波形の声 の商品レビュー
「傍聞き」がとても良かったのでこちらも手に取ってみました。同じように30〜50ページほどの短編集なのですがこちらの方が人の心の闇に切り込んでいる印象を受けました。「黒白の暦」や「準備室」などはそれに加えて主人公視点で同じように考えて同じように思いがけない驚きを受けたのでまるで自分...
「傍聞き」がとても良かったのでこちらも手に取ってみました。同じように30〜50ページほどの短編集なのですがこちらの方が人の心の闇に切り込んでいる印象を受けました。「黒白の暦」や「準備室」などはそれに加えて主人公視点で同じように考えて同じように思いがけない驚きを受けたのでまるで自分自身の心の闇を暴かれたような気がして後味がとても苦いものとなりました。「傍聞き」の方が好みですが、こちらも7編もあるのにどれもちゃんと伏線を回収する謎解きになっていて人々の心まできちんと読ませてくれるところはさすがです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
*小学校四年生の中尾文吾が自宅で襲われた。補助教員の谷村梢は文吾から、スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢は……。人間の悪意をとことん見据えたまなざし、心温まるどんでん返し、そして切なさはビターに!奥の深い長岡ミステリー最新作7篇! * どのお話も、ぴりりとスパイスが効いています。よくもまあこんな謎解き思い付くな…といつもながら感服です。 特に良かったのは、ハガニアの霧。スピード感があってぐいぐい引き込まれますが、ちょっと意外な展開になり、ラストの、やるせなくあたたかい寂寥感がなんとも言えない作品でした。
Posted by
「日常の謎」を描くミステリー短編集。 「波形の声」:小学校四年生の中尾文吾が自宅で襲われた。補助教員の谷村梢は文吾から、スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢。声の謎は補助教員期間終了間...
「日常の謎」を描くミステリー短編集。 「波形の声」:小学校四年生の中尾文吾が自宅で襲われた。補助教員の谷村梢は文吾から、スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢。声の謎は補助教員期間終了間際の梢のための寄せ書きの裏に声の波形をカッターで刻み、なぞる事で再生するようにしかけの途中だった。その中に梢の同僚教師の服に間違って入ってしまった梢の携帯の着信音が含まれ、犯人が判明した。 「宿敵」:向かい合わせの同級生の老人二人と互いの息子の嫁。向かいの嫁の見栄があった。 「わけありの街」:殺された息子のアパートを借りた母。犯人を見つけたが他の被害者に配慮。 「暗闇の蚊」:獣医の近くに住む元準々ミス日本。世間から失踪したのは二億円横領のためだった。 「黒白の暦」:暴言を吐いた後、客に会ったのはライバル一人。渡した名刺は自分のものだった。 「準備室」:自分の子供が職場見学。息子がいじめで苦しんだ上司は敢えて上下関係が分からないように。 「ハガニアの霧」:有名画家の1枚を持っていた息子が自作自演の誘拐劇で2枚を処分させた。
Posted by
44:単なる「いい話」で終わらせない、ピリッと薬味の効いた短編集。あまりに一筋縄ではいかない(=物語があって主人公が不当な目にあって、でも最後はカタルシス! というのではない)物語ばかりで、ちょっとしんどいなあと思ったけど、それはつまり裏返せば人物がきちんと描けているということ。...
44:単なる「いい話」で終わらせない、ピリッと薬味の効いた短編集。あまりに一筋縄ではいかない(=物語があって主人公が不当な目にあって、でも最後はカタルシス! というのではない)物語ばかりで、ちょっとしんどいなあと思ったけど、それはつまり裏返せば人物がきちんと描けているということ。渋いなー。
Posted by
ミステリー短編集です。 はー!なるほどねー!となるものから、それはさすがに無理無理では?ってものまで。 読み手の目線と少しずらせば、全く違う角度の顛末がある。 中でもいくつか、思いやりゆえに起こった話には胸が熱くなりました。
Posted by
波形の声 宿敵 わけありの街 暗闇の蚊 黒白の暦 準備室 ハガニアの霧 一気に著者の本を読んでいるせいか、少し物足りなさを感じ始めてしまった。 少し、腑に落ちない展開の話もあり、ちょっと物足りない。
Posted by
#読了。短編集。 トリックのアイディアにはさすがと思わせられるが、読後感が決して良いものではない。これは、誰しもが持っているだろう悪意のような感情にはっとさせられるからだろう。
Posted by
『教場』から引っ張られて手にとってみた。 期待値が高すぎたのか、割りと興奮することもなく、 するっと読み終わる。 それは、いいことなのか、悪いことなのか・・・ 短編集ということで全部が全部、評価はできないが 中には面白いものもある。という短編集らしい後味でした。
Posted by
長岡弘樹さんの本は【教場】に次いで2冊目。 ミステリー短編集。 とても読みやすく、一気読み。 7編のうち、タイトルにもなっている『波形の声』は特に面白かった。 蟹が横歩きではなく前進した謎は「なるほど~!」と。 後編2編がいまいち好みではなく… ☆3つとなりました。
Posted by
長沢弘樹の短編集。 人間の心理の隙を突いた、著者が得意なミステリの詰め合わせ。 だが、初期の頃の方がキレがあった印象。 少しライトで、オチも読めてしまう。淡々と、特に印象も残さず読み終えてしまった。 横山秀夫くらいのクオリティを期待したい。 3-
Posted by