を癒し、...

美しい双子の姉弟の禁断の愛、血塗られた神話の迷宮、血の絆を持たない男だけの一族、奇蹟の治癒絵画……幾重にも折り重なった物語はそれ自体が壮大な神話のよう。愛し、傷付き、憎み、だけれども慈しむことをやまない、宿命の糸で繋がったアルカンジェロ、レオン、スール。芸術を通して傷む心を癒し、愛を知る彼等。アートは美しい祈りだ。耽美な作風は小島てるみさんならでは。最後の方は思わず涙ぐんでしまった。

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2019/01/13
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※このレビューにはネタバレを含みます

鮮烈なデビュー作2冊からもう10年たってるのか。この本が出たのももう4年前、長いこと存在を知らなくて、買ってからもしばらく積んでた。 …6年おきに出るならそろそろ新作出たりしない? なんか、とろりと濃くて、良い本でした。 叔父さんが良い人だな。 しかし。 読み始めてすぐに「あ、読み方間違えちゃった」と思った。 「外国が舞台のお洒落系BLだー」みたいな気分になってしまったから。「わー、そしてインセスト含むー中学生の私の妄想かー」みたいな。一度そういう気分になると、どんなにシリアスでも濃密でも幻想的でもなかなか抜けられない。 シリアスで濃密で幻想的なファンタジーBL読んでる気分にはなるかもしれないけれど。 私の頭の中で「キラキラ系」と言う大きな(とても大きな)箱に入れてる作家がいて最近読んでない長野まゆみとか、2、3作しか読んでないけどタニス・リーとか、さらに1作しか読んでないと思う皆川博子とか、津原泰水 とか。あと、小島てるみも。 (ファンの人たちは、全然違う!って思うかもしれないけれど、何しろ大きな箱なので。箱の中に仕切りが必要なのかもしれない) このキラキラ系の作品で男性同士があれすると、私はBL読んでる気持ちになるのです。 別にBLとして読んだからと言って、誰が困る訳でもないんですが。誰にもばれないし、怒られない。 ただ、それ、私が損してるんじゃないかな?って。 そんな気分で、気持ちで読んでると、本来楽しめたはずの何かを取りこぼしてるんじゃないのかなって。 まあ、「本来の読み方」とかないと思いますけど。 読書のお作法。ある?

Posted byブクログ

2018/01/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

待ちに待った小嶋てるみの新作。 発売後間も無く序盤を読み、お耽美系のBLかと思い落胆、放置していた。 それから数年の間、表紙の痛切な表情の牛を思い出しては気になっていたが、今日ついに読み終えることができたので、感想を書く。 やはりBLだった。 氏の今までの2冊の主人公はどちらもギリギリBLになりそうでならなかった素晴らしい作品と記憶しているが、これは序盤から危惧していた通りのBLだと思う。 最後まで読むことができたのは、裏の物語があったからだ。 現実と神話と過去が織り交ざり、次第に解き明かされる経緯に涙する場面もあった。 死ぬために生まれる神、双子の悲恋に惹きつけられ、最後まで一気読みしたが、強引な展開が散見されたのが残念。(良く言えば必然的、運命的だが) アートセラピーという言葉を初めて聞いたが良いイメージが持てず、そんな胡散臭いものによく瞬時に没入できるなと傍観する体で読んでいた。 レオンが迷宮の子供を抱きしめるシーンは、インナーチャイルドのセラピーによく似ていた。 自分は「インナーチャイルドはおままごと」にしか思えないので、ここでもやっぱり共感できなかった。非常にアニメ的な絵面だなとは思った。 あと「現実の」キャラ達がいまいちしっくりこなかった。 アルカンジェロは不良設定いるか?と思うくらい素直な良い子で滅茶苦茶ウブだし、 レオンは文句たれながらアートセラピーに積極的に参加しているし、初めから大天使にホの字だし。 神話や双子の設定は濃いが、主役と思われる二人は、中身が語るほどなくガワだけという感じが否めない。 スールの方がキャラが立っていると思うくらいだ。 タイトルの蛹という言葉通り、中身はこれから作り上げていくということだろうか。 なぜ耽美系BLと思ったか ・登場人物ほとんどが容姿端麗である ・なんか神話が出てくる ・西洋人 ・男の魅力を女に例える表現 ・初めは不仲だけど実は好き同士なのがばればれ

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2017/01/19

うーん、そうきたか!と途中で唸った。読み終わった後では、無くはないストーリーだと気付くけれど、読んでいる最中は神々しくて(神話絡んでるし)「ほおお!」となった。難解すぎてよく分からない描写もあったので再読しないと。神話部分もう少し簡潔だと良かったかな(汗)小島てるみさん、素晴らし...

