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蜩ノ記 の商品レビュー

3.9

226件のお客様レビュー

  1. 5つ

    63

  2. 4つ

    83

  3. 3つ

    54

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

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2017/06/16

切腹の日が刻々と迫り来る中で、どう人として正しく生きられるのか。内なる正義を持つ人の強さよ。思いがけず、良い物語に出会えた。

Posted byブクログ

2017/05/23

【内容】 日本人の心をふるわす傑作時代小説! 第一四六回直木賞受賞作、待望の文庫化! 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷 の元へ遣わされる。秋谷は七年前...

【内容】 日本人の心をふるわす傑作時代小説! 第一四六回直木賞受賞作、待望の文庫化! 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷 の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。 編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるように なり……。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説! 【感想】 敵対視していた兵右衛門が秋谷の息子と庄太郎を見逃すのは、かなりの美談だと感じた。 私も、秋谷が助かって欲しかった。 けれども、『信頼関係で結ばれた上司に疑われたら、その時点で助かるに足る』『命捨てな一揆を止めるために切迫を選ぶ』という、現代なら不器用とも言える意志の固さ、それこそ武士道を貫く姿は、清々しいほとであった。 『運命を受け入れろ。そして、運命の中で、実直に生きろ。』秋谷、そして、秋谷の息子・郁太郎の親友である農民の子・武吉に学んだことである。 秋谷の無実の切腹の命も考えものだが、殺傷や一揆を企てざるを得ない、そして、抗うことすら認めらなれない社会の仕組みに憤りを感じるが、それを受け入れて、日々を穏やかに過ごす。 愚痴愚痴と自分の運命を嘆くよりも、後悔なく生きれる生き方なのかも知れない。 見習うべきなのかも知れない。 また、和尚が言った『未練なくこの世を立ち去るな。残されたものが報われない。』といったような言葉も感じるものがあった。確かになぁと。 難しい心持ちだ。 また、何回か読み直して、自らの生き方を考えたいと思う。

Posted byブクログ

2017/03/25

珍しく時代小説を読んでみた。 主命により切腹の日を決められている秋谷は静かに家譜編纂をしながら日々を暮らしている。 毎日が死へのカウントダウンであり、そもそも切腹しなければならない理由にも理不尽なものがある。 遺していかなければならない家族もいる。 無念さは感じないのだろうか?悔...

珍しく時代小説を読んでみた。 主命により切腹の日を決められている秋谷は静かに家譜編纂をしながら日々を暮らしている。 毎日が死へのカウントダウンであり、そもそも切腹しなければならない理由にも理不尽なものがある。 遺していかなければならない家族もいる。 無念さは感じないのだろうか?悔しくはないのだろうか? 読み始めたときにはあまりにも達観しているような秋谷に違和感を感じた。 取るに足らないような地方の村にも生活をしている人たちがいる。 年貢をめぐり、さまざまな問題も起きていく。 侍(搾取する側)と百姓(搾取される側)では立場も違う。 けれど、少しでも相手のことを思いやる気持ちがあれば…。 いや、きっと時代背景を考えると侍が百姓を思いやる意識などなかっただろう。 ならば有能な役人として効率的な仕事をすればいい。 保身だけを考えるのではなく、百姓からいかに多くの年貢をトラブルなく集めるか。 そこだけを考えればいいのに、と思ってしまった。 子供にまで威張り散らすような輩にはプライドがないのだろう。 彼らの保身に染まった行いは、対比としてより一層秋谷の静謐さを際立たせている。 すべてを受け入れて静かに真っ直ぐに残された人生を生きていく。 間近でそんな秋谷の生き方を見守ってきた庄三郎もまた、彼の影響を受け変わっていく。 秋谷の思いは庄三郎に、そして郁太郎に引き継がれていく。 終盤の家老が語る秋谷の心境部分はいるだろうか。 たしかに腑に落ちるものもあり、読み手には親切かもしれない。 だがとってつけたような説明はそれまでの物語に流れてきた空気とあきらかに違うような気がするのだけれど…。 時代小説はほとんど読んだことがない。 だからかもしれないが、物語の世界にどっぷりとつかりながら読むことができた。 秋谷という人物の凛とした生き方に心洗われるような物語だった。

Posted byブクログ

2017/03/09
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※このレビューにはネタバレを含みます

過去の日本も現在の日本も要は変わらないと思った… トップダウンがいかに愚かなのだろうと感じる。 北朝鮮と重なり、昔の日本って何でも死に繋がる… 現在は死に繋がらないだけじゃねーのかな… 主人公が凛としすぎて、まっすぐすぎてやるせない。 生に執着していないように見えた主人公が言った 「残される者たちのために未練を残して死ぬ」 という一節には、舌を巻いた!

