生存者ゼロ の商品レビュー
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北海道根室半島沖に浮かぶ石油掘削基地で職員全員が無残な死体となって発見された。陸上自衛官三等陸佐の廻田と感染症学者の富樫らは、政府から被害拡大を阻止するよう命じられる。しかし、ある法則を見出したときには、すでに北海道本島で同じ惨劇が起きていた―。(by amazon) ミステリとかSFとかホラーとかのくくりがよくわからない。とにかくとんでもなく発症が早い新種のウイルスが見つかったのに、対応が後手後手でえらいことになって、我が愛する北海道が蹂躙されまくる物語。作者は北海道になにか恨みでも?地元に迫ってくるし知ってる地名たくさん出てビクビクしたわよ? まさかウイルスの正体がアリだとは思わなかった。結構グロい描写も多いけれど、先が気になり、この厚さでもグイグイ読めた。薬中冨樫が安定剤を飲んだ時だけ善良な家族を愛する元の冨樫に戻るのが切ない。 廻田の悲痛で真直ぐな正義の気持ちや、医務官広瀬の温かくて熱い言葉など、魅力的な登場人物が最後に結託していくのは良かった。 う●こぶつけて蟻塚に放り込みたくなる「民政党」の政治家の面々は、あの政党がモデルなのかな。「事件後、自由党が政権を【奪還】し」とあるところからも…。本当に日和見のバカしかいないので、フィクションですが、読みながらプンプンでした。 あと鹿瀬。こいつが多分全ての現況。ホカホカの生首を妾の前にもお持ち。冨樫がおかしくならなければ、もっといろいろ早く解決した気がするので、ホント、鹿瀬も蟻塚に差し込む。まじで。 読み直す気はしないけれど、シリーズを追いかけたくなっている自分がいます。
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「このミス大賞」の2012年の受賞作品だけに、2011年に起こった大災害時の政府対応を彷彿とさせる痛烈な皮肉が一つの読みどころ。 また、折しも今、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の一件を予見したような展開の、ムネが苦しくなるような緊迫感。そして科学的バックグラウンドの説得力。...
「このミス大賞」の2012年の受賞作品だけに、2011年に起こった大災害時の政府対応を彷彿とさせる痛烈な皮肉が一つの読みどころ。 また、折しも今、西アフリカで流行しているエボラ出血熱の一件を予見したような展開の、ムネが苦しくなるような緊迫感。そして科学的バックグラウンドの説得力。 人物描写がやや表層的だったり、感染症学者が天才すぎたり、登場人物のせりふ回し(説明)が妙にくどかったりといったキライはあったものの、サスガ受賞作の満足感がありました。 いやあしかし、札幌の運命たるや・・・(笑)。
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正体不明の厄災が襲いかかるパンデミックミステリ。話のスケールは大きく、文章はシンプルながらも鬼気迫る筆力で、テンポも申し分ない。ただ、パンデミックというジャンルの性質上、序盤から中盤にかけては事態の混乱が多く、そこは登場人物のエピソードで埋められているものの、災厄の正体が明らかに...
