竜が最後に帰る場所 の商品レビュー
前作南の子供が、個人的に低評価になってしまったので、期待して閲覧。 夜行の冬、鸚鵡幻想曲はそれぞれ一冊で読みたいくらい面白かった。 特に夜行は、行く先々でのエピソードを連作短編集で作ってほしい。 それくらい設定が良かった。
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ファンタジーだけど自分が知らないだけで実際にはあることなのかもしれない。そんな短編集。とてもきれいな文章で読みやすく、きつい内容のものもあるのに穏やかで水彩画のようだと思いました。 風を放つ 比較的日常に近いところでのファンタジー。マミさんがなんだか本当に存在しているのかわから...
ファンタジーだけど自分が知らないだけで実際にはあることなのかもしれない。そんな短編集。とてもきれいな文章で読みやすく、きつい内容のものもあるのに穏やかで水彩画のようだと思いました。 風を放つ 比較的日常に近いところでのファンタジー。マミさんがなんだか本当に存在しているのかわからないふんわりした妖精のような感じなのと読後感もなんだかふんわり。 迷走のオルネラ DVが物語の中心なのでやや手に汗握る展開からスコーンと静かな蒼い月に意識を持っていかれる。最後は春の暖かな空気にまた持っていかれるがラストは考えさせられる。 夜行の冬 絵画的でもありホラー的でもあり。冬の美しさとグロテスクな闇とパラレルワールドと。短編なのが惜しい、もっと読みたいと思いました。 鸚鵡幻想曲 この本は読み進めていくにつれて、より現実離れしてくる仕掛けなのでしょうか。本当ならえぐいわーという感想をもってもおかしくないのにすんなり受け入れている自分がいるのは、私が鳥好きだからかこの作品の力なのか。 ゴロンド ダーウィンがきたの小説版を読んでいるよう。すっかりゴロンドの生活にひきこまれました。そしてこの本のタイトルに結びつくのですね。動物を飼っていると彼らの人生や運命に対する悟りに感服することがあるのですがそれらが細やかに描かれていて訳もなく感動しました。ラストは、そっかそうだよね!とストンと腑に落ちた気持ち。
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恒川光太郎氏の書く本を読めば読むほどにはまっていく。 5編からなる短編集だが、後半の作品にいくにつれてどんどんと引き込まれていった。 夜行の冬、鸚鵡幻想曲、ゴロンドの3編は特に面白かった。
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久々に読んだ恒川さんの本。 最近途中挫折することが多いので、絶対面白くて読み切れるもの、と思い選んだ。 間違いなし! やっぱり面白い。1話目は普通目だけど、2話目からは恒川さんワールド。 先が読めないし、人の心の描き方が絶妙! 少し怖くてどこか妖しく美しい感じ。 ダークなファン...
