1,800円以上の注文で送料無料

歌うクジラ(上) の商品レビュー

3.4

26件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    8

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/26

『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』の系譜にある、主要人物が男2人女1人の、退廃的な近未来を舞台にしたストーリー。この作品の主人公であるアキラも暴力を起爆剤にしてサバイブするタイプの人物だが、キクや鈴原冬二とはまた違うタイプのようにも感じる。 これまでの村上...

『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』の系譜にある、主要人物が男2人女1人の、退廃的な近未来を舞台にしたストーリー。この作品の主人公であるアキラも暴力を起爆剤にしてサバイブするタイプの人物だが、キクや鈴原冬二とはまた違うタイプのようにも感じる。 これまでの村上龍作品と同様に、臭いや不快感などの五感を刺激する表現が多く、視覚的な描写が延々と続くなど映像的。しかし作者の持つSF的なイメージがうまく言語化されておらず、ガスケットの観戦や飛行自動車への搭乗シーンなど、描写がつかめない箇所も少なくなかった。また助詞を崩した会話もわかりづらく、読み進めるのを苦痛に感じる瞬間もあった。(物語世界を疑似体験させるためのイニシエーション的な体験を狙ったものかもしれないが) 『半島を出よ』を読んだときに、体力の衰えなのか爆発力の低下を何となく感じたが、この作品ではどうだろうか。

Posted byブクログ

2024/08/30

(2011/4/3) 久々の村上龍の小説ということで読んでみた。 カンブリア宮殿 http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/ や JMM http://ryumurakami.jmm.co.jp/ で、鋭い視点で現代を斬る村上龍が書いた近未来小説。 期待...

(2011/4/3) 久々の村上龍の小説ということで読んでみた。 カンブリア宮殿 http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/ や JMM http://ryumurakami.jmm.co.jp/ で、鋭い視点で現代を斬る村上龍が書いた近未来小説。 期待しないわけにはいかない。 が、、、読み始めて、、、、んん? よくわからない。 描写はリアル。 2100年くらいの日本なのだろうか。管理社会が極限まで進み、欲望や犯罪に対する処理が極端になった社会。食料が効率化、簡素化された棒食。犯罪者は遺伝子を処理され、新出島に封じ込む。日本語まで変質し、効率化から、敬語を話さなくなった世界。 ここまではいいんだが。 具体的な描写についていけない。 何らかの情報を、社会に影響ある人に届ける役目を持った少年の冒険の旅がテーマなのだが、どうも、読んでて目がくらくらする。私の想像力が貧困なのか、村上龍さんが飛んでるのか、、、。 半分読み終わって、なんだかこう、苦しい旅になっている。 後半どうなるのだろう。興味はあるが、熱意はない。

Posted byブクログ

2023/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文化経済効率化運動……作品の世界設定やグロ描写、性的倒錯などが激しいですが、そんな中でもこの運動が社会を破壊していたのがもの凄かったです。 管理社会を描く作品はあれど、どうやってこうなったかを具体的に描いてある作品にはあまり出会ったことがないので新鮮でした。楽しくはない。。 社会の分断がディストピア化の一因か、という知見を深めました。主人公、新出島のサブロウさん、アンたち反乱移民、ネギダール、羊バスエリアの人たちが喋る言葉はどれも日本語だけれど方言じゃないのに全て異なっている。村上さんの言語力も高いです。 主人公タナカアキラはアンジョウに会い、ヨシマツの元へ行き父親から託されたチップを彼に渡す。ヨシマツとタナカヒロシの関係とは…ただならぬ関係かも。。 主人公アキラは、言葉を使い想像させることで相手を制圧するけど、反社会性パーソナリティ障害が言語に特化してしまってるのかな。彼以上に言語力ある人がなかなか居ないというのもある。暴力として表出しなければこれは凄い。

Posted byブクログ

2022/11/05

 『〝クジラ〟強調月間始めました!』8①  第8回①は、村上龍さんの『歌うクジラ(上)』です。  2022年、ハワイ海底でグレゴリオ聖歌の旋律を歌うザトウクジラ(推定年齢1400歳)が発見されます。このクジラを研究し、人類はSW(歌うクジラ、Singing Whale)遺伝子を...

 『〝クジラ〟強調月間始めました!』8①  第8回①は、村上龍さんの『歌うクジラ(上)』です。  2022年、ハワイ海底でグレゴリオ聖歌の旋律を歌うザトウクジラ(推定年齢1400歳)が発見されます。このクジラを研究し、人類はSW(歌うクジラ、Singing Whale)遺伝子を手に入れた、という設定で物語が始まります。  少年アキラは、SW遺伝子の秘密情報が隠されたチップを、ある人物に届ける使命を父から託され、過酷で壮大な旅が始まります。  国家が危険な道を歩み、人間が等級化・管理される世界は、あまりにもおぞましい感覚にさせられる暗黒さです。ほぼ100年後のディストピアとも言える、感情・人間性が排除された、あってほしくない現代社会の行く末が描かれています。  アキラは何処に向かい、どんな結末が待ち受けるのでしょうか? 読み進めるのが苦しい反面、下巻が気になります。

Posted byブクログ

2022/06/11

この濃度とスピード感と、 奇妙ながら説得力のある設定に、 ぐいぐい引っ張られるのが心地よい。 村上龍は会話の言語をいじくり回すのがうまいと思うが、 これまた不思議な言語形態に、 リアルと虚像が入り組んでいて面白い。 そして過去の作品群にも見られる、 突如訪れる怒涛の残酷場面が...

