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恋歌 の商品レビュー

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183件のお客様レビュー

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2013/10/04

歌人・中島歌子の歌に賭ける物語かと思っていたら、幕末動乱期から明治にかけての壮絶な女の一生の物語でありました。 概ね本人の実際の人生に沿ったものであるみたいですが、結婚後、水戸で天狗党の乱に巻き込まれての獄中生活の様子と言ったら、あまりにも凄惨でたまりませんでした。 血で血を洗う...

歌人・中島歌子の歌に賭ける物語かと思っていたら、幕末動乱期から明治にかけての壮絶な女の一生の物語でありました。 概ね本人の実際の人生に沿ったものであるみたいですが、結婚後、水戸で天狗党の乱に巻き込まれての獄中生活の様子と言ったら、あまりにも凄惨でたまりませんでした。 血で血を洗う復讐の連鎖の断ち切り方、男性作家さんならもっと武張った描写が多くなりがちなところ、女性にしか書けない視点で見詰めていると思います。

Posted byブクログ

2013/08/25

明治生まれのひよっこに、いったい何がわかる。 私は扇子を遣いながら鼻を鳴らした。 おまけに花圃さんと夏ちゃんときたら、小説などに手を染めて。あの二人こそは真に見所があると思って目をかけてきたのに、当世の流行りに惹かれて和歌から離れていく。 歌はもう、命懸けで詠むものではないのだろ...

明治生まれのひよっこに、いったい何がわかる。 私は扇子を遣いながら鼻を鳴らした。 おまけに花圃さんと夏ちゃんときたら、小説などに手を染めて。あの二人こそは真に見所があると思って目をかけてきたのに、当世の流行りに惹かれて和歌から離れていく。 歌はもう、命懸けで詠むものではないのだろうか。 そんな考えが湧くと、心底、己が独りであることを思い知らされる。(242p) 読者モニターで読みました。8月21発行の新作です。 まさか、樋口一葉の歌の師匠の中島歌子がこんな激烈な人生を歩んでいたとは。意表を突かれた。もしかしたら、全て著者の創作かと思い調べたら、本当にこの江戸商家の娘である歌子は、恋を成就して水戸藩士に嫁入りしたらしい。夫が天狗党として弾圧される中で自らも獄舎に入れさせられ、そして夫と死別している。のちに「歌はもう、命懸けで詠むものではないのだろうか」と明治生まれの女子たちの軽薄さを嘆くのも当然に思える。 幕末小説は数限りなくあれども、尊王攘夷に最も急先鋒でありながら、維新の波の中で切り捨てられた水戸藩の側から、しかも天狗党の妻たちの側から描かれたものは寡聞にして知らない。数ヶ月の悲惨な獄舎の場面も酷かったが、子どもたちが数多く斬首されるにもショックを覚えた。全ては水戸藩の党派争いが原因である。女性の視点だから見える裏の日本史だと思う。 薩摩や長州と比べて貧しい藩内事情が、気を狭くし、「己より弱いものを痛めつける、ほんで復讐を恐れて手加減できんようになる」という貞芳院様の党派争いが酷くなった原因の指摘は、生活保護受給者を叩く現代にも通じるようにも思った。 君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ この小説では、歌子の手記の最後の方に書き留められた歌ということになっている。実際には歌子の代表歌だ。もし、未だ生きている「最初のおとこ」のことを歌ったならばプレイガールの歌になるけれども、その男がすでに死んでいる最初の夫ならば、これ程に恋情に溢れた歌はないだろう。 2013年8月2日読了

Posted byブクログ

2013/08/02

読者モニターにて。予備知識ゼロで読んだけど後半熱かった。最後まで読むとじわじわ感動する力作だと思う。

Posted byブクログ