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夢幻諸島から の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2019/10/18

北と南に大きな大陸があり、その中間に広がる無数の島々から成る夢幻諸島。そのガイドブックという形を取った連作短篇集でありながら、長篇としての作品。半分は夢幻諸島に点在する島々の紹介であるが、それがこの作品の下地となって物語を引き立たせる。6~7人くらいの主要な人物が、時折挟まれる中...

北と南に大きな大陸があり、その中間に広がる無数の島々から成る夢幻諸島。そのガイドブックという形を取った連作短篇集でありながら、長篇としての作品。半分は夢幻諸島に点在する島々の紹介であるが、それがこの作品の下地となって物語を引き立たせる。6~7人くらいの主要な人物が、時折挟まれる中編の物語に登場し、互いにリンクし影響を与え合いこの夢幻諸島に様々な痕跡を残す。超凶悪昆虫スライムとカムストン&カウラー、そして最後のヨーとオイの物語が強く印象に残った。

Posted byブクログ

2018/11/14

夢幻諸島”ドリーム・アーキペラゴ”のガイドブック。 旅が好きだから楽しかった。自分が移住するならどの島に行くだろう?なんて考えたりしながら。 もちろんガイドブックの体をとりながら、横軸のしかけもある。 もっと登場人物を多くして、さらに複雑だったらよかった。

Posted byブクログ

2018/01/30

こういう語り手や視点を変えながら、紡がれていく大風呂敷な物語って好きなんだよな~。判ら~んって思いつつも次の章を読んで、あれと同じ出来事か、あの時の人だってピースがハマる時の楽しさっ(ΦωΦ)フフフ… ガルシア=マルケスの何かが思い浮かんだ。何だったかな? (-ω-;)ウーン?

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2016/02/17

 ここ(ドリーム・アーキペラゴ)ではどんなことも起こり得る―  時間勾配の歪みにより地図の作成が不可能とされている架空の世界。そこに点在する無数の島からなる通称夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)が舞台の物語。英国作家の”信頼できない語り手”ことプリーストが書き記した、死と狂気に...

 ここ(ドリーム・アーキペラゴ)ではどんなことも起こり得る―  時間勾配の歪みにより地図の作成が不可能とされている架空の世界。そこに点在する無数の島からなる通称夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)が舞台の物語。英国作家の”信頼できない語り手”ことプリーストが書き記した、死と狂気に彩られた島々に纏わる35の記録譚。  『グールン』~大提督劇場~  商業演劇の演出家を目指し、とある劇場に勤め始めた青年。出演者の一人、謎の王”ロード”を名乗る奇術師との出逢いを発端に様々な出来事が巻き起こる。やがて、執拗に主人公を付け回す不審な小男や奈落での亡霊騒ぎがひとつに繋がっていく。  『チェーナー』~雨の影~  人民裁判所に残されたある殺人事件容疑者の取調べ調書。正常なように見えながら節々に僅かに滲み渡る奇妙な印象を抱かせる自供文。繰り返される肯定と否定。果たして彼は本当に真犯人なのか。  『ミークァ/トレム』~足の速い放浪者~  夢幻諸島の地図を作るため島々の情報を集め飛びまわる無人飛行機ドローン。地図製作チームの一人ローナは、軍の占拠下にある立入制限区域に姿を消した恋人の行方を探ろうとドローンを利用することを思いつくが。異色の恋愛もの。  この他にもたくさんの物語が研究書・覚書き・独白・ガイドブックなど様々な形をとって表されています。それぞれの話がバラバラなようで実は繋がっているなどというところはまさしく群島のよう。詳細を穿って描かれた世界観はまるで本当に実在するかのような心地にしてくれます。夢幻諸島に秘められた物語たちはどこまでも尽きることを知りません。  そんなお話。

Posted byブクログ

2016/02/12

 待望の夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)のガイドブックであり、アーキペラゴのいくつかの魅力的な、あるいは特徴的な島が紹介されている。『限りなき夏』で訪れたことのある旅行者も、これから夢幻諸島を旅行しようと考えている人にも歓迎される一書であろう。  だが、この手の本にはお定まりの...