この濃度とスピード感と、 奇妙ながら説得力のある設定に、 ぐいぐい引っ張られるのが心地よい。 村上龍は会話の言語をいじくり回すのがうまいと思うが、 これまた不思議な言語形態に、 リアルと虚像が入り組んでいて面白い。 そして過去の作品群にも見られる、 突如訪れる怒涛の残酷場面が、 美しくさえあるから怖い。 さて、物語の行く先は?

Posted byブクログ

2021/07/25

近未来の日本が舞台のディストピア小説。よくこんなぶっとんだ世界観を思いつくなぁというのが一番の感想。エロかったりグロかったりする要素もある。SF的な要素はそこまで特筆するものではないが、100年後の日本でこういった世界があり得るかも、という社会の描き方は面白かった。上層と下層のヒ...

近未来の日本が舞台のディストピア小説。よくこんなぶっとんだ世界観を思いつくなぁというのが一番の感想。エロかったりグロかったりする要素もある。SF的な要素はそこまで特筆するものではないが、100年後の日本でこういった世界があり得るかも、という社会の描き方は面白かった。上層と下層のヒエラルキーの区別、統一的な思想の実現に向けた敬語の禁止といった施策、レジスタンスによるわざと助詞を崩した喋り方、隔離された島など。

Posted byブクログ

2021/06/21

210616*読了 何年振りか思い出せないくらいお久しぶりな村上龍さんの小説。 村上龍さんの小説で読んだことがあるのは「コインロッカーベイビーズ」のみ。 くっきーさんの好きな小説ランキングに「コインロッカーベイビーズ」がランクインしていたので、村上龍さんの他の小説も気になって読...

210616*読了 何年振りか思い出せないくらいお久しぶりな村上龍さんの小説。 村上龍さんの小説で読んだことがあるのは「コインロッカーベイビーズ」のみ。 くっきーさんの好きな小説ランキングに「コインロッカーベイビーズ」がランクインしていたので、村上龍さんの他の小説も気になって読みました。 村上龍さんの小説を読むのはこれで2作目なのだけれど、「コインロッカーベイビーズ」にも通ずるような退廃的な雰囲気があって、村上龍さんの小説はだいたいこういうテイストなのか?と想像。あくまで想像。 2022年(確か)に発見されたSW遺伝子という不老遺伝子によって、変わってしまった今から100年後(たぶん)くらいの世界。 2022年ってあと1年後やないか。SW遺伝子自体は希望にも捉えられるけれど、結局それでこんな世界になってしまうなら発見されなくていい、と思ってしまいます。 階級ごとに分かれているから、比べることもなく、それぞれが幸せに生きられる、というのはどうなのだろうか…。 客観的に読んでいる私は下層階級で生きたくないとしか思えない…。 本当にこんな世界になったら、嫌なんてもんじゃない。 悲惨なシーンや思い描きたくないシーンもあり、今のところ後味悪めです。笑 読むスピードも自然と遅くなって、なかなか進まない。でも、おもしろい。 この小説が書かれた2010年頃の未来予想図はこんな風なんだろうけれど、実際の100年後ってもっと技術的に進歩している部分がありそうだな、と、村上龍さんの描く世界と自分が想像する100年後を比べる読み方もおもしろいです。 下巻は一体どんな展開になるのだろうか。この物語の結末、気になります。

Posted byブクログ

2021/02/14

未来に関する作者の想像力は秀逸。緻密な表現もいつもながら素晴らしく、一つの場面を映像のように頭に浮かべる事ができる。 ただ、ストーリー全体としては理解が追いつかないブッ飛んだ部分もけっこうあり、最後まで読みはしたが消化しきれなかった。

Posted byブクログ

2021/01/03

設定上は未来日本のディストピアであるのに、不思議とSFによくある論理の跳躍というか、物語を飛躍させる推進剤のようなものが感じられない 不老不死遺伝子の発見とかかなり飛んだ話ではあるし、少年の旅を通してみる近未来はどれも異様で陰鬱であるけど、どれも現在の日本の歪な拡大図を見ているよ...

設定上は未来日本のディストピアであるのに、不思議とSFによくある論理の跳躍というか、物語を飛躍させる推進剤のようなものが感じられない 不老不死遺伝子の発見とかかなり飛んだ話ではあるし、少年の旅を通してみる近未来はどれも異様で陰鬱であるけど、どれも現在の日本の歪な拡大図を見ているような錯覚に陥る SFとして突っ込むのでなく、現代を裏から見ているようなそんな感じにさせられる 主人公が知識だけ知っている世界を現実にみて次第に変化していく様も知るより感じる体験を重視する現代っぽい発想と思う ただ、演出上しょうがないんだろうけど文法の故意の誤用やせりふが地の文に入り込む文章は極めて読みにくい

Posted byブクログ

2020/03/09

途中で断念…忘れないようにレビューを。 ストーリーの疾走感はさすが。読んでいてぐいぐい引き込まれていく。 敬語は効率的ではないと国が禁止するという背景が、主人公のキャラの確立を助けている。 助詞の使い方がとにかく変だけど、名詞と動詞さえ追えば意味が分かるあたり、日本語の不思議さ...

途中で断念…忘れないようにレビューを。 ストーリーの疾走感はさすが。読んでいてぐいぐい引き込まれていく。 敬語は効率的ではないと国が禁止するという背景が、主人公のキャラの確立を助けている。 助詞の使い方がとにかく変だけど、名詞と動詞さえ追えば意味が分かるあたり、日本語の不思議さを著者は存分に生かしている。面白い。 肉体的、精神的、時間的に余裕があるときに、ぜひ再チャレンジしたい!!

Posted byブクログ