いつまでもショパン の商品レビュー
今回はピアノ曲の描写が特に多かった印象。ちょっと読み進めづらかった。 主人公が変わっていく様子が鮮明に書き出されていてワクワクした。
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ミステリーというよりも音楽表現の描写を楽しむという意味で素晴らしい作品です。文体が流れるように読み進められます。演奏時の描写は実際に耳にその音楽が流れてくるような楽しさがありました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
こんな人間がいてたまるものか。それが、最後まで読み終えて、頭を擡げた感想だった。 同じコンクールで競い合う仲間を、嫉妬や驕りなど微塵もなく、真っ当に称賛する。 自らも突発性難聴のせいで耳に苦痛を感じ倒れ込んでいた直後にも、友人の安否に考えが至るや否や全速力で友人のもとに駆け出す。 大切なコンクールの決勝の舞台で不運にも発作が起こっても、そのまま精神的に崩れることなく立て直し、自らがその場でなすべきことを判断し行動に移す。 確かな実力があるのに発作のせいでコンクールで結果が出せなかったにもかかわらず、気落ちすることも嘆くことも妬むこともせず、優勝者に賛辞を贈る。 そんな人間が、いるはずがない。それは人間として出来過ぎている、という域を通り越して、もはや人間的ではない。でも、わたしは、見習わなければならない。他人を心から思いやることのできる人間。でもやっぱり、どこか人間離れして見えてしまうけれど。 この前魔女は甦るを読んで作者の猟奇趣味を知ったけれど、その冷酷さはこの岬洋介シリーズにも表れている。マリーが目の前で死ぬこと。決勝で発作が起きること。優勝よりもしかしたら現実的な栄誉であろう、パキスタン大統領からの賛辞が、岬には届かないこと。岬が胸の裡を吐露する場面がないせいで、その冷酷さが強く醸し出される。優勝者のヤンでこそ覚えた、どこか、やり切れない納得し得ない感が、拭えない。大統領からの賛辞を聞かせてあげてもよかったじゃないか。それで岬があぁそうですかそれは良かった、と淡々と言ってみせようが構わない。彼にその事実が伝わるのと伝わらないのとでは大違いだ。…大違いなのは読み手だけで、岬本人には大した違いはないというのだろうか。 犯人は、ヴァインベルクが殺されたところで、薄々分かっていた。あの条件に当てはまりそうな人物は他にいなかったからだ。岬がきっと決勝の舞台で発作を起こして優勝を逃すだろうということも予想ができた。後者の予想が見事に当たったことが何とも口惜しい。 それでも岬が全員に握手を求めていた理由が最後に語られ、今回は捜査に全く参加しないのだなと思っていた矢先に岬が犯人を確保した展開はさすが。 今作は、岬洋介の人間離れした性質を知らしめる内容だった。 そして、岬洋介以外の要素にも触れておきたい。 つい先日読んだ魔女は甦るが発売されたのは2011年。脱法ドラッグがテーマの一つとして取り上げられている。現代にマッチしたテーマであり、わたしにとってはその恐ろしさを知る端緒となった。 今回のいつまでもショパンが発売されたのは2013年。こちらはアルカイダによるテロが取り上げられている。正直難しい部分も少しあり、急に描かれる戦場シーンに少しばかり戸惑いもあったが、穏やかな街なかで突然起こる無差別的テロは脅威でしかなく、こちらはその恐ろしさを知るというよりは、このような脅威が如何に身近に存在しているかを知る端緒となったように思う。恐ろしさをまざまざと残酷に描き出すというよりは、なんとあっけなく、前触れもなく起こるものなのか、という絶望だ。ちょうどこの感想を書いている今日の朝、トルコの観光地で起こったテロにより、十名ほどの死者が出たとのニュースがあった。わたしも訪れたことのある観光地だ。いつか、日本でもこのような事件が起こってしまう日が来るのだろうか。一歩踏み込んだ考えを促す端緒となるべき何かがあったらより良かった、というのは、極東傍観者の甘えでしかないのだろうが。
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1602 岬洋介シリーズ第3作。相変わらずのテンポで読みやすいが、もはやミステリー色はだいぶ低い様な。。。いっそ音楽一色のジャンルに変えても楽しめそうです。
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「ピアニスト」があっさりわかってしまった以外は期待通りの展開です。音楽の偉大さがあらためて伝わってくる優しいストーリーですね。
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ミステリとしてよりも、音楽に関するあらゆる描写を楽しんで読みました。 もともとショパンは好きですが、さらに興味をもちました。 作中の曲は全て聞こうと思います。
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「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」に続く岬洋介シリーズ第3作。シリーズ、とは言っても難聴をもつ天才ピアニスト・岬先生はどの作品でもあまり前面に出てこないのだが、本作もそこは同様。もうひとりの主人公、ポーランド人の若きピアニスト、ヤンの視点からほとんどの出来事が語られ...