 待望の夢幻諸島(ドリーム・アーキペラゴ)のガイドブックであり、アーキペラゴのいくつかの魅力的な、あるいは特徴的な島が紹介されている。『限りなき夏』で訪れたことのある旅行者も、これから夢幻諸島を旅行しようと考えている人にも歓迎される一書であろう。  だが、この手の本にはお定まりの地図というものが本書にはまったく欠けている。周知の通り、時間歪曲のため、夢幻諸島ではたとえ航空写真を撮っても、正確な地図を描くことができないのだ。この点については、リーヴァー島の項を参照されたい。ディデラー・エイレットの調査の概要が説明されているからである。1日2回、ふたつの時間歪曲の渦が世界を回っているのである。それゆえ夢幻諸島はまったく全体像を描けず、人が住む島だけでもいったいどれだけあるのかさえわからない。もっとも、ある島からある島へ行く手がかりは明らかである。細部はまったく明晰なのに全体像を描出できない。人間存在そのもののようではないか、この島々は。  そのようなありさまなので各島の情報も調査員が赴いて取材したものの他に、当該の島に生まれ育った人物、あるいはそこに滞在した人物の手記で代用されているものがいくつもあり、特にこの諸島を旅行しようというつもりのない読者にとっても、物珍しい読み物として読むことができる。かくいう評者も特に旅行の予定はないのだが、あたかも凝った長編小説を読むかのように楽しんだ。  まずは、オーブラック群島の、猛毒を持つとともにヒトに寄生し感染する恐ろしい昆虫スライムの記述に読者は震え上がるだろうが、そんな恐ろしいものがいても日常生活が営まれていく人間の性に妙に納得するだろう。また、ファイアンドランドとグロウンドの戦争に関して、アーキペラゴは中立地帯ではあるが、戦争の影響が随所にみられることにも思いを新たにするであろう。  編者は芸術に関心が高いらしく、夢幻諸島の高名な芸術家たちへの言及は随所にある。高名な画家ドリッド・バーサーストの奇矯な行状があちこちの島の紹介の中に登場し、その作品がどこで見られるかが紹介されている。この画家の熱心なファンにはありがたいことである。また土木インスタレーション・アーティストのジョーデン・ヨーのインスタレーション、要するにトンネルだが、それがどの島で見られるかも、旅行者の参考となるだろう。高名な作家チェスター・カムストンへと送られた無名時代の作家モイリータ・ケインの書簡が、彼女の出身地フェレディ環礁の紹介となっているのも両者のファンにとって興味深かろう。  特に舞台芸術に関心のない読者でも、パントマイム・アーティスト、コミスが辺境の島オムフーヴで殺害され、ケリス・シントンなる犯人が死刑となった事件について多少なりともお聞き及びだろう。それが冤罪だとして社会改革主義者カウラーによって厳しく糾弾されたこともご存じかも知れない。本書ではいくつかの島の紹介の中で、関係者の証言が引用されているが、それによってこの事件の詳細がいくつもの視点から照らし出され、真相と思われる全体像を照射していることに、読者は驚かれることだろう。さらにこれらの手記からカムストンとカウラーの秘められた関係やカウラーの死の真相など、様々な結びつきが示されることとなり、図らずも、個々の「島」がつながって、アーキペラゴの全体像をぼんやりと映し出すというアナロジーが生じているところが、評者が上に、あたかも凝った長編小説のようだと述べた要点である。というわけで旅行には興味はないが、ちょっとかわったものを読んでみたいという読者にも大いにお勧めである。  本書は「エズラに」捧げられているが、エズラ・カウラーでなければ、どのエズラに、なのであろうか。最後はヨー(Yo)ともうひとりのインスタレーション・アーティスト、オイ(Oy)の破壊的で情熱的な共同作業の逸話で閉じられるのも心憎い。

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2015/02/24

架空の星の赤道付近に点在する無数のしまじま、夢幻諸島のガイドブック風の小説。 見えない都市みたいな幻想的な物語を想像していたのだけど、個々の島の物語を点々と繋いでいるうちにいつのまにかいくつかの大きな物語が浮かび上がる、という仕掛けがあって面白い。 しかも文章が読みやすい。いい。...