Posted byブクログ

2017/01/31

家系図がややこしくて自分で書きながら読みました(笑) 時代小説のわりには流れるような文章で読みやすかった。 よくも悪くも美しくまとまった物語だなと。 ちょっとだけ余韻残ったかな。でも綺麗にまとまりすぎてスルスル~と終わってしまった感は否めない…。

Posted byブクログ

2017/01/13

「蜩ノ記」 秋谷の清廉さと罪が結びつかない庄三郎。果たして結末は如何に。 城内の御用部屋で筆の墨が隣席の水上信吾の顔に飛んだ。親友であった庄三郎は、思わずその顔を見て笑ってしまう。しかし、水上信吾は、許せなかった。裃の紋にまで墨が飛んでいたのだ。その紋が羽根藩初代藩主から頂戴...

「蜩ノ記」 秋谷の清廉さと罪が結びつかない庄三郎。果たして結末は如何に。 城内の御用部屋で筆の墨が隣席の水上信吾の顔に飛んだ。親友であった庄三郎は、思わずその顔を見て笑ってしまう。しかし、水上信吾は、許せなかった。裃の紋にまで墨が飛んでいたのだ。その紋が羽根藩初代藩主から頂戴したものであり、それが汚されながら黙って下がるわけにはいかなかったのだ。信吾は、奏者番を探そうと立ち上がった庄三郎を逃げると思い込み追いかけ、庄三郎を斬りつけようと刀を振る。 躱した庄三郎は、思わず居合を放ってしまう。信吾は、よろけて転んだ。庄三郎の脇差が信吾の右足を切っていた。この不祥事により、庄三郎は切腹を命じられるはずであったが、ある責務と引き換えに切腹を免れることになる。彼に与えられた仕事は、向山村に幽閉中の元郡奉行である戸田秋谷の監視と彼が起こした密通事件の真相探求であった。 以上が、大まかなあらすじ。密通事件の真相探求がメインかと思いきや、武士と百姓間にあるわだかまりに端を発した事件が発生し、秋谷は悲痛な事態に遭遇することになります。 テーマは、武士の心。「武士として領民と藩のために」という信念が秋谷にあり、友の為に家老に直談判しようとする息子にも同質ではないが「武士としての心」がある。武士としてあるべき姿を貫き通す姿は百姓と対比されることで余計に異質ではあるものの「いつか秋谷の息子がわしの前に現れるだろう。それまで家老にしがみつかねば」という悪役としては文句ない台詞を吐く家老を前にすると秋谷の武士の心が少し儚く思えてしまいます。しかし、これが当時代の武士だったのだろうと。終わりとしても秋谷の清廉さを証しており、特に異論はないです。 その秋谷以上に印象深い人物であったのは、秋谷の息子である郁太郎の友達「源吉」です。嫌なことがあっても笑い飛ばせる心持ち、妹であるお春をかばう男気、「世の中には覚えておくべきことは多くない。その中の1つは友人(郁太郎)だ」と言える素直さに加え、父を愚弄した役人に対して石を投げようとした郁太郎を制することが出来る大人な面も併せ持ち、ダメな父親万治が役人殺しの犯人と疑われる中、大人になったら万治を迎えに行っちゃると言い逃がすところ 等、これが齢十の少年なのか。源吉よ、と。 彼も秋谷とは違う武士だったと思います。故に、万治の情けなさが一層際立つ。

Posted byブクログ

2017/01/13

なんたる不条理、なんたるやるせなさ。それなのにこの清々しさ。はらわた煮えくりかえりながら、何度も悔しくて涙しながら、渦中の人間の真っ直ぐな生き方にただ圧倒される。重いはずなのにひたすら清涼で美しい物語。文章で五感を刺激されるような素晴らしい表現力だった。

Posted byブクログ

2017/01/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

好きなのに、あまり読むのは得意ではない時代物。これは比較的読みやすいです。情景が浮かんでくるので、すんなり頭に入ります。

Posted byブクログ

2016/12/26

久しぶりに、没頭して読んだ。 市松がかなしい。 ----- 2016_062【読了メモ】(161225 16:30)葉室麟『蜩ノ記』

Posted byブクログ

2016/10/20

10年前の「事件」で幽閉されながらも 凛として生きる武士のお話 まっすぐで美しくてやるせない。 死をもって完結する美しさって どうなんだろう・・・

Posted byブクログ