「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」に続く岬洋介シリーズ第3作。シリーズ、とは言っても難聴をもつ天才ピアニスト・岬先生はどの作品でもあまり前面に出てこないのだが、本作もそこは同様。もうひとりの主人公、ポーランド人の若きピアニスト、ヤンの視点からほとんどの出来事が語られる。そう、今回の舞台はポーランド、ショパンコンクールなのだ。ヤンは音楽エリートの家に生まれ、音楽で生きていくことを余儀なくされ、祖国の期待をも一身に背負う身。序章で大統領が専用機に仕掛けられた爆弾で暗殺されてから穏やかならぬ空気の漂う中、順当にコンクール出場を決めた彼の周りで爆弾テロが起きて…というストーリーなのだが、もう何やら風呂敷がでかすぎてすごいのか何なのかよくわからない。 謎解き、というか岬先生の活躍するシーンや犯人の正体などは中盤で見えてしまう。今回はこれまでのような複雑な伏線はない。 ミステリとしての風味は薄いが、やはり圧巻なのはピアノの演奏を表現する言葉の巧みさ。楽器の演奏にあまり興味のない向きには退屈かもしれないけど、技巧を凝らした演奏にも似た言葉の連なりは美しい。 ラストでまたしても登場した下諏訪美鈴嬢(他の前作キャラも出てくるが)のシーンに“お約束“な安心感を覚えたのは私だけかしらん。 前2作に対してシンプルな構成になっているので、ケレン味ある話の運びが好きな私には少し薄味だった。そして、こうやって見ると“ミステリ“であるにも関わらず殺人が起きなかった「ラフマニノフ」の稀有さが際立つなあ、とも(今作はばんばん人が死にます)。
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一応ミステリーの形式を取っているものの、本書はいつも以上に事件の犯人や動機なんてメインではなく、あまりにあっさり解決する。 それより演者の性格や心理状態が演奏に与える影響など、音楽シーンの表現のバリエーションと緊張感を味わうための作品だといえるでしょう。 ミステリー性を求めるなら...
一応ミステリーの形式を取っているものの、本書はいつも以上に事件の犯人や動機なんてメインではなく、あまりにあっさり解決する。 それより演者の性格や心理状態が演奏に与える影響など、音楽シーンの表現のバリエーションと緊張感を味わうための作品だといえるでしょう。 ミステリー性を求めるなら他の作品を読めばいいわけで、このシリーズの魅力は他に類を見ないものだと思います。
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ショパン・コンクールを舞台に、爆弾テロと殺人が起きる、緊張の連続の物語。 お馴染の岬洋介登場の、「ピアノもの」 なにしろコンクールなので、著者お得意の、ピアノを演奏するシーンが、これでもかっていうほど出てくる。 ちょっと忍耐が必要かも。 そして、時々、容疑者リストが提示されるの...
ショパン・コンクールを舞台に、爆弾テロと殺人が起きる、緊張の連続の物語。 お馴染の岬洋介登場の、「ピアノもの」 なにしろコンクールなので、著者お得意の、ピアノを演奏するシーンが、これでもかっていうほど出てくる。 ちょっと忍耐が必要かも。 そして、時々、容疑者リストが提示されるので、あれやこれや想像しながら疑いを掛けるのだが、「え!いきなりそこ!?」 びっくり。 タイトルは優雅だけれど、悲惨なテロあり、戦争あり、親子の確執ありの、濃いお話でした。 岬洋介もの、また読みたいなあ~ おまけの「間奏曲」短いけれどお馴染のキャラに会えてよかったです。 いつのまにか、プチ子がくせになる。 こちらも、また登場して欲しいキャラ。
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図書館で。 私はクラシックもピアノの事もからっきしわからないのですがそれでも読んで面白いなあと思うし原曲が聞きたくなる。そんなミステリーです。 という訳で名前だけはよく知っているショパンコンクールが舞台。相変わらず飄々とした岬さんの活躍は面白いのですがテロリストとの一件はちょっ...
図書館で。 私はクラシックもピアノの事もからっきしわからないのですがそれでも読んで面白いなあと思うし原曲が聞きたくなる。そんなミステリーです。 という訳で名前だけはよく知っているショパンコンクールが舞台。相変わらず飄々とした岬さんの活躍は面白いのですがテロリストとの一件はちょっと蛇足なような気がする。まあそりゃ音楽の力だとは思うけれども…ちょっとできすぎなような。
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