ジュージュー の商品レビュー
著者が文庫版のあとがきのなかで、「なんちゅー悲しい話を書いてしまったんだ」と読み返しながら思ったと書いていましたが、読んでみた僕としては、そんなにすごく悲しい話には思えないんですよ。そりゃ、登場人物たちは人生のなんやかやに縛られて自由ではない。でも、自由ではないなりに、そのなかで...
著者が文庫版のあとがきのなかで、「なんちゅー悲しい話を書いてしまったんだ」と読み返しながら思ったと書いていましたが、読んでみた僕としては、そんなにすごく悲しい話には思えないんですよ。そりゃ、登場人物たちは人生のなんやかやに縛られて自由ではない。でも、自由ではないなりに、そのなかでの自由を獲得できているように読み受けました。 与えられたカードはよくなくても、それをどう使っていくかというのは比較的できている人たちが主要人物でした。著者は、登場人物たちの持って生まれた星周りというか、やっぱり与えられたカードというか、そういうのに対して「悲しい話」と言っているのではないかなとそういう気がしました。さらに言えば、そこからぱたぱたと大空へはばたくようなことはできなかったりする人たちだから、そこにも悲しみというものは感じられるわけです。ただ、鎖に繋がれたような状況の中での自由に甘んじている人には、その悲しみは感じられないのかもしれない。そういう意味で、僕がすごく悲しい話には思えなかったのには、僕自身がはたからみたら悲しみを感じてしまうような状況にあるのだろうなあなんて、考えてしまったところでした。
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あとがきには、悲しい話とあるけれど、そんなでもない気がする。 じんわりと、再生の物語。確かにあまりハッピーではないかな。 悲しみは漂っているのに、なんとなく物語の中のすべてのひとびとが羨ましい気持ちになる。よしもとばなならしい世界です。
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家族の物語、再生の物語。いつもテーマはおなじで、内容も似通っているのに、ちゃんと違う作品なのはなぜだろう。おいしいハンバーグが食べたくなる。ひっそりと泣きたくなるよう、な。
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日常の小さな営みを、そう広くない世界で丁寧に続けていく人たちのお話し。 地に足付けてやっていこう、って思える。 お話の中に出てくる「地獄のサラミちゃん」、読んでみたいな。 夕子さんの不思議キャラはあんまり好きではないけれど、現実世界でもこういう人を必要とする人もいるという考え...
日常の小さな営みを、そう広くない世界で丁寧に続けていく人たちのお話し。 地に足付けてやっていこう、って思える。 お話の中に出てくる「地獄のサラミちゃん」、読んでみたいな。 夕子さんの不思議キャラはあんまり好きではないけれど、現実世界でもこういう人を必要とする人もいるという考え方を、受け入れてみようと思った。
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悲しみを越えたあとのやさしさの広がり。 関係にこだわらなくても持ち続けられる愛。 そのための場所。
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【おなかも心も満たされる秘密のハンバーグ】下町の小さなハンバーグ店に集うおかしくも愛しき人たち。つらいことがあっても、生きているって素晴らしい! と実感できる感動作。
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パパとママが営むステーキハウス、ジュージュー。 流れている音楽はカントリー&ウェスタン。 ログハウスっぽい内装。 玉ねぎソースのステーキと軽めとドミグラスソースのハンバーグ。 そんなシンプルなお店。 でも、ママが亡くなって、二代目のパパと、三代目を継ぐであろう伸一と美知子の3人...
パパとママが営むステーキハウス、ジュージュー。 流れている音楽はカントリー&ウェスタン。 ログハウスっぽい内装。 玉ねぎソースのステーキと軽めとドミグラスソースのハンバーグ。 そんなシンプルなお店。 でも、ママが亡くなって、二代目のパパと、三代目を継ぐであろう伸一と美知子の3人で店をやっている。 混乱しつつも、落ち込みながらも、毎日ハンバーグを仕込み、焼き、運ぶ。 人はいつか死んでしまうし、町だっていつまでこのままじゃない。色々なものが変わっていってしまうのは必然のこと。 でも、ゆっくり、ゆっくり…。ね? 悲しいような、幸せなような、切実な祈りのような 、そんなお話。 P61より。 「それを呪いとか執着とかしばられてるって思うのは簡単だった。 でも、あの音や湯気の中には何か特別にきらいな安らぐものがあるのだ
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身内が死、親が特殊な元彼、青春時代の過ち、地上げ、どうしようもないことだけど、どうにかなる、、、。主人公は生きがいがあって、幸せそうてした。 現代に背中に刀傷の女性、怖かっこいい…
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「宮坂さんをなぐさめたいと思うことは、あの頃の自分をなぐさめることでもあった。」結構なトラウマを持つ登場人物でも話を総括してしあわせそうに見えるのはその人が、なんでもない日々の小さなことに感性を向けられたりそれをしあわせと感じられたりするからかな。これは ばななさんのお話を読んで...
「宮坂さんをなぐさめたいと思うことは、あの頃の自分をなぐさめることでもあった。」結構なトラウマを持つ登場人物でも話を総括してしあわせそうに見えるのはその人が、なんでもない日々の小さなことに感性を向けられたりそれをしあわせと感じられたりするからかな。これは ばななさんのお話を読んで学んだ生き方・人生の魅力かもしれん。ハンバーグとは違ってあっさり読めてしまったけど、響いた文章は相変わらずめっちゃあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ふしぎな前世の記憶を持つ夕子さん。 みっちゃんが子供を流産した時に、伸一がとろうとした行動。 こういうところに、ばななさんらしさを感じた。 わたしも目の前のハンバーグを心の底から味わって食べられる人間ではないかもしれない。 ましてや、ふるまってくれた人の情になんて気が回らないと思う。 そういうことに感謝できる心の余裕を持ちたいと思った。
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