恋歌 の商品レビュー
幕末に生きた一人の女性の生きざまが瑞々しく描かれていて、引き込まれるように読み進めました。弟子が師の手記を読む、という二重構造もとても効果的。文章も読みやすく好きです。これからも読んでみたい作家さんです。
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第150回直木賞受賞作 普段、わたしは全くと言って時代小説を読みません。好きじゃないし、苦手過ぎるし、どうも乗れないから。だからこの本も時代小説が苦手な人でも、歴史を知らなくても楽しく読めるという感想もよく見ますが、わたしにとっては読むのがなかなか難しかったし楽しくは読めなかっ...
第150回直木賞受賞作 普段、わたしは全くと言って時代小説を読みません。好きじゃないし、苦手過ぎるし、どうも乗れないから。だからこの本も時代小説が苦手な人でも、歴史を知らなくても楽しく読めるという感想もよく見ますが、わたしにとっては読むのがなかなか難しかったし楽しくは読めなかった。 まず勉強不足なのは重々承知ですが分からない言葉が多く、昔言葉なのでそれだけで読みづらい、話が脳に心に入るまでにはたくさんの変換が必要で。 壮絶な人生。それで片付けることのできない、これを書き切った著者がすごいな。と。そう、すごいなぁというのがひしひし、初めから終わりまであります。すごい小説。得意ではなかったけれどいつかはまた読みたくなるかもしれません。そのときはきっと今とは全然違う感想が生まれるでしょうね。
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私は普段時代小説を読まない。 日本史は好きだったはずなのに習った事はすっかり忘れている。 ゆえに、歴史にはめっぽう弱い。 この本の主人公は中島歌子。誰だそれ? 天狗党?諸生党?・・・、知るわけがない。 そんな私がこの小説を読もうとするんだから大変だ。 一方、夫は歴史好きである。...
私は普段時代小説を読まない。 日本史は好きだったはずなのに習った事はすっかり忘れている。 ゆえに、歴史にはめっぽう弱い。 この本の主人公は中島歌子。誰だそれ? 天狗党?諸生党?・・・、知るわけがない。 そんな私がこの小説を読もうとするんだから大変だ。 一方、夫は歴史好きである。 時代小説をこよなく愛し、大河ドラマも欠かさない。 私が気まぐれで時代小説を読んだり、時代劇を見たりしながら 「ねえ、これって本当?本当にこんなことあったの?」などと興奮して質問すると、 「そんな説もある。」とか、「それは作り話だ。」とか至極冷静。 今回も天狗党って知ってるかと聞いてみたら、幕末の水戸藩の話だろと即答。 むむむ、なかなか手ごわい。 こんな無知は私が実在の人物が登場する時代ものを読むとどうなるか。 まるっきり信じてしまうのである。 だってどこまでが事実でどこまでが作りものなのか区別がつかないんだもの。 困った話である。 夫に聞けば大抵答えてくれるけれど、くやしいから聞かない。 なんだかレビューとは全然逸れてしまったが、そんな私でも楽しめた一冊。 幕末の激流のなかで翻弄された女性達の生きざまを知ることができたし、何よりもところどころで差し込まれる辞世の句が心に染みた。 あの時代でありながら、自分の恋を貫いて嫁いだ中島歌子の強さと彼女の詠んだ歌、 “君にこそ恋しきふしは習ひつれさらば忘るることもをしへよ” これを知ることができただけでもこの本を読んだ価値があった。 さすがの夫も中島歌子の詠んだ歌までは知るまい。 今日帰ってきたらさっそく挑んでみようと思う。
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樋口一葉の歌の師匠として知られる(俺は知らなかったけど)中島歌子の生涯を描いたラブロマンス。江戸時代末期、凄まじいまでの水戸の動乱には心が震えました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
幕末、尊王攘夷で揺れる水戸藩家臣林以徳へ稼した登世は新婚生活もわずかで離れ離れとなる。幕末期の動乱で大きく取り扱われるのは長州や薩摩、会津などでこの水戸藩の立場やその内乱については知らなかった。天狗党については以前から興味を持っていた。 登世は後の中島歌子。物語は病気で伏せている歌子の弟子の花圃と澄が歌子の手記を読み進む形。 水戸の幕末の内乱事情、巻き込まれていった民衆。人々の行く末にぐいぐい引き込まれていく。 中島歌子という華やかな詩人の壮絶な過去をとおし、幕末の動乱期、日本を真っ直ぐにみつめた多くの人々の想いを代弁するがごとくの登場人物たちの想いが伝わり感涙。 命が失われる時に詠む辞世の短歌が悲しい。 恋愛ものにとどまらず時代小説として素晴らしかった。
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壮絶な時を生き抜いた後の歌人・中島歌子。 歌が恋を結び、歌が心を和らげ、 歌が死を彩り、歌が嘆きを響かせる。 時と人により三十一字は形を変え、祈りは文字に記憶に残り続ける。 僕は音楽を「うたうように」と教わった。 詠めるうたがあることは、少しだけ豊かにしてくれると思っている。
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大政奉還より少し前。江戸の商家から水戸藩へと嫁いだ登世と以徳の儚くも燃えるような恋の物語。 昨年読んだ光圀伝のことも思い出しながら、途中からはページを繰る手が止まらなくなった。最初は登世の片想いかと思ったら、なんと互いにほぼ一目惚れ。共に生きたいと願ったふたりは、最後まで自ら命を...
大政奉還より少し前。江戸の商家から水戸藩へと嫁いだ登世と以徳の儚くも燃えるような恋の物語。 昨年読んだ光圀伝のことも思い出しながら、途中からはページを繰る手が止まらなくなった。最初は登世の片想いかと思ったら、なんと互いにほぼ一目惚れ。共に生きたいと願ったふたりは、最後まで自ら命を絶つことを厭いながら、壮絶な人生を送る。 藩の中で、更に党の中での志の違いから、あっという間に戦禍に巻き込まれていく。 切なくて、はらはらして、獄中でのシーンなど、主人公だけは生き残ると判っていても、どきどきする。 久し振りに、読み飛ばすことなくじっくりと時間を掛けて読了した。
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壮絶でした。学生の頃チラリと学んだくらいしか印象がなかった中島歌子さんがそんな人生を送っていたなんて…。幕末期の日本人の命を賭けた戦い、その想い、そしてその家族の心の強さ弱さ、絆や真っ直ぐさに触れ、感動しました。 特に印象に残ったのは、P247〜の貞芳院様の言葉でした。
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お決まりの流れかと思いきや 後半の壮絶さはなんということでしょう! 歌人となってからの歌子の行動は よく理解で知る。 61歳という生涯は短くもあるかもしれないが 濃くて深くて凄まじい。
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今、何の不自由もなく好きな人と一緒にいることのできる幸せを、当たり前と思わずに、大切に感謝して行きて行きたいと、そう心から思った。
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