うーん、そうきたか!と途中で唸った。読み終わった後では、無くはないストーリーだと気付くけれど、読んでいる最中は神々しくて(神話絡んでるし)「ほおお!」となった。難解すぎてよく分からない描写もあったので再読しないと。神話部分もう少し簡潔だと良かったかな(汗)小島てるみさん、素晴らしいです。

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2016/05/31

私の中で無条件に作家買いしてる一人。小島てるみさん。 読書をする人なら感じた事がある人もいるかもしれない。時たま、読んでる途中で、本の中に引き込まれて恍惚感を感じる事すらある程の本に出会う事がある。文体、物語、リズム人それぞれだと思うけれど私の中で小島さんの作品はそのどれもに得...

私の中で無条件に作家買いしてる一人。小島てるみさん。 読書をする人なら感じた事がある人もいるかもしれない。時たま、読んでる途中で、本の中に引き込まれて恍惚感を感じる事すらある程の本に出会う事がある。文体、物語、リズム人それぞれだと思うけれど私の中で小島さんの作品はそのどれもに得も言われぬ恍惚感を感じた。文体も物語もリズムも全てに。 ほんとうにピッタリハマる感じがする。 物語の完成度とか、文体の妙とか冷静な批評の仕方は色々あるけど、感覚に訴えかけてくる。そうとしか言いようが無い。だって読んでると本当に気持ちが良いんだもの。 アニミズム的な生命の奔流のエロス。善や悪とは関係なしにそれが一つの本質で真実だと踊り狂いながら突きつけられる感じ。

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2021/07/31
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※このレビューにはネタバレを含みます

アルカンジェロは父の弟のスールから父が死んだこと、自分には兄がいること、いつでも訪ねてきてほしいという内容の手紙を受け取る。各地を転々としていた母ミモザに手紙が届くよう、スールは彼女が敬愛するシスターへと手紙を託した。そしてそれは五年前にミモザを亡くしたアルカンジェロへと手渡された。彼は一度失った家族というつながりを求めて彼らのもとを訪ねる。 そこで出会うのは、ミューズのような美しさをもったミモザと同じ姿の兄・レオンの暗く重い憎悪のように熟れた母への愛と、血を介さない男系一族セロの愛のつながり、母の中で血を噴き続けた過去の出来事。スールの勧めで滞在中に始めた兄とのカラーセラピーの中で目覚め、力強く呼吸を始めた月の女神アリアドネと獣神ミノタウロスの物語。アルカンジェロの胸に浮かんだ赤い三日月の傷が放つ想いが届く時、彼の物語もまた始まっていた。 この本が出版された時から心躍らせてページをめくる時を待っていた本。 美しい装丁に負けない美しく生生しい愛の物語でした。

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2015/02/26

神話がベースと聞いて読みにくさを覚悟していたら、意外にもラノベみたいな読みやすさ。近親相姦・BLの背徳感に神話の神秘性、更に絵画の芸術性やアートセラピーなどが加わり、盛り沢山でお買い得感あり。バランスよくまとまっていて読後に満足感はあるが、個人的には無理にアリアドネに繋げず、黄金...

神話がベースと聞いて読みにくさを覚悟していたら、意外にもラノベみたいな読みやすさ。近親相姦・BLの背徳感に神話の神秘性、更に絵画の芸術性やアートセラピーなどが加わり、盛り沢山でお買い得感あり。バランスよくまとまっていて読後に満足感はあるが、個人的には無理にアリアドネに繋げず、黄金の双子の物語を濃密に展開して欲しかった。あと皆さん仰るように、レオンのデレがちと早すぎ。

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2014/12/11

うーん。身も蓋もなくいうと「自分には合わなかった」。ヘルマフロディテは感じるものがあったんだけどな… 壮大なトラウマの克服?レオンが割とあっさり回復して、これからどうなるんだろうと思っていたら双子の話で大半が占められ、兄弟はもう結末に入るんかい!とツッコミ。レオンが弟の翼を瞬時に...

うーん。身も蓋もなくいうと「自分には合わなかった」。ヘルマフロディテは感じるものがあったんだけどな… 壮大なトラウマの克服?レオンが割とあっさり回復して、これからどうなるんだろうと思っていたら双子の話で大半が占められ、兄弟はもう結末に入るんかい!とツッコミ。レオンが弟の翼を瞬時にもぎとったので「お、おう…」ってなった。 神話や芸術を知ってたらもっと親しめたかも。しかし、境界を越えるというテーマを持つ作者さんに枠で縛るようなことを書くのも気がひけるけど、「小説」っぽくないのが1番の原因だろうか。

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2014/12/04

かなり良かった!! 耽美っぽいといわれればどことなくBL感もありますが……そういうの好きな方はぜひ!! スールおじさんが泣けるんだ……

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