包帯クラブ の商品レビュー
再読 傷つきやすい心を自分たちで守ろうと、かって傷ついた物に包帯を巻く。その行為に込められた思いが癒していく。方言クラブも楽しそうだが包帯クラブも根本のところに楽しさがあるようで、そういうのがとてもいい。
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心の傷を負った場所に包帯を巻くクラブ。ストーリーは教科書のように展開するため,しっかり読者を引き込む。高校生が主人公だし,たぶん高校生を対象に書いているだろうけど,高校生の頃はこういうのを読まないだろう。いや,ちょうどラノベなどが流行り始めた時期だから,ラノベとは異なるが10代向...
心の傷を負った場所に包帯を巻くクラブ。ストーリーは教科書のように展開するため,しっかり読者を引き込む。高校生が主人公だし,たぶん高校生を対象に書いているだろうけど,高校生の頃はこういうのを読まないだろう。いや,ちょうどラノベなどが流行り始めた時期だから,ラノベとは異なるが10代向けの作品のニーズはあったかもしれない。自分が置かれいる状況の不合理さや情けなさ,不幸せさなどでしっかり心は傷つくけれど,それはそれで手当てをして進んでいくものである。手当てをしなくても治る傷もあれば,いつまでたってもぐじゅぐじゅで触ることもできない傷もある。自分で手当をすることもできる。仲間や家族から手当てを受けることができるし,仲間や家族の手当てをすることもできる。人生における傷への向き合い方の例を物語で示している。
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これまで傷ついたことがないという人に、私は出会ったことがない。つきなみだが、人は傷つかずには生きられない。誰もみなそれなりに傷を負って生きている。だからといって傷つくことが怖くないわけではない。誰だって傷つくのは嫌だ。傷つくのを恐れることは悪いことじゃない。でも、傷つくのが怖くて...
これまで傷ついたことがないという人に、私は出会ったことがない。つきなみだが、人は傷つかずには生きられない。誰もみなそれなりに傷を負って生きている。だからといって傷つくことが怖くないわけではない。誰だって傷つくのは嫌だ。傷つくのを恐れることは悪いことじゃない。でも、傷つくのが怖くて思うように行動ができないのだとしたら、勿体ないとは思う。傷つきやすい自分を変えたい、傷つくことを恐れずにいたいという人は傷の癒し方を覚えるといい。きっと、天童荒太さんの『包帯クラブ』がヒントになるんじゃないかな。
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高校生の時図書室で何読んだらいいかわからず、とりあえず面白い本の形という理由で手に取ったのが、包帯クラブとの出会い。(おそらく、ちくまプリマー新書) 当時、この本読んでよかった。救われた。って 思ったんだよね。 で、成人してから読み返したいなと思い文庫で購入。 うまく言葉にで...
高校生の時図書室で何読んだらいいかわからず、とりあえず面白い本の形という理由で手に取ったのが、包帯クラブとの出会い。(おそらく、ちくまプリマー新書) 当時、この本読んでよかった。救われた。って 思ったんだよね。 で、成人してから読み返したいなと思い文庫で購入。 うまく言葉にできないけど、この本に出会えてよかった〜。 図書室のあの埃っぽい香りと暖かい 空間を思い出しながら高校生の時の私、優秀〜って思った笑 私の中で特別な一冊。 みんな、一度でいいから読んでほしい。 特に学生の方は…! "今"読んでほしい。
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家にあった一冊。 心の傷の治療の効果があると信じて、他人のために心の傷を負った場所に包帯を巻いていくというクラブ活動の話。 発想が面白いですね。本を読みながら想像してたら、確かに包帯ってやっぱり治療するという先入観があまりにも強いので、多少心の傷にも効くのかもね。 まぁ登場...
家にあった一冊。 心の傷の治療の効果があると信じて、他人のために心の傷を負った場所に包帯を巻いていくというクラブ活動の話。 発想が面白いですね。本を読みながら想像してたら、確かに包帯ってやっぱり治療するという先入観があまりにも強いので、多少心の傷にも効くのかもね。 まぁ登場人物の多くは高校生なんでその年齢あたりが読者層となるのかね。 ユニークのある登場人物が多くサクっと読める一冊。
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天童荒太 今まで手が出なかった。勝手に重いんだろうなと決めつけていたから。 屈折度合いが深くない青春モノとして読んだ。暗くない。 きっと近いうちに永遠の仔にも手を出すだろうな。
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宮地尚子「傷を愛せるか」で紹介されていたので読んでみました 他者を傷つけてしまったことに傷つく自分について、罪悪感から認めることができなかったけど、この本を読んでちゃんと傷として認めていいんやということに気付きました 傷ついた体験について語らうときに、如何に好奇な文脈ではなく、...
