川あかり の商品レビュー
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解説 文芸評論家島内景ニ 何度泣いたことか。何度笑ったことか。そして何度泣き笑いしたことか。逆につけて、笑うにつけ、胸が激しく締め付けられる 読者も明日からは伊藤七十郎のように、豊かな人間関係を作っていける。いや自然と、人間関係は自分の周りに形成されていく。なぜならあなたは川あかりを読んだのだから。そして、人生の悲しさや愛しさを知ったのだから
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軽いほのぼの系の時代物です。藩で一番の臆病者と自他ともに許す伊東七十郎に刺客の密命が下される。長雨で川止めに遭い、閉ざされた木賃宿でいやいや出逢った有象無象の面々と過ごしているうちに何だか気持ちが通い始める七十郎。さて名うての相手に対し無事に務めを果たすことは叶うのか? 最後まで...
軽いほのぼの系の時代物です。藩で一番の臆病者と自他ともに許す伊東七十郎に刺客の密命が下される。長雨で川止めに遭い、閉ざされた木賃宿でいやいや出逢った有象無象の面々と過ごしているうちに何だか気持ちが通い始める七十郎。さて名うての相手に対し無事に務めを果たすことは叶うのか? 最後までけっこう情けない七十郎の活躍や如何に❔❗
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内容(「BOOK」データベースより) 川止めで途方に暮れている若侍、伊東七十郎。藩で一番の臆病者と言われる彼が命じられたのは、派閥争いの渦中にある家老の暗殺。家老が江戸から国に入る前を討つ。相手はすでに対岸まで来ているはずだ。木賃宿に逗留し川明けを待つ間、相部屋となったのは一癖も...
内容(「BOOK」データベースより) 川止めで途方に暮れている若侍、伊東七十郎。藩で一番の臆病者と言われる彼が命じられたのは、派閥争いの渦中にある家老の暗殺。家老が江戸から国に入る前を討つ。相手はすでに対岸まで来ているはずだ。木賃宿に逗留し川明けを待つ間、相部屋となったのは一癖も二癖もある連中ばかりで油断がならない。さらには降って湧いたような災難までつづき、気弱な七十郎の心は千々に乱れる。そして、その時がやってきた―。武士として生きることの覚悟と矜持が胸を打つ、涙と笑いの傑作時代小説。 令和2年3月14日~16日
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綾瀬藩に仕える侍、伊東七十郎18歳は、藩で一番の臆病者であり、若侍たちの立てこもりに参加しなかったのがきっかけで、元勘定奉行の増田惣右衛門に、甘利典膳の刺客を命ぜられます。 そのかわり、稲垣家の娘の美祢17歳を妻にめとらせると言われますが、七十郎は美祢の意中の人物は立てこもりに参加している桜井市之進であることを知っており、それは美祢に直接断り、刺客として出発しますが、途中で川止めにあいます。 そこで、木賃宿に宿泊し、牢人の佐々豪右衛門、坊主の徳元、猿回しの弥之助、鳥追いのお若、千吉という若者に出会います。そして、親を亡くしたおさとと、五郎のの姉弟がその祖父の薬代を払えずに困っているのを助けることになります。 七十郎はそこでも臆病者扱いをされますが、とある事件がきっかけに皆から見直され、訪ねてきたお美祢からも「私は、今まで人を見る目がなかった」と告白されます。 一方、木賃宿の五人は、実は流れ星という名を持つ訳ありの窃盗集団であったことがわかります。おさとと五郎を含めた八人は以前、同じ村で生活をしていた仲間たちだったのです。 とうとう川止めが終わり七十郎の刺客としての決戦の日がやってきますが…。 読んでいくうちに、流れ星の面々のキャラクターがよくわかり、心根の優しい為に人を殺められない七十郎とともに愛おしく感じられ、仲間たちとのやり取りがとても楽しかったです。 お若さんと七十郎は、その後どうなったのかが、気になるところです。
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「蜩の記」からしばらくたってこの本を見つけた。「読むべし!!」と思って図書館にリクエストしていたら忘れる頃になってやっと順番が来た。 最近口癖になってしまった「べしべし言葉」はドラマ「猫侍」を録画までして見た後遺症だ。 猫は可愛い。猫語も少しわかってきたら余計可愛いヾ(〃^∇^...