架空の星の赤道付近に点在する無数のしまじま、夢幻諸島のガイドブック風の小説。 見えない都市みたいな幻想的な物語を想像していたのだけど、個々の島の物語を点々と繋いでいるうちにいつのまにかいくつかの大きな物語が浮かび上がる、という仕掛けがあって面白い。 しかも文章が読みやすい。いい。 島名のアルファベット順に紹介するんだけど、話の展開的にはうまいことすこしずつ関連が明らかになるようになっているから、物語ありきてで島名が名付けられたのかなー

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2015/01/25

友人が貸してくれた。 私よりも前に、家族が読み終わって、二人ともとても面白がっていた。 で…積読状態約十か月。 ようやく読み始めて約二か月。 長かった…。 いつ面白くなるんだろう、と思いながらの二か月。 逆にそんなに時間がかかってしまって、どことどこがつながっていくのか、かえって...

友人が貸してくれた。 私よりも前に、家族が読み終わって、二人ともとても面白がっていた。 で…積読状態約十か月。 ようやく読み始めて約二か月。 長かった…。 いつ面白くなるんだろう、と思いながらの二か月。 逆にそんなに時間がかかってしまって、どことどこがつながっていくのか、かえってわかりにくくなってしまったのかもしれない。 島の位置関係とかそういったことをまったく意識しないで読んだのがいけなかったか? SFなんだし、何かの仕掛けがあるんだろうと思いながら、それを読み解くSF的素養はこちらにはないらしい。 この本の真価は、私にはわからないのだろうなあ。

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2015/01/12

不思議な世界観の中でふわふわとするための本。 文化レベルは、現代と同じ。 「夢幻」といっても、魔法やドラゴンが出てくるわけではない。 短いエピソードの連なりで、どんどん読めてしまうけれど、あまり急いで読むと見落としが出る。

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2014/05/29

SFじゃなくてファンタジー、いや神話かな。特に最終章は原始的で野蛮な男女が創造神のようだった。そんな2人がインスタレーションアーティストというのも。それと時間の縛りがない自由さも素晴らしい。重層的で、つながっているようできちんとは解になっていないもどかしさというかあいまいさ。これ...

SFじゃなくてファンタジー、いや神話かな。特に最終章は原始的で野蛮な男女が創造神のようだった。そんな2人がインスタレーションアーティストというのも。それと時間の縛りがない自由さも素晴らしい。重層的で、つながっているようできちんとは解になっていないもどかしさというかあいまいさ。これ英語で読むとどんな感じなんだろう。プリーストは双生児が面白かったけど、こちらのほうがMYベストです。

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2014/05/26

ある世界に存在するたくさんの島についてのガイドブックの態をとってる短編連作。とはいっても少しずつ関連があって、同じ人も出てきたりするので長編とも言えるかもしれない。 構造がずるい、楽しい! ただ、散らばってる情報を集めながら読む話なので、人は選ぶ気がする。 手紙とか雑誌記事とかそ...

ある世界に存在するたくさんの島についてのガイドブックの態をとってる短編連作。とはいっても少しずつ関連があって、同じ人も出てきたりするので長編とも言えるかもしれない。 構造がずるい、楽しい! ただ、散らばってる情報を集めながら読む話なので、人は選ぶ気がする。 手紙とか雑誌記事とかそういう断片から情報を取り込みながら読む話がすごい好きなので個人的にはとても楽しかったです。

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