正体不明の厄災が襲いかかるパンデミックミステリ。話のスケールは大きく、文章はシンプルながらも鬼気迫る筆力で、テンポも申し分ない。ただ、パンデミックというジャンルの性質上、序盤から中盤にかけては事態の混乱が多く、そこは登場人物のエピソードで埋められているものの、災厄の正体が明らかになる中盤までは若干退屈に感じてしまう。あと、構造上の欠陥として、関わるのが市井の人々ではなく特殊な立ち位置の人間ばかりというのも共感の面では少し弱く感じる。それでもキャラクターは面白く描けてはいるが、市井の人々のパンデミックに対する様子や被害が広がるにつれての世間の反応などが、事後報告めいた背景説明程度で終わっているのは残念に思った。あと悪役を民主党モデルの政党にした部分や、震災時の対応などをパンデミックのモチーフにしたのは好みが分かれる所。これは高野和明の『ジェノサイド』もそうだが、政治色を入れなければジェットコースター小説を書けないのかと勘ぐってしまう。前述の作品は左、この作品は右であるが、はっきり言ってどちらも底が浅く、床屋政談クラスを出ていない。著者の浅はかな政治思想を入れるぐらいなら純粋なエンタメで勝負して欲しかったし、あまりにも政界が無能過ぎて逆にリアリティに欠けるように感じた。ただそれを除けば、リーダビリティは高く一気に読めるのは中々のものです。
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災害危機管理ものという点ではシン・ゴジラにも似た雰囲気だが、言葉遣いや展開、政府の意思決定などのリアリティは薄い。
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冒頭に登場させた細菌学者・富樫の家族の死、そして後悔と絶望による変貌。続いて北海道沖の石油採掘基地の異変に派遣された自衛官・廻田が巻き込まれる運命。この二本の軸をうまく連動させたパニック小説だった。NBC災害というミスリードから、読者に災害の原因が知らされても、まだ1/3ほどペー...
冒頭に登場させた細菌学者・富樫の家族の死、そして後悔と絶望による変貌。続いて北海道沖の石油採掘基地の異変に派遣された自衛官・廻田が巻き込まれる運命。この二本の軸をうまく連動させたパニック小説だった。NBC災害というミスリードから、読者に災害の原因が知らされても、まだ1/3ほどページが残っているのだが、そこからは怒涛の展開。体内に入り込んだ生物が最初の段階で発見されないという違和感はあるが、それでも面白かった。
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2012年 このミステリーがすごい大賞 大賞受賞作品。デビュー作でこの作品とは、かなりインパクトあります。 エボラ出血熱のパンデミックと、東日本大震災と、パニック映画をミックスしたような、映像が目に浮かぶ本でした。 北海道沖の石油採掘プラットフォームに駆けつけた自衛隊員が見たものは職員全員の惨たらしい死体だった。 ウィルスが原因と考えた政府は、元気鋭の感染症学者に協力を要請。調査を開始する。 次は道東のある街、次は道東全体と、新月の度に被害が拡大することにたどり着くが、その正体はまさかの〇〇であった。 後半は〇〇対人間の手に汗握る戦いが繰り広げられ、結末は。。。 続編もありそうな終わりも気になります。
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よくあるパンデミックものかと思ったら、意外な展開に。ただそこは帯で匂わせているので、その正体が気になってページを繰ったが、そんなこととは!でもある意味、パンデミックより恐ろしいかも。もうその意外性の勝ちだよね。エンタテインメントとしては楽しめるかと。
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安生正の「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。とても小さなことが日本を含む世界が大変なことになるパニック作品です。ストーリーはまぁまぁ面白いと思います。 映画化は無理かなって感じです。
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最後まで読ませる勢いのある作品。 (専門用語のとこはさらっと読み流したけど) そういう意味では、良い作品だと思う。 個人的には前半はすごくよかったけど、終盤は海外ドラマのような雰囲気になっていって…一気に質が落ちた感じがある。 そして黙示録やらの下りを盛り込んだせいで、なんだ...
最後まで読ませる勢いのある作品。 (専門用語のとこはさらっと読み流したけど) そういう意味では、良い作品だと思う。 個人的には前半はすごくよかったけど、終盤は海外ドラマのような雰囲気になっていって…一気に質が落ちた感じがある。 そして黙示録やらの下りを盛り込んだせいで、なんだか個々の登場人物が残念な感じになってしまったような気がする…そのあたりが惜しいなあと。
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はじめて読む作家さん。 自衛官がある施設での大量死に出会い、その原因との戦いの話。 あらすじはよくできていてすごく面白いのですが、なぜかページが進まない。 理由はわからないが、読みたいという気持ちがなかなか盛り上がってこなかったです。
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