久々に読んだ恒川さんの本。 最近途中挫折することが多いので、絶対面白くて読み切れるもの、と思い選んだ。 間違いなし! やっぱり面白い。1話目は普通目だけど、2話目からは恒川さんワールド。 先が読めないし、人の心の描き方が絶妙! 少し怖くてどこか妖しく美しい感じ。 ダークなファンタジーにハマってしまう。 オルネラは心の動きや展開が面白くて、鸚鵡の話はよくこんな事思いつくなぁーという面白さ。
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とても面白かった。 なんだか怖いのに少し懐かしくて優しい感じ。 子供の頃感じていたような思いなのかな。 親切な人はその都度いてくれて、だから悲しくても救いはある。 人と怪異が触れ合うのは少しの時間。 少し寂しいけれど、また会えるんじゃないかって思う。
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よくわからないけど、そのわからない感じが心地いい恒川作品。 どの短編も発想が面白くて非現実的な話とは思えないほどしっかりしてるから不完全燃焼なく納得できる。 夜行の世界観が私は好きだった。爽やかで静謐な空気がある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
恒川光太郎作品、初読です。 カバーにある通り、本屋でまず夜行を少し読んでみたところ、不思議と惹かれたので購入しました。 後書きにもありましたが、全体として 現実→ファンタジーへとどんどん染まっていく感じが読んでいてとても不思議で心地よかったです。 この方の作品について特に魅力だと感じた点が二つあります。 ひとつは、情景描写力です。 細かく述べられているわけでもないのですが、なぜか情景がはっきりと、俯瞰的に脳裏に浮かびます。 読んでいてとても快適といいますか、楽しめました。 『夜行』では冬の闇のしんとしたしずかな空気感、しかしどこか不穏で寂しいような感覚が。『鸚鵡幻想曲』では、気が違ってしまったかのようなおかしな人間と対峙した時の緊張感や生温い温度を感じ、その度に驚きました。 こう、臨場感があると言うよりかはやはり俯瞰して、落ち着いて第三者視点で、しかし没入できるような、どこか安心して読むことができる快適さがありました。 もうひとつは、話の節々に「人生だな」と感じられる表現や構図が散りばめられていることです。 うまく言えないのですが、『夜行』の、はっきりとした目的を持っていないにも関わらず抱く「置いていかないでくれ」という漠然とした焦り、「もっとより良い環境がひとつ先にあるような気がしてしまう」という縮毛の娘や主人公の根拠のない期待。『ゴロンド』の、翼が生えどこにでも行けるほど知性も体躯も発達したゴロンドと何も変わっていないウーガーの比較、池の中から一生出ることもなく生を営む兄弟たちを「不幸だとは思わない、そっとしておこう」と嘲笑することもなく思うことができるゴロンド。ゴロンドは特に「人生」を感じる部分が多かった。 池の中で一生を終える彼らも、外に出てきたがそこから進化しないウーガーも、成長できたゴロンドも、環境によってその生き方が、あり方が決められているだけ。ふと池から出られることに気づかなければ。シンの鳴き声が聞こえなければ。案内してくれる仲間に出会っていなければ。さまざまな運が重なり、生物はそこで出会い手に入れた環境で生を営む。そこには優劣などないはずだが。 うまくいえませんが、ファンタジーなのに(特に後半)、ファンタジーであるが故なのか、非常に自分の人生や周囲の環境、今の世間に通ずるところを感じ、没入して読めつつもさまざまなことに思いを巡らせることができました。 私が最後に帰る場所はどんなところだろう。自分で選び、決めることができるのだろうか。何かのきっかけで狂気に呑まれ、誰かの手により導かれてしまうのだろうか。それともより良い場所を探して、現状では満足できず歩き続けるのだろうか。 最後には、めでたしめでたしとどこかの村の壁画で見つけられたいものです。 毛無し猿より。
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「夜行の冬」が良かった。「風の古道」と同じ雰囲気。一度夜行に参加すると、そこがそこそこ心地よい世界であっても次へ次へと行ってしまいそう。魅力的で恐ろしい。「ドロンゴ」も良かった。最初、カエルかと思ってた
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恒川作品にはいつも癒されます。本のタイトルが、どの短編の題名にもなってないのであれ?と思いますが、ちゃんと出てきますね。
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5つの趣の違う短編集。夜市、無貌の神に続いて読んだので最初社会派な作風にびっくりしました。現実感のある話のほんの少しの違和感から始まり、最後には竜となり帰る。5つの短編を通してどんどん幻想世界へ入っていく流れが面白いです。中でも『夜行の冬』『鸚鵡幻想曲』が傑作。色々な恒川作品が読...
5つの趣の違う短編集。夜市、無貌の神に続いて読んだので最初社会派な作風にびっくりしました。現実感のある話のほんの少しの違和感から始まり、最後には竜となり帰る。5つの短編を通してどんどん幻想世界へ入っていく流れが面白いです。中でも『夜行の冬』『鸚鵡幻想曲』が傑作。色々な恒川作品が読めて楽しかったです。
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