穴 の商品レビュー
取り立てて暗いというわけでもないのに、短編の三話共に陰を感じる物語でした。 日常を描いているだけにしては不可解なことが起こり、ホラーと呼ぶほど恐ろしいわけでもなく、けれどなんだかよく分からない影がつきまとう。 読後、やや重い気分になる。
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色んな解釈ができるのが、純文学としてうけているのだろうか。不気味な感じはあるけど、特に何の感想も残らない。
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この言いようのない不安感はなんだろう。 さらっと日常が描かれているのに怖いのだ。 「穴」の義兄や子ども達、隣人、姑、みんな変である。 「いたちなく」「ゆきの宿」も然り、主人公の男性が妻と共に、新婚の友人宅にお呼ばれし、会話も弾み楽しく過ごしている場面も何か違和感を感じ、それが何な...
この言いようのない不安感はなんだろう。 さらっと日常が描かれているのに怖いのだ。 「穴」の義兄や子ども達、隣人、姑、みんな変である。 「いたちなく」「ゆきの宿」も然り、主人公の男性が妻と共に、新婚の友人宅にお呼ばれし、会話も弾み楽しく過ごしている場面も何か違和感を感じ、それが何なのかわからない。 でも、このホラーっぽい感じ好きだ。
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頭がクラクラ朦朧とする一夏。主人公は不思議の国のアリスのように朧な世界と現実との境を彷徨う。統合失調症を思わせる倒錯と非現実が、何かとんでもないことが起きるのではとの不安を煽る。思わせぶりな恐怖がじわじわ底を這うように迫ってくる。穴の正体は何なのか、最後まで明かされることはない。...
頭がクラクラ朦朧とする一夏。主人公は不思議の国のアリスのように朧な世界と現実との境を彷徨う。統合失調症を思わせる倒錯と非現実が、何かとんでもないことが起きるのではとの不安を煽る。思わせぶりな恐怖がじわじわ底を這うように迫ってくる。穴の正体は何なのか、最後まで明かされることはない。どこから何の光が差しているのか、水面に微かに立つ小さな波の形が次々形を変えながら途切れない。正社員と同じ仕事をしてポチ袋。非正規なのに社畜。正社員なら対等に言えるのか。このまま非正規で結婚もせずズルズル先延ばしにしていいのか。そんなのは絶対いやだけどどうすれば良いのか。手触りのある幽幻世界が現代の世相を鮮やかに抉り出す。
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芥川賞の文体は、私には読みづらいものが多いが、この本は読みやすく、のめり込む。後味引く終わり方で、その度に見えない日常に背筋が寒くなる。 夫の転勤のため、派遣社員をやめ、専業主婦になった主人公。これまでの日常、常識とかけ離れた生活に違和感を感じ、なじめない中で、いつの間にか異世...
芥川賞の文体は、私には読みづらいものが多いが、この本は読みやすく、のめり込む。後味引く終わり方で、その度に見えない日常に背筋が寒くなる。 夫の転勤のため、派遣社員をやめ、専業主婦になった主人公。これまでの日常、常識とかけ離れた生活に違和感を感じ、なじめない中で、いつの間にか異世界に入り込む。何が正しく、何がこの世のものでないのか分からない。静かに、ゆっくりと周囲が歪み、狂っていく。いや、自分だけが、エアポケットに入り込んでいるのかさえ、分からない。 ほか二作含め、最後まで真相は闇に包まれたままなのが、なんとも言えない後味なんだなぁ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
3つの短編からなっているのだが、2つ目と3つ目は同じ「洋子」が出て来て、1つの物語の章ちがいとも解釈できる。真ん中の「いたちなく」以外は、なんだか村上春樹の小説のように、抽象的で読者に解釈をゆだねているように思えた。
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「穴」「いたちなく」「雪の宿」の三編入り。「穴」は他の二編に比較して起承転結が割合はっきりしていて、なのに何も起こっていないような不思議さが漂う。 よくわからない獣、穴、謎の義兄。田舎道。子供たち。主人公は夫の都合で田舎に越してきた専業主婦。たぶん描写から察するに今私が住んでいる...
「穴」「いたちなく」「雪の宿」の三編入り。「穴」は他の二編に比較して起承転結が割合はっきりしていて、なのに何も起こっていないような不思議さが漂う。 よくわからない獣、穴、謎の義兄。田舎道。子供たち。主人公は夫の都合で田舎に越してきた専業主婦。たぶん描写から察するに今私が住んでいるところよりもはるかに田舎なんだけど、5大都市とか6大都市といわれる街で育った人間からすると田舎って本当に「異界」なんだよなー。その感じがよく出ていると思った。 「いたちなく」「雪の宿」は起と結しかないような作品なんだけど、「結」が見事。というかこれで「結」来るんだーと、久々に構成を気にしながら読んだ作品かもしれない。
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芥川賞作品の穴を含めて短編三作品掲載。穴が一番不気味な雰囲気なんだけど、どれもこれも暗〜い雰囲気の作品でした。子供のいない夫婦、片田舎、非正規雇用、などなど、リアルな現代の中に不気味な非日常が潜んでいるような作品で、引き込まれる作品だとは思うけど、だから、という印象。純文学はよく...
芥川賞作品の穴を含めて短編三作品掲載。穴が一番不気味な雰囲気なんだけど、どれもこれも暗〜い雰囲気の作品でした。子供のいない夫婦、片田舎、非正規雇用、などなど、リアルな現代の中に不気味な非日常が潜んでいるような作品で、引き込まれる作品だとは思うけど、だから、という印象。純文学はよく分からん。
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芥川賞受賞作品ということで借りて読んでみた。今までの受賞作とは違う表現だなと感じた。 獣を追っているうちに穴に落ちてしまった私(主人公)。落ち着かない風景が表現されているなと感じる。夏の暑さ、子供の声、獣のそわそわ感がより臨場感を掻き立てているなと思った。近隣の住民に助けられたが...
芥川賞受賞作品ということで借りて読んでみた。今までの受賞作とは違う表現だなと感じた。 獣を追っているうちに穴に落ちてしまった私(主人公)。落ち着かない風景が表現されているなと感じる。夏の暑さ、子供の声、獣のそわそわ感がより臨場感を掻き立てているなと思った。近隣の住民に助けられたが、獣からの不安が拭えない心情を表現しているのは芥川賞作品だなと感じる。「みんな見ないんですよ、見たくないものは見ない」という言葉がそれを物語っているなと感じた。 たんたんと過ぎていく日常が映し出されているが、どことなく現実味を感じない印象が残った。後半の2話の方が現実味を感じる作品だと感じる。
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不思議な魅力のあるお話でした。 しみじみと不安を感じたり、なんとなく幸せも感じたり。 もう一度読もうとは思わないけど、読んでよかったと思える本でした。
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