1,800円以上の注文で送料無料

今を生きるための現代詩 の商品レビュー

4

42件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/06/26

何度か読み直しているのだが、とても素晴らしい名著。 以前読んだときはちょうど詩に興味を持ち始めた頃だったのだが、ある程度読んだ今読んでもやはりこの本は良いなあ、と思う。 詩に触れるときにその余白の広さや飛躍から、わけのわからないところに連れて行かれたような気持ちになって戸惑うこと...

何度か読み直しているのだが、とても素晴らしい名著。 以前読んだときはちょうど詩に興味を持ち始めた頃だったのだが、ある程度読んだ今読んでもやはりこの本は良いなあ、と思う。 詩に触れるときにその余白の広さや飛躍から、わけのわからないところに連れて行かれたような気持ちになって戸惑うことがある。その戸惑いを楽しめるか、わからないものとして拒絶するのか。その戸惑いや疑問もわからないものとして受け入れることが出来れば、詩をもっと楽しむことが出来る、自分が何に疑問を持つのか、それすらも発見になるというようなことが本著に書かれている。 自分は映画が好きで人の数倍も映画を観ているのだが、同じことを映画を観ていても思う。意味のわからなさやどこに連れて行かれるのかという飛躍、解釈することの難しさや余白の広さはそれ自体が映画を豊かにしていると思うのだが、多くの人はそのわからなさをわからないものとして拒絶してしまう。 自分が詩や俳句、短歌に惹かれるのはそのわからなさに惹かれるからだな、とこの本を読んでわかった。

Posted byブクログ

2022/11/24

詩にはあまり触れてこなかったけど、意味のない詩もあると知って見方が変わった。意味よりも表現に力を尽くす詩もあるなら無理に読解しなくてよくてただ眺めるのもありなんだとわかって気楽に詩に触れられそうと思った。谷川俊太郎の「生きる」はとてもいいなと思った。

Posted byブクログ

2022/11/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

現代アートが見る人によって解釈が分かれていいように、現代詩も奥深い世界であることを思い知った。国語の授業の詩の教え方は良くないなあ、詩嫌いを大量生産するだけだ、との思いも抱いた。 思考や知覚をフル稼働して、時に静かに稼働して、詩をつくり、鑑賞するものなのだと感じた。 以下、印象に残った箇所です。 いま人間が「不可知」とか「想定不能」とか称していることも、より高次元の知覚をもってそれらを見るならば、ごくシンプルで美しい法則によってすべてが説明できてしまうことなのかもしれない。 詩は、こうした高次元の知覚や思考の「予告篇」のようなものだと思う。 いまの人間が、かぎられた知覚や思考で「因果関係」みたいなものを想定し、それですべて説明しつくしてしまえるものではないのだ。

Posted byブクログ

2022/02/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

p30 生きる 谷川俊太郎 詩に親しんでいない多くの人にとっては「自分が既に知っている感覚の再現」をしてくれるものだけが詩なのかもしれない しかし詩というものの中には、こうした「実感の再現」とはまったく性質の違うことばで書かれたものもある。そして私がひかれたのはそちら側の詩、つまり「実感の再現」などとはほとんど無関係の詩なのだった。 沈黙の部屋 谷川俊太郎 p198 詩とは結局のところなんだろう。詩はこれだと一言で言う事は難しい。詩は「世界の手ざわり」の一つ。私がまだ知っていない「わたしの感じ方」を作るきっかけになっている。

Posted byブクログ

2022/01/30

この本を読んだところで、詩とは何なのか、どう読めばいいのかということがわかるわけではない。でも、わからないことを楽しめばいいし、こんな読み方もあるんだよと教えてくれる。日本語の特徴によって音読では鑑賞できない詩もあるというのがおもしろかった。

Posted byブクログ

2022/01/04

決して詩の初心者向けではありませんが、詩の奥深さは、なんとなくわかる本でした。結局、詩って、難しいなぁと思いました。

Posted byブクログ

2021/08/16

以前、Twitterでとある詩が話題になったことから影響を受け、何か詩に関する本を読んでみたいと思い手にとった。学校の授業ぐらいでしか詩に触れてこなかったがが、そんな詩に馴染みのない私でも読みやすい文章だった。 この前読んだ本にも出てきたキースのネガティヴ・ケイパビリティという言...