「蜩の記」からしばらくたってこの本を見つけた。「読むべし!!」と思って図書館にリクエストしていたら忘れる頃になってやっと順番が来た。 最近口癖になってしまった「べしべし言葉」はドラマ「猫侍」を録画までして見た後遺症だ。 猫は可愛い。猫語も少しわかってきたら余計可愛いヾ(〃^∇^)ノ でも猫には「食べるべしネ」と 優しく言う(^^) 「川あかり」・・・ 陽がおちて、あたりに夕闇が迫る頃になっても川の流れだけが白々と見通されることをいう、 とか。 蛍の出る頃や花火を待つころ、あまり外に出ない時間に見た白い川を思い出した。「川あかり」というのか。 何にでも名前があるが、ただの呼び名の無機質な響きとはちがう、余韻のある言葉を選んだ作者の思いが伝わってくる。 ・・・ 主人公の七十郎は18歳。藩きっての臆病者だといわれている。 昨今の藩の窮乏は、江戸表にいる家老が大阪商人と癒着し私腹を肥やしているせいだという。 その家老が帰藩することになりその前に「斬るべし」という命がくだって、油断を誘うために七十郎を刺客にということになった。 川の手前まで来ると、雨が続き川止めになる。「雨上がる」のシーンを思い出すところ。 同宿は、貧しい小屋(木賃宿)に逃げ込んだその日暮らしの面々だった。一人ひとりは非常に胡散臭い。 だが何日も降り込められると自然に情も湧き、それぞれの持っている過去や、身分制度に裏打ちされた悲惨な運命の話にも身がいるようになる。 七十郎が上意討ちの刺客だということを知られた時には、みんなは臆病で刀もろくに使えそうも無いこのお人よしがどうなるものかと思う。 ただ誠実にまっすぐな生き方が、小屋の仲間を援けたり、病人のためになけなしの路銀を吐き出したりしているうちに、宿の得体の知れない人々の意識を少しずつ替えていく。 彼は、剣術はからっきし駄目で、指南した父も匙を投げるほどであったが、ある秘儀は伝えられていた。 それを宿の仲間を援けるために使うことはあったが、家老討ちには、体ごと真正面からぶつかって命をかけようと決心していた。 川止めが解け、家老が6人の護衛とともに渡ってくる。 決戦の日、彼は覚悟をして足を踏み出し、仲間が無事を祈って見守っている。 ・・・ と、とんとんとテンポ良く話が進み、七十郎の人となりが、降り続く雨のように心に沁みてくる。いつ川止めが解けて彼はどうするのか、想像はむつかしくないが、そこがいい。裏切られない誠実さと、話運びのたくみさ、人物描写のあたたかさが、良質の作品になっている。
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面白かった! 正直、マンガライクなエンターテイメントストーリ(笑) 本作の主人公は、藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。剣術も苦手な人物。 その七十郎は、派閥争いの渦中にある家老の暗殺を命じられます。 家老が江戸から帰るところを討つわけですが、長雨で川止めに。そこで、木賃宿で...
面白かった! 正直、マンガライクなエンターテイメントストーリ(笑) 本作の主人公は、藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。剣術も苦手な人物。 その七十郎は、派閥争いの渦中にある家老の暗殺を命じられます。 家老が江戸から帰るところを討つわけですが、長雨で川止めに。そこで、木賃宿で川明け待つことに.. しかし、その相部屋では、一癖も二癖もある連中ばかり。とりわけ、あやしい5人組。浪人だったり、お坊様だったり、猿回しをしているものだったり、妖艶な姉さんだったり、ヤクザ者だったり.. この5人と七十郎の関係が深まっていくところが素晴らしい 七十郎の臆病さ、だめさ加減が川止めの間に起こるさまざまな出来事で印象付けられます。 一方で、七十郎の武士としての矜持も描かれます。 そして、いよいよ川明けとなり、七十郎は家老を斬ることが出来るのか? といった展開です。 本物の勇気 大切なひとを守ろうとする気持ち それが最後、ヒシヒシと伝わってくる物語です 文左衛門の台詞にあついものが込み上げます。 「大切にせねばならぬ者のことを何と呼ぶか存じておるか」 「わかりませぬ。教えてください」 「友だ」 しびれる.... とってもお勧め
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人は窮地に陥った時にこそ、真価が問われるという。ちょっと変わった人物造形と展開でしたが、表層的なことではない、人として大切なものを描いた作品ですね。藩一番の臆病者であるはずの主人公、七十郎。窮地に陥った彼に何が訪れるか…楽しく惹き込まれましたよ。満足です
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藩で一番の臆病者といわれているのに、刺客を命ぜられてしまった。伊東七十郎。 雨の影響で川止めになっている間逗留する事になった木賃宿では、クセが強すぎる面々と相部屋になってしまい、今後が思いやられる・・という、ところから話は始まります。 話が進むうちに、相部屋になった一見めんどくさ...
