奇譚を売る店 の商品レビュー
なるほど・・・そういう構成だったのか~また買ってしまった。西洋の古城のような「帝都脳病院」を見て模型を作り,二階から突き落とされる先祖の姿を見た。毒々しいタイトルのチープな作品ばかり書いている三流探偵小説家の悲運。名探偵・十文字竜作と助手の江楠君の痛快きわまりない冒険談と,そこの...
なるほど・・・そういう構成だったのか~また買ってしまった。西洋の古城のような「帝都脳病院」を見て模型を作り,二階から突き落とされる先祖の姿を見た。毒々しいタイトルのチープな作品ばかり書いている三流探偵小説家の悲運。名探偵・十文字竜作と助手の江楠君の痛快きわまりない冒険談と,そこの秘められた秘密。幻の合作映画「青鬚城殺人事件」の撮影をめぐる秘話と“不死人”の恐怖。『時の劇場』と称する大河ロマンめいた物語。古書店の店番をやりながら和文タイプで物語を打つ私~小説を書くために商売人は古書を買うのだろうか。私や私たち。読む者も含めて私たち?
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目次を見て、 『帝都脳病院入院案内』 『這い寄る影』 『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』 『青髭城殺人事件 映画化関係綴』 『時の劇場・前後篇』 そしてタイトルの『奇譚を売る店』 もうこれは読んでみたい!と思わせるタイトル。 そして目論みどおり惑わされ、最後の「奇譚を売る店」でやられました。 不思議な話満載です。
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どのストーリーも「また買ってしまった」…から始まる6編の短篇集。タイトルでセレクトしたので、この作家は初読。 乱歩や海野十三が書いていた少年向け冒険活劇に、当時少年たちが抱いていたワクワク・ドキドキ感を、成長した大人たちが「今」感じるようなどこか懐かしい感じ。 少しおどろおどろし...
どのストーリーも「また買ってしまった」…から始まる6編の短篇集。タイトルでセレクトしたので、この作家は初読。 乱歩や海野十三が書いていた少年向け冒険活劇に、当時少年たちが抱いていたワクワク・ドキドキ感を、成長した大人たちが「今」感じるようなどこか懐かしい感じ。 少しおどろおどろしくはあるが、引き込まれる世界観のある作品であった。
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古本屋で毎回奇妙な一冊を買うところからお話は始まります。「病院案内」「少年雑誌」「映画製作の企画書類」。そこから目くるめく悪夢へ誘われる。。。 ちょっとおもしろいつくりですね。ちょっとホラーテイストというか。「古本屋で」「奇妙な一冊」ってところがなんか自分好みです。その一冊が上...
古本屋で毎回奇妙な一冊を買うところからお話は始まります。「病院案内」「少年雑誌」「映画製作の企画書類」。そこから目くるめく悪夢へ誘われる。。。 ちょっとおもしろいつくりですね。ちょっとホラーテイストというか。「古本屋で」「奇妙な一冊」ってところがなんか自分好みです。その一冊が上記のようなかわった書籍(?)というのから始まるのが物語に引き込まれやすい。 そしてそれらをまとめ上げるようなラストの表題作。 これはこれで綺麗な終わり方だとは思うんですが・・・「奇妙な一冊からの悪夢」という流れが結構好きだったのでちょっと寂しくも思いました。もっと「奇妙な一冊」の話を読みたかった。各話ともなんとも魅力的な雰囲気があります。
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ある古本屋とそこで購入された本たちが引き起こす、奇怪な出来事たちを描いた連作短編集。ホラーだけどミステリー。「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」が好き。
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本という魔物が語る物語 奇譚。 どうもこの言葉に私はどうしようもなく引きつけられるようだ。 さて、今回はどのように迷うのか...... 想定からして古書、奇書の類いを思わせる。 頁をめくると一昔前のような活字。 そう.......大人に近づきたくて手を伸ばした岩波新書のような。...