以前、Twitterでとある詩が話題になったことから影響を受け、何か詩に関する本を読んでみたいと思い手にとった。学校の授業ぐらいでしか詩に触れてこなかったがが、そんな詩に馴染みのない私でも読みやすい文章だった。 この前読んだ本にも出てきたキースのネガティヴ・ケイパビリティという言葉が出てきて少し嬉しかった。わからない部分はわからないままに素直に受け入れて、全てがわかるはずがないと謙虚にわからないことを楽しむ視点を大切にしたいと思った。 詩の読み方ではなく、自分なりの楽しみ方が書かれておりこのタイミングで読めてよかったと思う。これからは詩を楽しんでみたいと思った。 また、人間は変わりゆくものという筆者の人間観や筆者が歩んできた経験から語られる言葉も興味深かった。

Posted byブクログ

2021/04/06

現代美術について考えていて ちょっと外から客観的にみたくなり 詩についての本を読みました。 結論から言うと想像していたよりずっと面白く、 私の求めていることが多くあったように思います。 ぼんやりを、筆者の視点で言語化していて とてもしっかり伝わってきます。 紹介されている詩...

現代美術について考えていて ちょっと外から客観的にみたくなり 詩についての本を読みました。 結論から言うと想像していたよりずっと面白く、 私の求めていることが多くあったように思います。 ぼんやりを、筆者の視点で言語化していて とてもしっかり伝わってきます。 紹介されている詩を読んだときに、 頭の中に出てくる「?」やイメージは アートを見ている時ととても、限りなく、近い。 自分の知らないけど知っているような 忘れているだけなような、ぼんやりとした記憶のような、、 に気づかせてくれる、呼び起こしてくれる。 そうそう、そういうこと!が多かった。 ので、 以外自分のための備忘。 未来を描いている 幻の時としての未来と響き合う表現 分からないことの大切さ ただ純粋な言葉 伝えたいことなどない 抽象画的に目で見る 文字のイメージ、ひらがな感じ、重なり合いを楽しむ 誰にでも通じる言葉の対局にある、孤独のことば 確立された自分像を疑う いつも流動的で普遍などない 神の声を聞く 人間のコントロールからこぼれ落ちた 世界の手ざわり 感情や知覚の微妙なありようを、 まだ知らない感じ方をつくるきっかけになる まだ知らないことの予感をあたえてくれる 理解できない余白を認めること 自分像を白紙に近づけること

Posted byブクログ

2021/02/20

現代詩の読み方を教えてくれる本かと思って読み始めたら、それ以上の学びがあった。 詩はわからないもの、わからないを認めること、自分という存在の流動性と小ささ。 平易な文ですらすら読めました。 安東次男と川田絢音と井岡洋子の詩を読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2021/02/19

 谷川俊太郎の「六十二のソネット」の目次が「きわめて前衛的な詩」として著者の目にうつるのは、本文中に書かれているとおり詩人の「ことばのトーン」が「すみずみまで注意深く統一されて」いるからで、でたらめでよいということではたぶんない。  私は「詩を書く」ということをあきらめきれていな...

 谷川俊太郎の「六十二のソネット」の目次が「きわめて前衛的な詩」として著者の目にうつるのは、本文中に書かれているとおり詩人の「ことばのトーン」が「すみずみまで注意深く統一されて」いるからで、でたらめでよいということではたぶんない。  私は「詩を書く」ということをあきらめきれていないのか、読み手としては「わからないけどかっこいい」で満足なのですが、どうしてもその言葉の取捨選択の基準をわかりたくなってしまいます。  だから読み手としては勇気づけられたのと同時に、「詩を書く」ことについてはやはり私には難しい、という軽い失望も感じてしまいました。抽象画にたとえて詩を解説しているくだりもあったけれど、訓練によって上達可能なデッサン力を身につけても、それだけで抽象画が書けるようにはならないだろう、みたいな。  紹介されている詩がどれもすごく良くて、すごい詩とたくさん出会えるアンソロジーとしても読む価値があると思います。 「西洋の言語はどれも、文字で書かれた詩を朗読することに格別の困難はないかもしれないが、日本語では事情が違う」「日本の現代詩は(少なくとも自分の書く作品は)、声に出して読むことは不可能である」という言及は印象的でした。

Posted byブクログ