1,800円以上の注文で送料無料

日本史の謎は「地形」で解ける の商品レビュー

4

92件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    33

  3. 3つ

    19

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2013/11/06

建設省の土木・ダム・河川関連の専門家が地形から 導かれる歴史を書いた本。やはり着眼点が面白くよかったです。 江戸の治水、江戸城半蔵門、逢坂山と比叡山、鎌倉、赤穂浪士と吉良氏 の話。吉原。奈良の衰退。大阪に緑が少ないわけ。遷都に関して それぞれの話が地形をカギとして説明されているの...

建設省の土木・ダム・河川関連の専門家が地形から 導かれる歴史を書いた本。やはり着眼点が面白くよかったです。 江戸の治水、江戸城半蔵門、逢坂山と比叡山、鎌倉、赤穂浪士と吉良氏 の話。吉原。奈良の衰退。大阪に緑が少ないわけ。遷都に関して それぞれの話が地形をカギとして説明されているのですが 本当にそうかはいろいろあると思いますが、それぞれとても 面白い論理かと思います。

Posted byブクログ

2013/11/06

なるほど、いわれてみれば確かにそうだなあ、の連続。歴史を地理の観点から見直すと、まったく違った説得力を持ってくる。 徳川家康が、いかに河川(治水)の重要性に精通していたのか。関東平野は平野ではなく沼地湿地だった。利根川の流れを変える大工事が関東平野を平野にしたのだ、と説く。 首都...

なるほど、いわれてみれば確かにそうだなあ、の連続。歴史を地理の観点から見直すと、まったく違った説得力を持ってくる。 徳川家康が、いかに河川(治水)の重要性に精通していたのか。関東平野は平野ではなく沼地湿地だった。利根川の流れを変える大工事が関東平野を平野にしたのだ、と説く。 首都はなぜ奈良にできて、なぜその後に京都に移ったのか。当時の海面の高さや川の位置から船による交通の便を想像し、もう一方で山と川が提供する薪(=エネルギー)と水の供給能力から収容できる人口を見積もってみる。遷都は必然だった、と結論づける。 東京には緑が多いのに大阪の街には緑がない。なぜか。テヘランや北京の街でみた風景からひらめく。大阪は民衆の街で王侯貴族に支配されなかったから、庭園が緑地公園にならなかったのだ、と。 他にもヘェ〜と膝を打つような話しが満載。 江戸幕府が吉原を移転した本当の理由は。 江戸城の半蔵門は裏門ではなく表門だ。 赤穂浪士は潜伏中、江戸幕府に保護されていた。 奈良の歴史的遺物が1000年の長きに渡って保存された理由は。 信長が比叡山を徹底的に焼き討ちした理由は。 元寇が攻略できなかった日本の自然の砦とは何だったのか。 博多は大都市の四大条件、安全/食料/エネルギー/交流軸をほとんど満たしていないのに繁栄しているのはなぜか。 本書を読み終わる頃には、すっかり歴史を見る目が変わってしまう。 惜しいのは、語り口。「AだからB」というときのAについて、意図的なのか不明だが、必要条件と十分条件を混同しているように見受けられる。言い切った方がドラマチックではあるけれど、その分、眉に唾つけながら聞いてしまう。本書は歴史についての「科学」というよりは「もう一つのお話」として楽しむのが吉。 最後に、著者も意図してない本書の効果をあげたい。それは、地理という学問の面白さと奥行き、可能性。小学校中学校で習った地理は面白くなかったけど、こうやって歴史と組み合わせてみると立体感がでてきて、歴史と地理の両方が面白くなる。

Posted byブクログ