本という魔物が語る物語 奇譚。 どうもこの言葉に私はどうしようもなく引きつけられるようだ。 さて、今回はどのように迷うのか...... 想定からして古書、奇書の類いを思わせる。 頁をめくると一昔前のような活字。 そう.......大人に近づきたくて手を伸ばした岩波新書のような。 しかし読みにくさは感じない。 どこかノスタルジックな、しかしこの「奇譚」を語る上ではぴったりの舞台がそろった。 6編からなる本書。 それぞれは独立しているが、最後に奇妙なつながりをもたせて終わる。 どれも古書店で買ったある「本」にまつわる物語で、「また買ってしまった」から始まる。 『夢十夜』の始まりだ。 作中の物語が面白かったのは『帝都脳病院入院案内』『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』『時の劇場・前後篇』。 『X探偵局』は本文の終わりかたはあまり上手い終わりかたではないが、漫画を小説で書き表すという何とも難しいことを行っている。 私の頭の中では手塚治虫の冒険活劇のイメージで読んでいた。 ひねりを加えた話ではないが面白い。 これは続きが気になる。 『帝都脳病院』は和洋折衷の建物やそこにえがかれる院内設備が面白い。 緑の部屋。何とも落ち着かない(緑色自体は精神を安定させるというが)。 『金田一少年の事件簿』で同じようなトリックを使った話があったことを思い出した。 人はいとも簡単に自分の居場所を間違う。 とすると、我々が存在するこの場所の存在自体が怪しい。 「私は考える、だから私は存在する」であっても「この場所」は本当に自分が思っている通りの場所なのだろうか? 『時の劇場』もアイデンティティを揺さぶられる。 自分という存在そのものが奇譚であるのかもしれない。 本。 その中には無限の世界が広がる。 ある種の魔物と言える。 私。 本を読んでいるのは私なのか。 それとも本が私を読んでいるのか? 自分を呼ぶ本にはどうぞご注意を......
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装丁の雰囲気に惹かれて 図書館で手にとってみましたが 内容はちょっと好みではなかった。 古本屋巡りが好きな人には向いてるかも。
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+++ また買ってしまった―。店を出たとき、かならずつぶやく独り言。古本屋には、きっとある。まだ見ぬ、自分だけには価値のわかる本が。魅入られたように読みふけり、このくだらない現実に、二度と戻って来たくなくなるような本が。博覧強記の探偵小説家が想像力を暴走させて創り上げた、書くこと...
+++ また買ってしまった―。店を出たとき、かならずつぶやく独り言。古本屋には、きっとある。まだ見ぬ、自分だけには価値のわかる本が。魅入られたように読みふけり、このくだらない現実に、二度と戻って来たくなくなるような本が。博覧強記の探偵小説家が想像力を暴走させて創り上げた、書くことと読むこと、そして本そのものの業に迫る、悪魔的傑作。 +++ 表題作のほか、「帝都脳病院入院案内」 「這い寄る影」 「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」 「青髯城殺人事件 映画化関係綴」 「時の劇場・前後編」 +++ 「また買ってしまった―。」というつぶやきで始まる連作である。古本好きの男が吸い寄せられるように古書店に入り、魅入られた一冊を手に入れて店を出、いつも行く喫茶店でその本を開き、物語の中の奇怪な事件に巻き込まれていく、というように見える物語たちである。と思っていると表題作でもある最後の一遍で様相はがらりと変わる。それぞれの物語も充分奇妙で信じがたくおぞましいものであるのだが、最後の最後にそれらを呑みこんでしまうようなさらに上を行く奇怪さに覆われてしまった心地である。背筋がぞっとする一冊である。
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さすがの芦部先生!ホラーミステリーです。 「また、買ってしまった」古書店から一歩外へ出るときの一言。 短編集を装いながら旋律の終焉へ。 とは、大げさかもしれませんが、昭和の香りがまた良かった。
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【収録作品】帝都脳病院入院案内/這い寄る影/こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻/青髯城殺人事件/映画化関係綴/時の劇場・前後篇/奇譚を売る店
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