藩で一番の臆病者といわれているのに、刺客を命ぜられてしまった。伊東七十郎。 雨の影響で川止めになっている間逗留する事になった木賃宿では、クセが強すぎる面々と相部屋になってしまい、今後が思いやられる・・という、ところから話は始まります。 話が進むうちに、相部屋になった一見めんどくさそうな面々も、実はとある事情を背負っている事が明らかになり、彼らと七十郎との妙な絆が生まれていく過程が良いですね。 七十郎も決してただの臆病者ではなく、人として大切なものをしっかり持っている若者なのです。 読んだ後は、心が温かいものに満たされるような、そんな気持ちになりました。
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藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。カエルが顔に飛んできただけで腰を抜かし頭を打つ。しかも、そのカエルを可愛そうだと殺すことも出来ない。 青年武士たちが藩政改革を唱え立ち上がっても、「怖いから」と参加出来ない。 そんな彼に与えられたのが「刺客」としての密命。 権力闘争に巻...
藩で一番の臆病者と言われる伊東七十郎。カエルが顔に飛んできただけで腰を抜かし頭を打つ。しかも、そのカエルを可愛そうだと殺すことも出来ない。 青年武士たちが藩政改革を唱え立ち上がっても、「怖いから」と参加出来ない。 そんな彼に与えられたのが「刺客」としての密命。 権力闘争に巻き込まれ、無理難題を押し付けられる。 青年を利用する指導者は醜い。 川止めにより、一癖も二癖もある連中と関わりあいを持たざるを得なくなる七十郎。 トラブルに巻き込まれ、必死にそれに立ち向かっていく中で、彼は自分でも気づかない「宝」を見つけていく。 それは自分の中にもあり、すぐ目の前にもある。だが、なかなか気づくことは出来ない。 他人なれども語らひぬれば命にも替わるぞかし。 人のために火をともせば、我が前明らかなるがごとし。 同窓の先輩が薦めてくださった力作に偽りなし。 図書館で借りたが、読了後購入。 人は誰かのために生きる時、無限の力が発揮出来るの。 宿命すら乗り越えていけるのだ。
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勧められて読んでみた。勧めてくれた人には悪いけど、前から私とは好みが違うなぁと思ってたから、あまり期待せずに読んでみた。 藩で一番の臆病者の主人公 七十郎がどういうわけか、刺客に命じられて死を覚悟しながら赴けば、悪天候続きで討つべき相手が川止めでボロボロの木賃宿に投宿することに。...
勧められて読んでみた。勧めてくれた人には悪いけど、前から私とは好みが違うなぁと思ってたから、あまり期待せずに読んでみた。 藩で一番の臆病者の主人公 七十郎がどういうわけか、刺客に命じられて死を覚悟しながら赴けば、悪天候続きで討つべき相手が川止めでボロボロの木賃宿に投宿することに。 そこで出会うわけありな人々に最初は反発しながらも、遂には深く信頼しあい、友となる。 途中まではあんまりページが進まなかったけど、中盤からはすごく良くなった。 心に沁みるシーンがいくつもあり、特に明日には川明けで、刺客としての使命を果たす=死ぬ事になる夜、寝付けない七十郎とお若のやり取りがいい。 葉室麟さんは初めて読んだけど、他のも読んでみたくなった。
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