宮地尚子「傷を愛せるか」で紹介されていたので読んでみました 他者を傷つけてしまったことに傷つく自分について、罪悪感から認めることができなかったけど、この本を読んでちゃんと傷として認めていいんやということに気付きました 傷ついた体験について語らうときに、如何に好奇な文脈ではなく、誠実な姿勢をむけられるか 全く関係のない人に聞いてもらう方が救われることもあるよな〜 などと自分の体験と照らし合わせながら考えてました 今までの人生を振り返る上で私には必要な本でした
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昔、映画を観た。 自分の住む街がロケ地で、ミーハー気分で観たけど、結構感動したことは覚えていて。 石原さとみの結婚のニュースをきいて、原作をはじめて読んでみた。 また映画がみたいな。
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今の高校生が抱えている日常を表現し、かつ、成長と癒しのプロセスを丁寧に表現し、かつ、それなりの将来像を匂わせて、なお、明るい雰囲気になる。包帯クラブがあればいいなぁ〜と思わせる現実的ではあるけどファンタジーのような内容。深く優しく残酷にえぐっていく心の葛藤---を客観的に描写する...
今の高校生が抱えている日常を表現し、かつ、成長と癒しのプロセスを丁寧に表現し、かつ、それなりの将来像を匂わせて、なお、明るい雰囲気になる。包帯クラブがあればいいなぁ〜と思わせる現実的ではあるけどファンタジーのような内容。深く優しく残酷にえぐっていく心の葛藤---を客観的に描写するのがこの作家の特徴。とても良い❗️ ワラとタンシオを中心にディノ、リスキ、ギモ、テンポという仲間が絡む。挿入される【報告】が読者の思考をざわざわさせ推理小説のような空想の時間を与えてくれる。 よく考えられている構成。後書き風のラストパートが洒落ている。永遠の仔、読み返そうと思う。
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2020年24冊目。 大切な本である『傷を愛せるか』のなかで紹介されていて、ずっと気になっていた小説。「薄いライトノベルだ」という感想も見かけたけれど、僕はとても大きなものをこの本から受け取った。 誰かが傷を受けた場所。肉体ではなく、心の傷を負った土地、建物、遊具.........
2020年24冊目。 大切な本である『傷を愛せるか』のなかで紹介されていて、ずっと気になっていた小説。「薄いライトノベルだ」という感想も見かけたけれど、僕はとても大きなものをこの本から受け取った。 誰かが傷を受けた場所。肉体ではなく、心の傷を負った土地、建物、遊具......それらに「包帯」を巻く。文字どおり、白い包帯を、物理的に巻いていく。そんな活動を行う「包帯クラブ」の少年・少女たちの回想記。 活動を続けるなかで彼女たちは、人々の胸の内にある大小様々な傷を知り、そのたびに迷う。「こんな誰にでもあるようなエピソードを、傷と言っていいのだろうか?」「万引きの加害者の後悔の念に包帯を巻くことは、加害への加担になるのではないか?」......そうして迷いながらも、一つひとつ判断をし、街中の傷跡に包帯を巻いていく。 思い出の場所や物に巻かれた包帯は、手当ての「象徴」に過ぎない。それでも、そこに白い包帯が巻かれ、目に見える風景はたしかに変わる。それは決して、その人の傷を「治す」効果を持つわけではないが、それが痛んでもいい傷だということを「認める」ことにつながっていく。 人はいろいろな理由で、自身が受けた傷を認められないことがあるように思う。例えば「あんなことに傷つけられるような自分ではない」という強がりや、「こんなことを傷だと言ってしまっていいのだろうか」という後ろめたさから。そうして傷だと認めてあげられない痛みは、誰に知られることもなく化膿し、その人を徐々に蝕んでいくのだと思う。 だからこそ、まずは「傷であることを認める」ということが大きいのではないだろうか。包帯を巻く、たったそれだけのことが人々を癒していく効果は、「あぁ、この傷を苦しんでよかったんだ」という安堵から生まれてくるのだと思った。その安堵を、たった一つの象徴からでも生み出せるというのは、希望ではないだろうか。 ----- だれにもあることだからって、軽々しくひとまとめにしちまうのは、相手の心を思いやるのを、おっくうがったり、面倒がったりする、精神の怠慢からくるんじゃねえの(p.128) ......こんなことが傷? と首をかしげたくなるものも、いくつもあったけど、きっと当人にしか感じ取れない痛みもあるはずだし、「そんなことだれでにでも」とか、「ほっときゃそんなのすぐに」なんて言うのは、結局は自分本位で判断してるだけで、実は人間という存在をみくびってるだけなんじゃないか、と思って、とにかく疑うようなことは口にせず、いろんな場所に包帯を巻きに出かけた。(p.185) ----- 「骨折は100ポイント」「捻挫は50ポイント」「突き指程度なら10ポイント」......そんなふうに、世間一般の感覚で痛みの重みづけをしていいものではない。笑って済ませられる骨折もあれば、生涯をかけて準備してきたものを棒に振ることになる突き指だってあるかもしれない。人が抱える痛みを、絶対値ではなく相対値で向き合いたいと思う。 この本を読みながら、かつて救われた同じく天童荒太さんの小説『悼む人』を思い出していた。全国のあらゆる「死」があった場所をめぐり、あらゆる死に悼みの想いを捧げる旅を続ける坂築静人。包帯クラブのメンバーたちの行動からは、それと同じものを感じた。天童さんはいつも、そういう目に見える「儀式」を通じて描いてくれる。傷ついた誰に対しても送る、分け隔てのない祈りを。
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